法人向け 家庭向け

東京都がCO2排出量の小さい電力・熱供給事業者を認定、キャップ&トレード制度においてCO2削減量に算定可能

一般社団法人エネルギー情報センター

新電力ネット運営事務局

東京都がCO2排出量の小さい電力・熱供給事業者を認定、キャップ&トレード制度においてCO2削減量に算定可能の写真

2月7日、東京都は「低炭素電力」・「低炭素熱」の認定供給事業者を決定したと発表しました。低炭素電力認定供給事業者については、昨年は4事業者であったのが本年度は13事業者となり、9事業者の増加となります。

東京都が「低炭素電力」・「低炭素熱」事業者を認定

東京都では、2010年度から環境確保条例に基づき、「温室効果ガス排出総量削減義務と排出量取引制度」を運用しています。本制度は、大規模事業所(前年度の燃料、熱、電気の使用量が原油換算で年間1,500kL以上)にCO2排出量の削減義務を課すものです。オフィスビル等も対象となっており、世界初の都市型キャップ・アンド・トレード制度といえます。

「温室効果ガス排出総量削減義務と排出量取引制度」は、対象事業所における省エネ対策等によるCO2削減を目的としています。この制度において、2015年度~2019年度からは第2計画期間として、東京都は排出係数が小さい電力・熱供給事業者を「低炭素電力」・「低炭素熱」として認定することを開始しました。これら認定事業者による電力・熱供給はCO2排出が少ないとされるので、認定事業者から電気又は熱を受け入れた事業所は、CO2削減相当として算定できることとなります。

今回の仕組みにおいて、低炭素電力認定供給事業者は13事業者、低炭素熱認定供給事業者は32事業者となりました。熱事業者の数は昨年度と変更はありませんが、電力事業者に関しては昨年度から9事業者の増加となっています(図1)。実に3倍以上に増加しており、電力自由化により市場開放されたことが要因の一つだと考えられます(表1)。

区分認定供給事業者数

図1 区分認定供給事業者数 出典:東京都

低炭素電力の認定要件

CO2排出係数が0.4t-CO2/千キロワット時以下かつ再生可能エネルギーの導入率が小売量ベースで20%以上又は低炭素火力の導入率が小売量ベースで40%以上

低炭素電力認定供給事業者の一覧

事業者名 排出係数〔t-CO2/千kWh〕 再エネ導入率 低炭素火力導入率
プレミアムグリーンパワー株式会社 0.012 0.791
荏原環境プラント株式会社 0.087 0.551
株式会社S-CORE 0.158 0.899
出光グリーンパワー株式会社 0.218 0.582
昭和シェル石油株式会社 0.299 0.215 0.727
株式会社エナリス・パワー・マーケティング 0.304 0.534
ダイヤモンドパワー株式会社 0.304 0.311
リエスパワー株式会社 0.314 0.425
日産トレーディング株式会社 0.351 0.331
株式会社Looop 0.353 0.31
株式会社みらい電力 0.355 0.345
パナソニック株式会社 0.379 0.61
株式会社エネット 0.389 0.67

表1 低炭素電力認定供給事業者の一覧 出典:東京都資料より作成

都内に電力供給する事業者は2倍以上の128事業者に

東京都環境局では、都内に電気を供給する小売電気事業者から、CO2排出係数の低減や再生可能エネルギーの導入を計画的に推進するための計画書や報告書の提出を受け、毎年度公表しています。その報告によると、対象事業者は電力の小売全面自由化に伴い、2015年度の51事業者に比べて2倍以上に増加し、2016年度は128事業者となりました。

東京都内への電力供給に伴う再生可能エネルギー量ですが、2013年度は5327百万kWhであったのに対し、2014年度は6189百万kWh、2015年度は7434百万kWhと徐々に増加しています。再生可能エネルギーが増えたこともあり、都内への電力供給に伴うCO2排出量及び排出係数も改善してきており、例えば排出係数は2013年度で0.522kg-CO2/kWhであったのが、2015年度には0.492kg-CO2/kWhと向上しています。

