新電力登録の三井物産、創業以来の初赤字、資源安が影響
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新電力にも登録している三井物産が赤字となりました。1947年の創業以来、70年近い歴史の中で初の赤字となります。原油や銅などの資源価格下落が経営を直撃し、損失を拡大した形となっております。
三井物産、2600億円の損失計上、700億円の赤字見込み
3月23日、三井物産は2016年3月期連結決算の最終損益が700億円の赤字になるとの業績予想の下方修正を発表しました。従来は1900億円の黒字予測だったので、2600億円の下方修正です。コモディティ価格の下落などが影響し、資源・エネルギー分野を中心に多額の減損損失を計上する見込みです。
IMFによると、WTI原油価格は2012年2月で約110ドルほどでしたが、2016年2月は約30ドルです。4年ほどで4分の1に近い水準まで下がりました(図1)。三井物産の損失に強く影響した銅価格は、世界の工場ともされる中国の需要が落ち込み、4年前の半分ほどとなっております。IMFによると、2012年2月は1トン当たり約8500万ドルであったのが、2016年2月は約4500ドルほどとなりました。

出典:International Monetary Fund資料より作成
4割以上が銅事業による損失、次点でLNGの開発遅延
三井物産の発表によると、損失の主要な原因は、銅事業となります。2600億円の損失の内、約45%である1150億円の規模になります。次に金額が大きい事業分野が、LNG開発遅延の15%(400億円)、そして資源事業会社の損失約13%(350億円)と続きます(表1)。
| 事業分野 | 内容 | 主な損失発生理由 | 「親会社の所有者に帰属する当期利益」主な損失発生理由への影響額(単位:億円、税後) |
|---|---|---|---|
| 金属 | チリ銅事業における減損損失 | 長期銅価格の見直し等 | 約△1,150 |
| ブラジル資源事業会社の損失取込 | ブラジル資源事業会社における減損損失 | 約△350 | |
| 豪州石炭事業における減損損失 | 長期石炭価格の見直し | 約△250 | |
| エネルギー | 豪州 LNG 事業における減損損失 | 開発計画の遅延 | 約△400 |
| その他原油・ガス資産の減損損失 | 長期原油・ガス価格の見直し | 約△150 | |
| 機械・インフラ | 一部海外発電事業における減損損失 | 長期電力価格の見直し | 約△300 |
| 合計 | 約△2,600 | ||
表1 三井物産の損失内訳 出典:三井物産
チリの銅事業で900億円の損失
三井物産が出資するチリ銅事業会社「Anglo American Sur社」に対する投資について、長期銅価格の見直しを行った結果、減損に伴う損失約900億円を計上する予定とのことです。加えて、カセロネス銅事業については、減損に伴う損失約250億円を計上する予定です。
カセロネス銅鉱山は100%日本資本による資源開発プロジェクトで、2006年の権益取得から約8年間の開発期間を経て、2013年3月から電気銅を、2014年5月から銅精鉱の生産をそれぞれ開始しています。
豪州のLNGプロジェクト遅延で、400億円の損失
三井物産が出資する豪州ブラウズLNGプロジェクトについて、開発計画の見直しが決定され、商業生産の見通しが遅延したことを受け、減損に伴う損失約400億円を計上する予定です。
ブラウズLNGプロジェクトは、豪西オーストラリア州沖合のイースト・ブラウズ及びウェスト・ブラウズの両天然ガス・コンデンセート鉱区を開発し、生産される天然ガス及びコンデンセートを精製・液化・出荷するものです。
資源事業会社の損失取り込みで、350億円の損失
三井物産が出資する「Vale社」が減損損失を計上したことにより、取込損失約350億円を計上する予定となっています。
Vale社は、ブラジルのリオデジャネイロに本社を置く、世界を代表する総合資源企業です。主力事業は鉄鉱石であり、世界最大規模の生産企業となります。
三井物産の新電力としての活動
三井物産は新電力としても活動しています。高圧で若干の小売販売実績(385千kWh)があり、119社中87位です。販売量こそ少ないですが、それは小売事業を主軸としているわけではなく、電力会社への電力卸売事業がメインとなっているからです。
温室効果ガスの調整後排出係数については、平成26年度の値を参照すると、0t-CO2/kWhと非常に低い値です。0t-CO2/kWhの企業は、リエスパワー、G-POWERを含め、3社となっております。

出典:環境省資料より作成
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