法人向け 家庭向け

太陽光発電と蓄電システムの連携

一般社団法人エネルギー情報センター

新電力ネット運営事務局

太陽光発電と蓄電システムの連携の写真

太陽光発電は、持続可能なエネルギーの象徴として注目される一方で、「発電するタイミング」と「電力を必要とするタイミング」のズレという課題があります。日中に豊富に発電される太陽光エネルギーは、夕方から夜間の消費ピーク時に活かしきれないのが現状です。この課題を解決するカギとなるのが「蓄電システム」になります。この仕組みをわかりやすく解説するとともに、その普及の重要性について考えてみましょう。

太陽光発電と蓄電システムの基本的な仕組み

太陽光発電は、太陽光パネルを利用して太陽のエネルギーを電気に変える仕組みです。発電された直流(DC)電力は、「パワーコンディショナー」を通じて、家庭や施設で使用可能な交流(AC)電力に変換されます。発電量が消費電力を上回ると、その余剰電力は蓄電システム(バッテリー)に貯められ、必要な時に利用できるようになります。

蓄電システムの主な役割

1.電力の安定供給を支える基盤

太陽光発電は天候や時間帯に左右されやすいという課題がありますが、蓄電システムを導入することで、昼間に発電した電力を蓄え、発電量が不足しがちな夜間や曇りの日など、必要なタイミングで供給することが可能となります。この仕組みにより、エネルギー供給の安定性が高まり、企業や地域社会の安心感が高まります。

2.ピークシフトで効率的なエネルギー利用

電力需要が急増する時間帯(ピーク時)の電力需要に対応することは、電力供給側にとって大きな課題です。蓄電システムを活用すれば、需要が少ない時間帯に電力を蓄え、ピーク時に供給することで電力網の負荷を軽減できます。この仕組みは、企業の電力コスト削減や供給インフラの効率化にも寄与します。

3.電気代の削減による経済効果

蓄電システムはエネルギーコストを効率的に削減するのに役立ちます。再生可能エネルギーで発電した電力を蓄え、家庭や企業での自家消費を最大化することにより、電力会社からの購入量を減らすことが可能になります。この結果、電気代の削減だけでなく、環境への負担も軽減されます。

4.災害時の非常用電源としての価値

近年、地震や台風などの自然災害のリスクが高まる中、停電時に使用できる非常用電源は、家庭や企業にとって大きな安心感をもたらします。蓄電システムに蓄えた電力を活用することで、冷蔵庫や照明などの生活必需品を動かし、日常生活の基本を維持することが可能です。また、防災拠点での電力供給源としても重要な役割を果たし、地域全体の災害対応能力の向上にも貢献します。このように、蓄電システムは防災対策の一環として注目されています。

図1:神奈川県立相模高等学校に導入された太陽光発電設備と蓄電池とその役割
出典: 環境省 「太陽光発電と蓄電池による災害時の耐性向上と防災拠点の強化」

蓄電システム普及の課題と取り組み

1. 高額な初期投資が生むハードル

蓄電システムの導入は、防災意識や省エネルギーへの関心の高まりを背景に広がりを見せています。特に、自治体の補助金制度が導入を後押ししており、例えば東京都では家庭用蓄電池の設置費用の最大3/4、上限120万円までの補助を受けることができます。これにより、初期費用の負担を大幅に軽減することが可能です。しかし、依然として高額な初期費用が普及の障壁となっており、次世代型全固体電池技術の進展によるコスト削減が期待されています。今後、補助金や税制優遇がさらに充実すれば、消費者の負担が軽減され、蓄電システムの普及が加速するでしょう。

2. 蓄電池の寿命と費用負担の壁

蓄電池は10〜15年程度で寿命を迎え、交換時には大きな費用がかかります。この問題に対しては、より長寿命で信頼性の高い製品の開発が求められます。また、補助金制度やリースを活用することで、交換費用の負担を軽減し、安心して利用できる環境を整備することが必要になります。

3. 蓄電池のリサイクルとサステナブルな未来

蓄電池の製造や廃棄には、希少金属を多く使用しているため、環境負荷の問題があります。この課題に対しては、リサイクル技術の向上や、環境に優しい代替材料の開発が求められます。さらに、循環型社会の実現に向けて、再利用可能な設計の義務化や製品ライフサイクル全体を考慮した政策の実施が、持続可能な未来を支える重要な要素となります。

4. 地産地消を支える制度改革を

電力の地産地消や個人間取引を実現するための仕組みは、まだ発展途上にあります。これに対応するためには、地域で効率的に電力を管理する「スマートグリッド」*1の普及や、エネルギー関連法規の整備が不可欠です。さらに、再生可能エネルギーの魅力を広く伝えるための啓発活動を進め、社会全体の理解と支援を深めることが求められています。

※1 スマートグリッドとは、情報技術(IT)を活用して、電力の供給と消費を効率的に管理する次世代型の電力網です。

出典: 経済産業省 「蓄電池産業戦略 2022年8月31日 蓄電池産業戦略検討官民協議会」

蓄電システムと太陽光発電が支える未来のエネルギー

太陽光発電と蓄電システムの連携は、持続可能なエネルギーの利用を実現するために不可欠です。昼間に発生する余剰電力を蓄え、夜間や悪天候時にそれを活用することで、安定した電力供給が可能になります。また、ピーク時の電力需要にも対応し、災害時には非常用電源としても機能します。しかし、これらのシステムの導入には高額な初期投資が必要であり、蓄電池の寿命やリサイクルの課題も普及を妨げる要因となっています。これらの課題を解決するためには、技術革新の促進や経済的支援、法制度の整備が重要です。地域単位での電力利用の最適化と、持続可能な未来を支える取り組みが求められています。

