電気の品質

新電力に切り替えても、電気の品質に違いは発生しません。電気の品質の定義として一義的に定められたものはありませんが、一般的には、周波数、電圧、瞬時電圧低下、フリッカ、高調波、電圧不均衡などのパラメータを用いて表されます。

例えば、電圧の品質レベルについては、電気事業法施行規則44条に「標準電圧100Vの場合、101Vの上下6Vを超えない値、標準電圧200Vの場合、202Vの上下20Vを超えない値」で維持するよう規定されています。

例えば電圧変動や周波数変動が発生すると、回転機の回転数が変動するため、特に回転機を使用している工場で生産設備への影響が懸念されます。その他、様々な業界にその悪影響は波及し、電力会社単体の問題ではなく、電力の品質悪化による被害は社会全体に及び、ひいては日本という国にとって大きな損失となります。そうしたことから、上記のように電気事業法で規定されているほか、経産省の各種ガイドラインなどにより品質が守られています。

既に多くの大病院や、国の基幹施設等においても新電力に切り替わっておりますが、もし新電力の切替により電気の品質に差が生じる事態になるようであれば、例えば医療機器などの場合、致命的な故障につながるなど、想定できないほどの被害に拡大する可能性があります。

電力自由化の議論においても、電力の品質については一切の変動がないよう、これまでと同じ送配電ネットワークを使って電気が届けられるよう設計されており、経産省などのHPにも公開されているよう、これまでと全く同一の電気が届けられます。前提として、電気をめぐる巨大なインフラシステムは施設ごとではなく、社会全体で一体的に管理・運営されているため、前述のようにこれまでと同じ送配電ネットワークで全く同一の電力品質にする仕組みであることは、電力インフラの運用上でも合理的であるといえます。

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