緑地の気温緩衝器能で都心のヒートアイランド現象の緩和

  • 更新日:2020/08/28

所属:玉川大学

インターン生:H.Mさん

緑地の気温緩衝器能で都心のヒートアイランド現象の緩和の写真

ヒートアイランド現象というのは年々、大都市での高温時間が長くなり、その範囲が拡大し、熱帯夜の日数が増加し、都市部では郊外と比べて気温が高くなり、等温線を描く等、都市を中心とした「島」があるように見える状態の事です。

ヒートアイランド現象の実態

ヒートアイランド現象とは、都市の中心部の気温が郊外に比べて島状に高くなる現象です。ヒートアイランド現象は年間を通じて生じていますが、特に夏季の気温上昇が都市生活の快適性を低下させるとして問題となっています。東京周辺で30℃以上となる時間数は、1980 年代前半には、年間200 時間程度でしたが、最近では20 年前の約2倍になり、その範囲も郊外へ広がっています。

日本の各都市における気温の推移 出典:環境省

世界の平均気温は、ここ100 年で約0.7℃上昇しており、地球温暖化が主な原因と考えられています。一方、東京や名古屋など、日本の大都市の平均気温はこの100 年あたりで2.2℃~3.0℃上昇しています。日本の大都市においては、地球温暖化による気温上昇にヒートアイランド現象がもたらす気温上昇が加わって、急速に都市の温暖化が進んでいると言えます。

東京と世界の年平均気温の経年変化 出典:環境省

ヒートアイランドの原因

ヒートアイランド現象の緩和策

上に記したようにヒートアイランド現象は人工排熱の増加、地表面被覆の人工化、都市形態の高密度化の3つが原因となっています。人工排熱の低減として、建築物の屋上・壁面緑化を併用した冷暖房の使用で、地表面被覆の人工化の改善として、都市緑化の拡大で、都市形態の高度過密化によるものの改善として、地形地物による風の道の積極的利用です。

屋上・壁面緑化

屋上緑化とは、建築物の断熱性や景観の向上などを目的として、屋根や屋上に植物を植え緑化することです。同様に、建物の外壁を緑化することをいいます。屋上・壁面緑化は、ビルの維持管理費の削減にもつながり、緩和策のひとつとして期待されています。近年のような猛暑には、屋上の温度が緑化で大幅に抑制され、冷房費2割程度が削減できます。

都市緑化

都市緑化とは屋上・壁面緑化やアスファルトや土を芝生に置き換えを行う事です。潤いある環境を形成していくには、水と緑は不可欠の要素であり、自然と共生する都市の形成には、緑空間が基幹的な空間となります。

風の道

「風の道」とは、海や川などから都市に吹き込む風の道を造れば、郊外の低温の空気によって澱みが解消され、上空の低温の空気も降りてこられます。ようになって空気が循環するというもので、海外では成功例もあるので注目を集めています。

なぜ緑地が増えることがヒートアイランド現象の対策となるのか

緑地と言って思い浮かぶのは樹木の多い森林や、原っぱの様なものを思い浮かべる人が多いと思います。しかし都市における緑地には、建物を壊した後の空地や公園も含まれます。これらの場所は土の表面や植物が水を蒸発させるときに熱を吸収するからです。

それが感じられます。事はあまりありませんが、一つ上げるとしたら近年人気となっている森林浴です。森林浴をしている時の夏の暑さは少し違うと思います。その理由には上記の様な理由があり、その森林浴で感じる涼しさを感じられます。場所を都会にも増やすことがヒートアイランド現象の対策となるからです。

緑地の気象緩和機能

一般に樹林内の気温は樹林外と比較して日較差も年較差も小さくなります。これは日中、樹葉や地表面からの蒸発散にともなう潜熱の放出と、夜間の樹葉の水分の保持によります。また樹林の緑陰効果は気温だけでなく日射、風速、湿度とも関係するため、体感温度にはさらに大きな効果が出るといわれています。

夏期の高温緩和

これは、私たちの生活の場であまり認識されていませんが日常的に利用されています。例を挙げると、公園のベンチや大通りに面している街路樹です。 緑地の内外で比較すると林内の方が、日最高気温が低いです。

これは、樹葉が日射を遮り、吸収した日射エネルギーの多くを蒸発散に使ため、林内はあまり加熱されないためです。高温緩和機能は、樹木の疎密度や季節で変化し、葉量の多い林分で蒸発散の盛んな初夏は、高温緩和機能が最大で、林内外の日最高気温の差は約5℃に達します。

裸地に近い疎な林や冬季間の落葉樹林では、緩和機能はほとんど見られません。雨天や曇天の日には蒸発散量が少ないので、緩和機能は小さくなります。

冬期の低温を緩和

森林では、葉や枝が天井のように頭上を覆っており、夜間に地表の熱が天空へ放射して失われる放射冷却と呼ばれる現象が、林内では少なくなくなります。森林の内外の気温(地上高1.5m)は、良く繁った林内は林外とくらべて日最低気温が1℃前後高くなります。冬季間に冷気の滞留する地表面付近では、さらに低温緩和機能が大きく、日最低気温が林外より5℃以上高くなります。

