ネガワット取引に関する第三弾の電事法が施行、4月から本格開始するネガワット取引
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2017年04月12日
一般社団法人エネルギー情報センター
4月1日、ネガワット取引に関する第三弾の電事法が施行されました。これにより、アグリゲーターがネガワットを需要家から集めて取引する「ネガワット取引」が、2017年4月から本格的に開始されることとなります。
ネガワット取引、4月から本格始動
従来の電力システムは、電力供給をどのように行うべきかという視点が中心であり、電力需要を出発点とした取り組みは活発ではありませんでした。しかしながら、近年は電力供給の制約や集中型電力システムが持つ課題が明らかとなりつつあります。そのため、省エネの強化だけではなく、電力供給状況に応じてスマートに消費パターンを変化させること、いわゆるディマンドリスポンスの重要性が強く認識されるようになっています。
さらに、「需要削減」の取組に関する次の段階として、電力を削減した量を取引する「ネガワット取引」の活用が進められています。ネガワット取引では、需要削減量を発電電力量と同等の価値があるものとして取り扱うことが可能となります。また、需要削減量を細かく設定でき、様々な反応時間や持続時間の需要削減ができるため、電気事業者のニーズにより細かく対応することが可能になります。ネガワット取引を社会に定着させることができれば、電気事業者だけでなく、需要家の能動的な参画によって、より効率的な電力システムを構築することにつながります。
4月1日には、「ネガワット取引に関する第三弾の電事法」が施行され、ネガワット取引が2017年4月から本格的に開始されます(図1)。本コラムでは、このネガワット取引の概要について見ていきます。
図1 ネガワット取引の概要 出典:資源エネルギー庁
ディマンドリスポンスとネガワットの関係
ディマンドレスポンスには大まかに3種類あり、①上げDR、②上げ下げDR、③下げDRがあります(図2)。上げDRは、例えば蓄電池に充電するなどで、電気の需要量を増やすものです。上げ下げDRは、電気の品質(=周波数)を一定に保つため、電気の需要量を小刻みに増減させます。下げDRは、例えば機器の出力を落とすことで電気の需要量を減らします。ネガワット取引は、この内の「下げDR」に区分されます。
図2 ディマンドリスポンスの種類 出典:経済産業省
ネガワット取引を活用しやすい設備と注意点
ネガワットを活用しやすい設備の特徴として、規模の大きさが挙げられます。例えば生産設備においては、常時運転している生産ラインなどで、500kW程度以上の需要抑制が可能なものがネガワットの効果も上がりやすいです。一方で、生産設備の稼働は生産スケジュールに左右されるため、生産力を上げざるを得ず受電が逆に上がってしまうケースなども考えられます。
そのほか、空調や照明、自家発電、蓄電池、蓄熱槽などの幅広い設備で利用可能ですが、それぞれに活用しやすい特徴と注意点がありますので、下記図をご参考ください(図3)。
図3 ネガワット取引を活用しやすい設備と注意点 出典:経済産業省
相対契約からネガワット取引市場へ
これまでの主要なネガワット取引は、電力需給ひっ迫時に節電を促し、ピークシフト、電力コストの抑制を実現するものでしたが、あくまで相対取引がベースでした。しかし、ネガワット取引市場が創設されると、需要家はネガワット事業者(アグリゲーター)を介して、小売契約を締結していない小売電気事業者ともネガワット取引が可能となります(図4)。
これまでの相対契約という限定された取引だけではなく、取引市場という開かれた場が追加されることで、ネガワット取引が活性化することが期待されます。
図4 ネガワット取引市場について 出典:資源エネルギー庁
ディマンドレスポス、競争入札でも利用が始まる
平成28年10月より、一般送配電事業者は「一般送配電事業者が行う調整力の公募調達に係る考え方」に従って、調整力の公募を実施しました。応札状況について、ディマンドリスポンスを活用したものは、募集量合計132.7万kWに対して合計111.2万kWあり、そのうち4社において合計95.8万kW(総額約3,593百万円)が落札となりました(図5)。
また、ディマンドリスポンス実証で知見を蓄積してきたアグリゲーター(旧一般電気事業者を除く)が、延べ10件落札(21.66万kW)しています。これは、日本で初めてディマンドリスポンスが、開かれた競争入札の市場において取り引きされた例となりました。
図5 調整力の公募結果 出典:電力・ガス取引監視等委員会
海外におけるネガワット市場
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執筆者情報
一般社団法人エネルギー情報センター
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