節電アンケート調査、2015年冬季では家庭部門で過半数が節電実施

2016年04月18日

一般社団法人エネルギー情報センター

新電力ネット運営事務局

節電アンケート調査、2015年冬季では家庭部門で過半数が節電実施の写真

電力需給検討小委員会は、電力の安定供給を確保する観点から、電力需給の見通し等について検証する委員会です。その電力需給検証小委員会において、節電アンケートが実施されました。このコラムでは、そのアンケートで集計された家庭部門の節電内容について見ていきたいと思います。

9電力管内にて1万件超のアンケート集計

電力需給検証小委員が発表した資料によると、今後の電力需給検討のため、9電力管内において節電のアンケートが実施されました。昨年(2015年)の冬季における節電を調査する内容であり、1万件を超える回答を集計したデータとなっています(図1)。このうち、3電力会社(北海道電力・関西電力・九州電力)について、家庭部門における需要家の節電状況を見ていきたいと思います。

9電力管内におけるアンケート集計数

図1 9電力管内におけるアンケート集計数 出典:電力需給検証小委員会

家庭部門では過半数が節電を実施

アンケートから、家庭部門においては過半数の約6割が節電を実施したとの回答となりました(図2)。この数値は、大口需要家の約9割(関連記事)や、小口需要家の約8割と比較すると低い数値です。傾向として、電力を大量に使う需要家ほど、節電に対する意識が高い結果となっています。

以下にて、節電を実施した過半数の状況について、もう少し詳しく見ていこうと思います。

2015年度冬季の節電実施の有無

図2 2015年度冬季の節電実施の有無 出典:電力需給検証小委員会

節電の理由は、電気代節約が最多

節電を実施した理由としては、「電気代の節約」が最多で7割以上でした。次点で、「節電をすることが習慣化」の約4割、「環境意識が高まったから」の約2割と続きます。

割合としては直接的に家計の負担を和らげる「電気代の節約」がトップでしたが、「環境意識が高まったから」といった意識変化も一部の節電を促していることが分かります。「計画停電による社会的影響が大きい」といった理由や、ニュースや学校などでの呼びかけで節電の必要性を考えるといった回答もありました(図3)。

大口需要家においても、3電力事業者においては、電気料金の節約が8割程度で最多でした。ただし、大口部門においても「電力不安があり協力したいから」といった理由が2割ほどあり、家庭部門と同様、一部では環境意識の高まりが節電に繋がっているケースもあると考えられます。

節電を実施した理由

図3 節電を実施した理由 出典:電力需給検証小委員会

節電方法は、「照明をできるだけ消す」が最多

節電方法は非常に多岐にわたりますが、その中で「照明をできるだけ消す」が最多で、8割程度が実施している回答となりました。「テレビは必要なときだけ消す(約7割)」のように、使わない家電の電源を切るといった節電方法を取る回答者が多い結果となりました。

「長時間使わない機器のプラグを抜く(約5割)」、「リモコンではなく本体の電源を切る(約2割)」といった待機電力を気にする需要家も一定数いました。また、「冷蔵庫に食品を詰め込まない(約3割)」、「窓には厚手のカーテンをかける(約3割)」など、家電の使い方や生活雑貨の工夫で節電している事例も見られました。

その他、「夕方の電力需要ピーク時にはモップや箒を使う(約1割)」、「夕方に電気の使用が重ならないように家事を行う(約1割)」といった、ピーク期の需要を抑える行動も見られます。これら以外にも節電の方法はいくつもあり、多様な形で節電が実施されている結果となりました(図4)。

実施した節電の内容

図4 実施した節電の内容 出典:電力需給検証小委員会

9割以上が2016年度も節電を継続意向

2016年度においても、2015年度と同様に節電継続を意向する需要家の割合は、9割以上となりました。「分からない」を含めると99%となり、節電を継続しないとする回答は全体の1%でした(図5)。

この続きを読むには会員登録(無料)が必要です。

無料会員になると閲覧することができる情報はこちらです
電力の補助金

補助金情報

再エネや省エネ、蓄電池に関する補助金情報を一覧できます

電力料金プラン

料金プラン(Excel含)

