EMS

概要

エネルギー管理システムとも言われており、情報通信技術(ICT)を用いて、家庭やオフィスビル、工場などのエネルギー(電気・ガス等)の使用状況を把握及び管理し、最適化する「省エネ」を行うシステムです。

具体的な内容

監視サーバーとネットワークを中心に構成されています。システムは照明や空調などのエネルギー設備を自動的に監視・制御し、建物内のエネルギー使用状況を一元的に把握、つまりどのくらいのエネルギーがいつ、どこで、何に使用されたのかを把握することができます。需要予測に基づいて設備機器の制御し、エネルギー使用量の最小化を図ります。

背景

資源エネルギー庁によると、部門別最終エネルギー消費(民生部門、産業部門、運輸部門)では、1973年度の消費量を100%とした場合、1998年の段階で、民生部門(家庭・業務部門)の消費量は217%にまで達しています。部門別の増加率では運輸部門(旅行)の274%についで2番目です。

それに対し、従来から省エネ法などでエネルギー消費の削減を課せられてきた産業部門では、106%にすぎません。このことから、主に家庭を中心にエネルギー・マネジメント・システムを普及することによって省エネ対策につながるのではないかと期待が高まっています。

エネルギー・マネジメント・システム(EMS)の派生

一般的にエネルギー・マネジメント・システムには、大きく二つに分類され、一つに家庭内で使われる「HEMS(Home Energy Management System)」そしてもう一つに業務用オフィスビルなどで使われる「BEMS(Building Energy Management System)」があり、基本的な仕組みは同じです。しかし、それぞれの対象の規模によっては、性能や機能に違いがあります。他にも、下記のような類型があります。

  1. FEMS (Factory EMS):工場向け
  2. CEMS (Cluster/Community EMS):地域全体向け
  3. MEMS (Mansion EMS):集合住宅 (マンション)向け など

展望・懸念

太陽光発電システムや蓄電池などのエネルギー機器や住宅機器、家電製品などを適切にコントロールし、CO2排出の削減を実現する省エネ住宅「スマートハウス」にHEMSの活用がされています。例えば冷暖房の使用、テレビやパソコンなどの電子機器の電源が入れられていたり、スマートフォンの充電といった細かい消費電力の使用状況が把握することから、省エネ対策を行うことができます。

また、最大使用電力を設定しておけば、家の総使用電力が設定量に達したときに、遠隔操作・自動でエアコンの温度設定を変えたり、優先順位の低い機器の電源を切るなど、エネルギー・マネジメント・システムが状況を判断し、コントロールすることが可能となります。

しかし、システム導入には大きなコストが必要となります。省エネのためだけに、高価な管理システムを導入しようという人はそう多くはいません。しかし、行政だけでなく、民間企業も独自に研究・開発を行い、エネルギー関連企業や家電メーカーとも連携しています。HEMS並びエネルギー・マネジメント・システム普及に向けて動き出しています。