環境エネルギー政策研究所
環境エネルギー政策研究所(ISEP)とは
環境エネルギー政策研究所(ISEP : Institute for Sustainable Energy Policies)は、持続可能なエネルギー政策の実現を目的とする、政府や産業界から独立した第三者機関です。
2000年9月、飯田哲也氏を所長とし、地球温暖化対策やエネルギー問題に取り組む環境活動家や専門家によって設立されました。
設立目的
自然エネルギーや省エネルギーの推進のための国政への政策提言、地方自治体へのアドバイス、そして国際会議やシンポジウムの主催など、幅広い分野で活動を行っています。
また、欧米、アジアの各国とのネットワーキングを活用した、海外情報の紹介、人的交流など、日本の窓口としての役割も果たしています。
ミッション
次のような持続可能なエネルギー社会を目指しています。
(1)自然エネルギーを軸とした効率的なエネルギーシステム
(2)エネルギー利用にともなう便益とリスクの分配が公平な社会
(3)エネルギー政策や社会政策の意思決定が透明で参加的な社会
(4)個人と地域が自立した地域分権型のエネルギー社会を柱とした持続可能なエネルギー社会
また、目指している持続可能なエネルギー社会を次のような活動で実現します。
(1)持続可能なエネルギー社会に向けた知の創造
(2)持続可能なエネルギー政策措置の研究と革新と実現
(3)革新的な持続可能なエネルギー事業モデルの創発と実践
(4)オープンソースによる開かれた活動
活動内容
持続可能なエネルギー社会実現のために次のような4つの領域における成熟と発展が必要不可欠であると考え、そのすべてを主要な活動領域としています。
- エネルギー政策
- エネルギー事業
- ファイナンス
- コミュニティ
具体的には、エネルギー政策の研究と提言、自然エネルギーの普及啓発に取り組んでいます。また、東日本大震災以降は、エネルギー政策が根底から問い直される中、エネルギー政策転換に向け戦略と具体的方策の双方からの提言および活動を展開しています。
また、もうひとつの重要な活動として、国内外の様々な関係機関とのネットワークを活用した情報・知識の交流を行っています。国内では、各自然エネルギー事業者団体の協働の場である日本再生可能エネルギー協会(JREP)のメンバーとして、政策提言活動をおこなっているほか、海外の主要な自然エネルギー関連団体等とのネットワークを通じて、国際会議や研究活動などの交流を図っています。
結果・効果
環境エネルギー政策の研究を日本における研究者及び海外研究所との連携のもとに行う一方、研究を通じて培われた知見を実践として自治体との連携によりエネルギー・気候変動政策を推進させることが可能になりました。
東京都
- 太陽熱を熱源としたグリーン熱証書制度の創設に向けて最終のとりまとめ(2008年8月)
- 太陽エネルギー利用拡大連携プロジェクトキックオフ大会(2008年8月29日)
神奈川県
- 神奈川県地球温暖化対策推進条例(仮称)のあり方について最終案(2008年6月)
横浜市
- 環境政策アドバイザーとして市職員との定期的な会合
川崎市
- 川崎市地球温暖化対策地域推進計画(改訂版)の骨子(素案)(2008年8月)
北九州市
- 低炭素都市に向けたシンポジウム(2012年3月27日)
国内外のNGOと連携
Make the Ruleキャンペーン(2008年8月~2011年3月)
温室効果ガス削減目標を定め、その目標達成のために温室効果ガスを確実に減らす制度作りを求めるキャンペーンです。環境エネルギー政策研究所は、実行委員団体として参加し、自然エネルギー部門の政策提言を担当しました。
CAN
1989年に設立され、継続的に気候変動交渉に関わっています。環境エネルギー政策研究所は、120カ国以上・1100の環境NGOからなる国際ネットワーク組織であるClimate Action Network(CAN)の日本拠点であるCAN-Japanのメンバー団体です。
REN21
世界の自然エネルギーの概況を最も包括的に示す年次報告である「自然エネルギー世界白書」を発表しています。環境エネルギー政策研究所は、初刊の2005年版の構想段階から継続的に協力し、日本語への翻訳も行っています。
また、日本になかった自然エネルギー関連団体を集める場として2008年7月にJREPPも発足しました。これらにより、停滞する日本のエネルギー政策を、自治体から先導することで、持続可能な社会へ向けた実践例を作り出し、政策転換への一つの道筋を作ることに貢献しました。
そのほか、環境エネルギー政策に関する最新の研究成果と知見を日本の気候変動政策コミュニティに提供し、市民社会における知の蓄積に貢献しました。