インバランス料金
インバランス料金とは
新発電会社が計画と実績の同時同量を達成できずに供給する電力の過不足が発生した場合、その調整のための対価として支払わなければならない料金のことです。
インバランス料金のメリット
インバランス料金には新電力会社が同時同量を守らなかった際の罰則の意味があります。つまり、事業者に対して販売と発電を一致させるという努力を促すことができ、電力の安定供給につながります。
インバランス料金のデメリット
小規模な事業者ほどインバランス料金による負担が大きいため、大規模な事業者ほど有利になる傾向があります。また、インバランス料金の精算に時間がかかるなど、会社の業務に支障をきたす要因にもなっています。
インバランス料金の算出方法
インバランス料金の現在の計算式は以下のようになっています。
インバランス料金=スポット市場価格と1時間前市場価格の30分毎の加重平均値×α+β
α:系統全体の需要供給に応じた調整項
β:地域ごとの市場価格差を反映する調整項
インバランス料金変更の背景
インバランス料金の算定方法に関する変更は、2016年4月1日、2017年10月1日に実施されています。
2016年4月に変更が行われた背景としては、電気の小売全面自由化が行われたことがあげられます。
2016年4月の変更では、もともと発電実績と需要実績の差分をインバランス料金として支払っていましたが、発電と需要それぞれで計画と実績に差が出た場合にその差分をインバランス料金として支払うことになりました。
その後、2017年10月1日にもインバランス料金の算定方法が変わりました。算定方法が変わった背景としては、インバランス料金の予見がある程度しやすく事業者に同時同量をあまり守ってもらえない可能性がある、インバランス料金とそれぞれの地域の電気の価格との間に差が生じているといったことがあげられます。
変更内容としてはαの上下限を20%から3%としたこと、βを「地域ごとの需要調整コストの水準差を反映する調整項」から「地域ごとの市場価格差を反映する調整項」に変わりました。
これにより、事業者に同時同量をより守らせることができる、βにそれぞれの地域の電気の価格が関わることによりインバランス料金とそれぞれの地域の電気の価格との間の差を軽減できることが期待できます。
バランシンググループとは
インバランス料金を抑えるためには、同時同量を守る必要性があり、同時同量を守りやすくするには顧客数を増やすことが重要になります。しかし顧客数が少ない新電力会社は同時同量が守ることが難しく、また規模も小さいため多額のインバランス料金を支払うことは死活問題になります。その対応策として、複数の新電力会社を一つのグループとして、その中で電力の融通を行うことによりインバランス料金を減らす「バランシンググループ」という制度があります。
この制度のメリットとしては、小規模な事業者のインバランス料金を抑えることで新規参入を促すことができることがあげられます。
デメリットとして、この制度では代表となった会社が各地域の電力会社とやり取りを行うことになります。それによりグループ内の電力のデータに関する30分毎の膨大な事務処理が代表となった一社に集中してしまうこと、グループ内の各会社の発電量などのデータが共有されてしまうことがありましたが、第三者機関にそれらの事務処理を任せることで解決することができます。