はてなブックマーク

執筆者情報

一般社団法人エネルギー情報センターの写真

一般社団法人エネルギー情報センター

新電力ネット運営事務局

EICは、①エネルギーに関する正しい情報を客観的にわかりやすく広くつたえること②ICTとエネルギーを融合させた新たなビジネスを創造すること、に関わる活動を通じて、安定したエネルギーの供給の一助になることを目的として設立された新電力ネットの運営団体。

企業・団体名 一般社団法人エネルギー情報センター
所在地 東京都新宿区新宿2丁目9−22 多摩川新宿ビル3F
電話番号 03-6411-0859
会社HP http://eic-jp.org/
サービス・メディア等 https://www.facebook.com/eicjp
https://twitter.com/EICNET

関連する記事はこちら

日本発!次世代ペロブスカイト太陽電池:フレキシブル発電が都市を変える 実装課題と産業戦略【第2回】 — 耐久性・封止・量産(ロールtoロール、封止樹脂の要諦)/コスト学習曲線と標準化(NEDO等)/素材・装置のサプライチェーン再構築の写真

一般社団法人エネルギー情報センター

2025年10月29日

新電力ネット運営事務局

日本発!次世代ペロブスカイト太陽電池:フレキシブル発電が都市を変える 実装課題と産業戦略【第2回】 — 耐久性・封止・量産(ロールtoロール、封止樹脂の要諦)/コスト学習曲線と標準化(NEDO等)/素材・装置のサプライチェーン再構築

前編では、ペロブスカイト太陽電池の特性と政策的背景、そして中国・欧州を中心とした世界動向を整理しました。 中編となる今回は、社会実装の要となる耐久性・封止・量産プロセスを中心に、産業戦略の現在地を掘り下げます。ペロブスカイト太陽電池が“都市インフラとしての電源”へ進化するために、どのような技術と制度基盤が求められているのかを整理します。特に日本が得意とする材料科学と製造装置技術の融合が、世界的な量産競争の中でどのように差別化を生み出しているのかを探ります。

中小企業が入れるRE100/CDP/SBTの互換ともいえるエコアクション21、GHGプロトコルに準じた「アドバンスト」を策定の写真

一般社団法人エネルギー情報センター

2025年10月27日

主任研究員 森正旭

中小企業が入れるRE100/CDP/SBTの互換ともいえるエコアクション21、GHGプロトコルに準じた「アドバンスト」を策定

GHGプロトコルに準じた「エコアクション21アドバンスト」が2026年度から開始される見込みです。アドバンストを利用する企業は電力会社の排出係数も加味して環境経営を推進しやすくなるほか、各電力会社側にとっても、環境配慮の経営やプランのマーケティングの幅が広がることが期待されます。

日本発!次世代ペロブスカイト太陽電池:フレキシブル発電が都市を変える 【第1回】背景と技術概要 — 何が新しいか/政策・投資の全体像/海外動向との比較の写真

一般社団法人エネルギー情報センター

2025年10月18日

新電力ネット運営事務局

日本発!次世代ペロブスカイト太陽電池:フレキシブル発電が都市を変える 【第1回】背景と技術概要 — 何が新しいか/政策・投資の全体像/海外動向との比較

本記事は、2024年公開の「ペロブスカイト太陽電池の特徴とメリット」「ペロブスカイト太陽電池の課題解決と今後の展望」に続く新シリーズです。 耐久性や鉛処理、効率安定化といった技術課題を克服し、いよいよ実装段階に入ったペロブスカイト太陽電池。その社会的インパクトと都市エネルギーへの応用を、全3回にわたって取り上げます。

非化石証書(再エネ価値等)の下限/上限価格が引き上げ方向、脱炭素経営・RE100加盟の費用対効果は単価確定後に検証可能となる見込みの写真

一般社団法人エネルギー情報センター

2025年10月17日

主任研究員 森正旭

非化石証書(再エネ価値等)の下限/上限価格が引き上げ方向、脱炭素経営・RE100加盟の費用対効果は単価確定後に検証可能となる見込み

9月30日の国の委員会で、非化石証書の下限/上限価格の引き上げについて検討が行われています。脱炭素経営の推進を今後検討している企業等は、引き上げ額が確定した後にコスト検証を実施することが推奨されます。また本記事では、非化石証書の価格形成について内容を見ていきます。

【第3回】電力小売に導入が検討される「中長期調達義務」とは ——料金・市場構造・投資への影響と導入後の論点—の写真

一般社団法人エネルギー情報センター

2025年09月29日

新電力ネット運営事務局

【第3回】電力小売に導入が検討される「中長期調達義務」とは ——料金・市場構造・投資への影響と導入後の論点—

第1回では制度導入の背景を整理し、第2回では設計の仕組みと現場課題を取り上げました。最終回となる本稿では、中長期調達義務が導入された場合に、料金や市場構造、投資意欲にどのような影響が及ぶのかを展望します。
制度の目的は電力の安定供給を強化し、価格急騰のリスクを抑えることにあります。ただし、調達コストの前倒し負担や市場流動性の低下といった副作用も想定されます。今後は、容量市場や需給調整市場との整合性、データ連携による透明性、新規参入環境の整備といった論点への対応が、制度の実効性を左右することになります。

 5日間でわかる 系統用蓄電池ビジネス