乾燥の緩和

林では樹葉が蒸発散を行っているため、林外と比べて乾燥することが少なくなります。林の内部と林外の開放地の相対湿度は、良く繁った夏の東北地方の森林では、林内の日最低湿度が林外よりも10%以上高いです。日本は温暖湿潤な気候なので、森林の乾燥緩和機能が一般に利用される機会は多くないです。砂漠のオアシスなどでは、樹木によって周辺の乾燥を防止するなど、重要な役割を果たしています。

農地の気候緩和機能?

農地で栽培される作物が光合成や蒸発散することによって、光や熱を吸収し、気温を下げる働きがあります。とくに水田は水面からの蒸発によって気候を緩和していることにより、市街地および都市気候の気温上昇(ヒ-トアイアンド)が抑制されています。

例えば一般的に田舎と呼ばれている田園風景の残っている場所は都会に比べて同じ気温でも凉しいと感じるのは、上記の事が作用しているからです。

例えば、水田による気温低下は、農業総合研究所(1998)が水田内部と水田外部(150m離れた地点)との夏季における平均気温差=2.5℃、水田による平均気温低下効果=2.5℃×1/2=1.3℃となっています。

東京都のヒートアイランド現象の緩和策

今現在の東京都のヒートアイランド現象の緩和策は、大きく分けて2つあります。一つ目が東京湾に浮かぶ、ゴミと建設発生土で埋め立てられた中央防波堤内側埋立地です。この、高さ30メートルにおよぶゴミの山に苗木を植え、美しい森に生まれ変わらせる計画の延長で、この海の森を起点として、お台場、晴海、築地、皇居、新宿御苑、明治神宮といった都内の大規模緑地を、街路樹でつなぐことで、緑のネットワークを築く計画が進んでいます。

この緑のネットワークは海からの風を都市の内部に導く「風の道」として機能し、緑地によって冷やされた風が、都心部のヒートアイランド現象を抑える効果をもたらします。2つめが、屋上緑化の普及です。東京都は他の地方自治体より早く、敷地面積1、000m²以上の民間施設(公共施設は250m²以上)を対象として、新築や増築等の場合に一定基準以上の緑化の義務づけを行いました。

この義務は原則として、敷地面積から建築面積を差し引いた面積の2割以上、及び人の出入りおよび利用可能な屋上面積の2割以上の緑化を義務づけています。建築物上の緑化面積として、補助資材で覆われた面積を全てカウントすることができます。

海外の都市緑化の成功例

日本よりも先に都市緑化に取り組んだ国がいくつかあります。そのうちの一つとして、スイスが挙げられます。1970年代から、スイスでは本格的に屋上緑化が取り入れられ始められています。また、1996年から、バーゼル市では自然保護と省エネルギーを推奨するため、屋上緑化を導入した施主に対して、1 m²当たり、20スイスフラン(約1740円)、合計100万スイスフラン(8700万円)の補助を行うキャンペーンが行われました。

この期間で120件以上、合計80,000 m²の屋上緑化が整備されました。近年スイス、バーゼル市における屋上緑化の特徴としてブラウンルーフというものがあります。 ブラウンルーフとは、粗放的でありつつ、生物の多様性に配慮した屋上緑化の1種です。

自分たちの家でもできる緑化がある

上記のものは、業者などに頼まないといけないようなものが多かったのです。が自分たちのベランダや玄関先で行うことができるものがあります。それは、サツマイモによる屋上緑化です。葉が大きく蒸散量が多いため、気化熱により大量の熱を吸収、遮熱効果も期待できます。

水気耕栽培で育てるためコンパクト・軽量で既存ビルへの導入が容易、病害虫にも強く、ヒートアイランド現象の対策として最適な緑化植物です。サツマイモ緑化を行っていない地区の最高温度28℃に対して、サツマイモ緑化を行っている地区は最大55℃、差は27℃にもなりました。

太陽からの正味エネルギー量の80%が蒸散作用により吸収されることも把握でき、ヒートアイランド対策として大きな効果があることがNTTファシリティーズとNTT都市開発実証実験により確認されました。

この、サツマイモの栽培は自宅のベランダでも行うことができる上に、時期が終わった時にサツマイモの収穫が行えるので、楽しみながらできます。また、朝顔やゴーヤなどのつる性植物を植えて、ベランダなどの高い所と防風ネットなどでつなぎそのネットを伝いながら成長することで壁面緑化を行う事も出来ます。

上記の様に自分たちの家の軒先でできる事は他にもたくさんあるので会社などで行う緑化だけではなく、自分たちの家でできる緑化を一人一人が行っていけるといいなと思います。

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エコモ博士
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