全国各地の料金プラン情報をExcelにてダウンロードできます

電力入札

入札情報

官公庁などが調達・売却する電力の入札情報を一覧できます

電力コラム

電力コラム

電力に関するコラムをすべて閲覧することができます

電力プレスリリース

プレスリリース掲載

電力・エネルギーに関するプレスリリースを掲載できます

電力資格

資格取得の支援

電験3種などの資格取得に関する経済支援制度を設けています

はてなブックマーク

執筆者情報

一般社団法人エネルギー情報センターの写真

一般社団法人エネルギー情報センター

新電力ネット運営事務局

EICは、①エネルギーに関する正しい情報を客観的にわかりやすく広くつたえること②ICTとエネルギーを融合させた新たなビジネスを創造すること、に関わる活動を通じて、安定したエネルギーの供給の一助になることを目的として設立された新電力ネットの運営団体。

企業・団体名 一般社団法人エネルギー情報センター
所在地 東京都新宿区新宿2丁目9−22 多摩川新宿ビル3F
電話番号 03-6411-0859
会社HP http://eic-jp.org/
サービス・メディア等 https://www.facebook.com/eicjp
https://twitter.com/EICNET

関連する記事はこちら

物流業界の脱炭素化と中堅・中小企業のGX事例の写真

一般社団法人エネルギー情報センター

2023年12月29日

新電力ネット運営事務局

物流業界の脱炭素化と中堅・中小企業のGX事例

持続可能な未来に向けて物流業界の脱炭素化は急務です。その中でも大手物流企業のGX事例は注目すべきアプローチを提供しています。今回は、脱炭素化の必要性と大手物流企業が果敢に進めるGX事例に焦点を当て、カーボンニュートラル実現へのヒントを紹介します。今回は中堅・中小企業のGX事例です。

スコープ3の開示義務化が決定、脱炭素企業がとるべき対応とはの写真

一般社団法人エネルギー情報センター

2023年11月02日

新電力ネット運営事務局

スコープ3の開示義務化が決定、脱炭素企業がとるべき対応とは

2023年6月にISSBはスコープ3の開示義務化を確定。これを受けて、日本や海外ではどのような対応を取っていくのか注目されています。最新の動向についてまとめました。

電力業界の最新動向について/新電力の撤退等はピークアウト、3割が値上げへの写真

一般社団法人エネルギー情報センター

2023年09月12日

新電力ネット運営事務局

電力業界の最新動向について/新電力の撤退等はピークアウト、3割が値上げへ

厳しい状況が続いた電力業界ですが、2023年に入り、託送料金引き上げと規制料金改定により、大手電力7社が値上げを実施。政府は電気・ガス価格の急激な上昇を軽減するための措置を実施しています。値上げを実施する新電力企業も3割ほどあり、契約停止、撤退・倒産等もピークアウトしています。

“脱炭素先行地域”に62地域が選定。地域のエネルギーマネジメント推進や課題解決のキーワードになるかの写真

一般社団法人エネルギー情報センター

2023年08月31日

新電力ネット運営事務局

“脱炭素先行地域”に62地域が選定。地域のエネルギーマネジメント推進や課題解決のキーワードになるか

2030年度目標のCO2排出量2013年度比46%減を実現するために、地方から脱炭素化の動きを加速させています。今回は、事例を交えて脱炭素先行地域の取り組みについて紹介をします。

水素エネルギーの可能性に目を向け、各国が巨額投資!?海外の最新動向についての写真

一般社団法人エネルギー情報センター

2023年07月11日

新電力ネット運営事務局

水素エネルギーの可能性に目を向け、各国が巨額投資!?海外の最新動向について

6年ぶりの改訂が注目を集めた「水素基本戦略」。同資料の中でも、各国の水素エネルギーに関する動向がまとめられていました。世界で開発競争が激化してきた水素エネルギーについて最新の海外動向をご紹介します。

 5日間でわかる 系統用蓄電池ビジネス ビジネス屋と技術屋が一緒に考える脱炭素