電力系統利用協議会

電力系統利用協議会(ESCJ)とは

電力自由化に伴い、送配電ネットワークを利用する事業者の公正な競争を確保することを目的として設立された有限責任中間法人です。2004年(平成16年)2月に発足し、同年6月に「送配電等業務支援機関」に指定されました。しかし東日本大震災後の「電力システム改革」により2015年(平成27年)に解散し、代わって電力広域的運営推進機関(OCCTO)が発足しました。

設立

2000年(平成12年)より開始された電力の小売自由化以降、発電・販売部門の多種・多数の事業者が電力系統を利用するようになりました。

電力系統における設備形成、系統アクセス、系統運用、情報開示等については、従来一般電気事業者である電力会社が自主的にルールを策定し対応をしてきましたが、送配電ネットワークを利用する事業者の増加により、一層の公平性・透明性の確保が必要でした。

このため、2004年に電力系統利用協議会(ESCJ)が設立され、電気事業法第6章の規定に基づき定められた送配電等業務支援機関(中立機関)に、経済産業大臣より指定されました。

果たした役割

ESCJは専門性・自主性を最大限に発揮することのメリットを活かしつつ、行政による意思決定手続等の公平性・透明性のチェックの下、系統利用ルールの策定、系統利用にかかわる紛争の斡旋・調停、連系線空容量等の系統情報の公開、地域間をまたぐ広域取引にかかわる連絡調整など、中立機関として送配電業務の円滑な実施を支援しました。

解散

しかしESCJには地域同士の融通などを支援することはできても、全国規模の電力需給の管理を果たすだけの十分な権限はありませんでした。2011年(平成23年)の東日本大震災・福島第一原子力発電所事故により、全国規模で電力需給体制の強化を図る必要性が新たに生まれました。

このため政府は、全面自由化と安定供給を両立する「電力システム改革」を進めることを決定し、実施に必要な措置を定めた電気事業法改正案が成立しました。

そして、改革の第1段として、需給の管理を、地域を越えてより効率的にやり取りすることで、安定的な需給体制を強化することを目的とし、改正法案に基づき2015年4月電力広域的運営推進機関(OCCTO)が設立されました。それに伴いESCJは解散し、その役割はOCCTOが引き継ぐこととなりました。

事業内容

ルールの策定

  1. 電力系統利用に関するルールの整備

ルール監視

  1. 系統利用者・電気事業者間の紛争の斡旋・調停
  2. 相談窓口設置による系統利用者ニーズの捕捉
  3. 送配電等業務の円滑な実施を確保するため必要な電気事業者に対する指導,勧告
  4. 送配電業務についての事業者からの苦情の処理

系統情報公開

  1. 送配電等業務に関する情報提供及び連絡調整

その他

  1. 送配電等業務の円滑な実施を支援するための調査・研究(各種統計の作成・公表、電力系統に関する調査研究など)
  2. 送配電業務の円滑な実施のための広報活動
  3. 長期需要、供給見通しなどによる供給信頼度評価
  4. 会社間連系線整備計画にかかわる調整

構成員

公平性・透明性・中立性を担保するために、構成員として一般電気事業者の他にも新規参入者、卸電気事業者・系統に連系している自家発電設置者、専門知識を有する学識経験者等を加え、かつ、これらの構成員のうち利害関係を有するグループのいずれもが、他より突出した議決権を保有しないようになっていました。また、専門的な事項については、内部に専門委員会を設けて検討していました。