大和ハウス工業、住宅業界で世界初の「EP100」「RE100」に加盟
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2018年03月07日
一般社団法人エネルギー情報センター
大和ハウス工業が国際イニシアティブ「EP100」と「RE100」に加盟したと発表しました。「EP100」と「RE100」の双方への加盟は建設・住宅業界で世界初です。「EP100」への加盟については、日本初の事例です。
大和ハウス工業、「EP100」と「RE100」に加盟
「EP100」と「RE100」は、国連気候変動枠組条約「COP21」のパリ協定達成を目的とする国際イニシアティブです。「EP100」は、エネルギー効率の高い技術や取り組みの導入を通じて、事業のエネルギー効率を倍増することを目標に掲げる企業連合です。The Climate GroupがAlliance to Save Energyとのパートナーシップの下で主催しており、H&Mやジョンソンコントロールズなど、現在14社が参加しています。[EP100一覧]
「RE100」は、事業運営に要する電力を100%再生可能エネルギーで調達することを目標に掲げる企業連合です。The Climate Groupと、Carbon Disclosure Projectが共同で運営しています。IKEAやGoogleなど、現在127社が参加しています。[RE100一覧]
大和ハウス工業は2018年3月1日、これら国際イニシアティブである「EP100」と「RE100」の双方に加盟したと発表しました(図1)。「EP100」にはこれまで日本企業が参加しておらず、大和ハウス工業が初となります。「RE100」については、2017年4月21日にリコーが日本企業として初参加と発表、その後に積水ハウス、アスクルと続き、大和ハウス工業は4社目となります。また、「EP100」と「RE100」の双方への加盟は、建設・住宅業界で世界初です。
「環境負荷ゼロ」への挑戦が「EP100」への加盟に
大和ハウスグループは環境長期ビジョン「Challenge ZERO 2055」に基づき、グローバル一体での環境経営を推進しています。「環境負荷ゼロ」に挑戦しており、2016年度には大和ハウスグループの事業活動における消費エネルギー量あたりの売上高は、2005年度比約2倍を達成しました。「EP100」への加盟理由について、大和ハウスグループによると、既存・新築の自社施設でのさらなる省エネルギーの実現に向けた取組としています(図2)。
再エネ事業の推進が「RE100」加盟に
大和ハウスグループでは、2007年より「風」「太陽」「水」の再生可能エネルギー資源の有効活用をテーマに、自社未利用地を活用した再生可能エネルギーによる発電事業を推進しています。その結果、大和ハウスグループの再生可能エネルギー発電設備は、2017年12月末時点で227MWまで達しています。その発電量は、大和ハウスグループの総電力使用量481GWhの約6割に相当します。
「RE100」への加盟理由について、大和ハウスグループによると、さらなる再生可能エネルギーの活用を推進するための取り組みとしています。
2007年 | 愛媛県佐田岬に風力発電所(9,000kW)を建設し、発電事業に本格参入 |
---|---|
2012年 | 自社施設の屋根や未利用地において、メガソーラー事業を開始 |
2015年 | 岐阜県飛騨市宮川町に水力発電所(約2MW)を建設し、水力発電事業に参入 |
2018年 | 愛媛県西予市で風力発電所(16MW)を着工 |
イニシアティブへの加盟により財務基盤のさらなる強化を目指す
大和ハウスグループは、「EP100」「RE100」への加盟を機に、自社施設でのエネルギー効率向上と再生可能エネルギーの活用を加速させるとしています。そのモデルケースとして、2018年2月26日に竣工した「大和ハウス佐賀ビル」があります。
「大和ハウス佐賀ビル」では、井水・太陽熱利用ハイブリッド空調システム等の導入により、一般建築と比較して2倍以上のエネルギー効率を達成しています。また、太陽光発電(83.2kW)とリチウムイオン蓄電池(75kW)を組み合わせた電力自立システムにより、再生可能エネルギーによる電力自給自足オフィスが実現しました。
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執筆者情報
一般社団法人エネルギー情報センター
EICは、①エネルギーに関する正しい情報を客観的にわかりやすく広くつたえること②ICTとエネルギーを融合させた新たなビジネスを創造すること、に関わる活動を通じて、安定したエネルギーの供給の一助になることを目的として設立された新電力ネットの運営団体。
企業・団体名 | 一般社団法人エネルギー情報センター |
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