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2024年度の出力制御②優先給電ルールにおける新たな施策について

一般社団法人エネルギー情報センター

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再生可能エネルギー(再エネ)の導入拡大が進み、導入量が増えた結果、 電力需要が低い時期には「発電量過多」になり、全国的に 出力制御 が行われるようになってきました。この出力制御について、2回に渡りお伝えしています。 1回目はそもそも出力制御とは何か、増加している要因、過去の事例についてお伝えしました。今回は、経済産業省・資源エネルギー庁が優先給電ルールに基づく新たな施策を公表したので、その内容をご紹介します。

出力制御の制度概要

出力制御とは、電力会社が発電事業者に対して発電所の発電量を一時的に抑制または停止するよう要請できる制度です。そのため、出力制御は「出力抑制」とも呼ばれます。出力制御が実施されている間は、発電した電気を売ることができず、国や電力会社からの補償も一切ありません。つまり、出力制御がかかると、その時間帯の売電収入が減少することになります。

さらに、FIT(固定価格買取制度)認定を受けている太陽光発電所は、すべて出力制御の実施に同意しており、電力会社からの出力制御要請を拒否することはできません。出力制御の対象は太陽光発電だけでなく、風力発電などの再生可能エネルギーによる発電や、火力発電、水力発電などすべての発電設備が含まれます。各発電所の特性に応じて、出力制御の優先順位が決められています。

特に太陽光発電や風力発電は、自然変動型電源であり発電量の調整が難しいため、まずは火力発電やバイオマス発電など、変動の調整が可能な発電設備から出力を調整し、それでも調整量が不足する場合に太陽光・風力発電の出力制御が行われます。

優先給電ルールに基づく対応 出典:資源エネルギー庁「出力制御について」

経済産業省・資源エネルギー庁が優先給電ルールにおける新たな施策を公表

経済産業省・資源エネルギー庁は、8月7日に有識者会議(再エネ大量導入・次世代電力ネットワーク小委員会)を開催しました。この会議では、地熱発電の現状と推進状況、国土交通省による再エネ推進の状況に加え、再エネ特措法の運用に関して、固定価格買取制度(FIT)からフィードインプレミアム(FIP)への移行を促す新たな「市場統合措置」の導入について検討されました。

FIT制度とは

「フィードインタリフ(Feed-in Tariff)」の略称で、再エネを用いて発電された電気を一定期間固定価格で買い取る制度です。時期や時間帯にかかわらず安定した価格で売電でき、住宅用太陽光発電をはじめとする再生可能エネルギーの普及に大きく貢献しました。

FIP制度とは

「フィードインプレミアム(Feed-in Premium)」の略称で、再エネの発電事業者に対して、売電価格に一定の補助額(プレミアム)を上乗せする制度です。

FIPに移行した事業者は、従来のFITと比較して市場価格に応じた戦略を立てやすくなります。例えば、FITの固定買取価格は安定していますが、年々下落傾向にあります。一方、FIPの買取価格は市場価格に連動するため、高価格時に売電し、低価格時にはメンテナンスや停止を行うなどの運用工夫により、収益を上げやすくなります。

売電価格に「プレミアム」を上乗せするFIP制度 出典:資源エネルギー庁

再生可能エネルギー電源に対する出力制御の優先順位について、FIP電源の優先度を下げ、原則として出力制御の対象から外す方針が示されました。これまではFITとFIPを区別せず、「バイオマス→太陽光・風力」という順番で出力制御が行われていましたが、早ければ2026年度中に「バイオマス(FIT→FIP)→太陽光・風力(FIT→FIP)」という順序に変更することが検討されています。

これによってFIT電源の出力制御回数が増える一方、FIP電源に対する出力制御は大幅に減ることになります。事務局によると、「出力制御が特に多い地域では、FIT電源全てが制御された後、FIP電源が制御されることになるが、そのほかの地域では、FIP電源は、当面、出力制御の対象とならない」としています。ただし、FIT電源だけでは制御量が不足する日には、安定供給確保のため、FIP電源も制御対象となります。

並行してFIT/FIP全体の約25%がFIP電源に移行するまでの当面の措置として、FIP電源に係る蓄電池の活用や発電予測などを支援することにより、FIP電源への移行を後押しします。

FIP制度で発電事業者に求められるバランシング

では、FIP制度で発電事業者に求められることは何でしょうか。
それはバランシングです。

バランシングとは、「発電可能な再エネ電気の見込みの数値(計画値)」と「実際に発電した数値(実績値)」を一致させるための調整のことです。

FIPの発電事業者は、FITの時には免除されていた 発電予測・計画提出の義務を果たす必要 があります。 発電事業者は、実際に発電する1日前に「翌日の発電所の発電量」を30分ごとに予測し、計画を提出します。

そして、その計画に対し、当日の実発電を100%一致させる必要があります。 この予測と実績がずれてしまうと、インバランスとなります。需要計画<需要実績の場合は不足インバランス、需要計画>需要実績の場合は余剰インバランスとなり、不足インバランスの際は不足分の補給を、余剰インバランスの際は余剰分の買取を一般送配電事業者が行うことでインバランスが解消されます。

一般送配電事業者が調整したインバランス分の電気については、市場価格よりも高い費用を支払わなければならないのです。また需給管理の精度が低く、インバランスを多発させているような場合には、厳重注意を受ける可能性もあります。

FIP転換+蓄電設備併設の事例

経済産業省・資源エネルギー庁が新たな施策を公表したことで、今後FIP制度への移行が増加することが予想されます。これにより、太陽光発電所でも市場価格が高い時に電力を売ることができるシステムが求められるようになり、蓄電池を併設する事業への注目も高まっています。

福岡県の堀内電気による事例

福岡県のEPC企業である堀内電気は、2024年7月に自社のメガソーラー施設に蓄電設備を併設することを発表しました。蓄電設備の導入費は4.2億円で、2025年2月の完工を目指して現在着工中です。

蓄電設備の併設にあたり、FITからFIPへの切り替えを行い、経済産業省の『令和5年度補正予算・再生可能エネルギー電源併設型蓄電池導入支援事業・単年度事業』を活用しました。2024年6月18日に採択され、総工費の半分にあたる補助金を受給して進めるプロジェクトです。

春や秋の日中に日本卸電力取引所(JEPX)の価格が0.01円/kWhまで下落する九州では、蓄電設備を併設することで、夕方以降の価格上昇時にJEPXに電力を販売し、売電収入を増やすことが可能になります。

特に、FIPを活用すれば、0.01円の時間帯にJEPXに電力を卸す事業者にはFIPプレミアムが交付されず、0.01円以外の時間帯に電力を卸す事業者にはFIPプレミアムが付与されるため、蓄電設備を併設する発電事業者は収入を大幅に増やすことができます。この取り組みをきっかけに、FIP転換と蓄電設備併設が広がれば、九州の出力制御問題の解消に繋がる可能性があります。

まとめ

今回は出力制御について2回にわたりお伝えしました。今後、環境への配慮と太陽光事業者のコストメリットが両立すれば、太陽光発電事業のさらなる発展が見込まれます。

発電事業者の増加により、新たなビジネスの創出や再生可能エネルギーのさらなる導入が進むことが期待されます。

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