都内への電力供給に伴う CO2 排出量及び CO2 排出係数と再生可能エネルギーの供給

都内への電力供給に伴う CO2 排出量及び CO2 排出係数と再生可能エネルギーの供給 出典:東京都

低炭素熱の認定は昨年度から横ばい

低炭素熱の認定数については、昨年度と同様の32事業者となっています(図2)。低炭素電力の認定数は3倍以上に増えておりますので、熱供給とは大きな差がありますが、これは前述のように電力自由化が大きな要因になっているものと考えられます。2017年4月からガス自由化が始まりますが、多様な企業が参入することで低炭素熱の認定事業者数が今後は増えていくことが期待されます。

低炭素熱の要件

この続きを読むには会員登録(無料)が必要です。

無料会員になると閲覧することができる情報はこちらです

電力の補助金

補助金情報

再エネや省エネ、蓄電池に関する補助金情報を一覧できます

統計情報

統計情報(Excel含)

エネルギー関連の統計情報をExcel等にてダウンロードできます

電力入札

入札情報

官公庁などが調達・売却する電力の入札情報を一覧できます

電力コラム

電力コラム

電力に関するコラムをすべて閲覧することができます

電力プレスリリース

プレスリリース掲載

電力・エネルギーに関するプレスリリースを掲載できます

電力資格

資格取得の支援

電験3種などの資格取得に関する経済支援制度を設けています

はてなブックマーク

執筆者情報

一般社団法人エネルギー情報センターの写真

一般社団法人エネルギー情報センター

新電力ネット運営事務局

EICは、①エネルギーに関する正しい情報を客観的にわかりやすく広くつたえること②ICTとエネルギーを融合させた新たなビジネスを創造すること、に関わる活動を通じて、安定したエネルギーの供給の一助になることを目的として設立された新電力ネットの運営団体。

企業・団体名 一般社団法人エネルギー情報センター
所在地 〒160-0022
東京都新宿区新宿2丁目9−22 多摩川新宿ビル3F
電話番号 03-6411-0859
会社HP http://eic-jp.org/
サービス・メディア等 https://www.facebook.com/eicjp
https://twitter.com/EICNET

関連する記事はこちら

一般社団法人エネルギー情報センター

2026年04月29日

新電力ネット運営事務局

ホルムズ海峡が夏まで封鎖された日本企業のコストと電力に何が起きるかー前編:原油高・物流混乱・マージンスクイーズー

2026年春、ホルムズ海峡の通航制約はエネルギー市場と海運に強い緊張をもたらしています。米国とイランの対立が続くなか、夏まで長引く可能性も現実味を帯びています。日本には約8か月分の石油備蓄があり、直ちに燃料が枯渇する状況ではありません。 ただし、備蓄があることとコストが上がらないことは別の話です。この通航制約が長引いた場合、日本企業が向き合うのは「コスト急増」と「需要減退」の二重ショックになりやすい、というのがこのコラムの見立てです。 前編では原油高・物流混乱・マージンスクイーズを中心に、封鎖が企業コストに与える影響を整理します。

一般社団法人エネルギー情報センター

2026年04月27日

新電力ネット運営事務局

電気料金の今後について、送配電事業の中立性と意義、2028年の第2規制期間を見据えた今後の行く末

日本の電力システムを支える「レベニューキャップ制度」について、2023年の導入から現在に至る託送料金改定の動向と、インフレや発電側課金といった最新の環境変化を解説します。また2028年の第2規制期間を見据えた今後の行く末を展望していきます。

一般社団法人エネルギー情報センター

2026年04月23日

新電力ネット運営事務局

国際情勢は読めない。しかし、電気料金への波及順序は読める―燃料価格の乱高下は、どの料金メニューにいつ届くのか

国際情勢は読めない。 中東情勢や資源価格の先行きが不透明な今、多くの人が「電気料金はどうなるのか」と不安を抱えています。 しかし実は、電気料金への影響はある程度読めるものです。 燃料価格の変動は、一定の仕組みと順序を通じて、時間差を伴いながら料金に反映されていきます。 本稿では、2022年のウクライナショックを踏まえながら、電気料金がどのようなルートで、どの順番で変動していくのかを整理します。

一般社団法人エネルギー情報センター

2026年04月09日

新電力ネット運営事務局

系統用蓄電池は、いつから「前提」になったのか 【第3回】収益は「見えにくい」のか、それとも見え方を混ぜているのか

前回は、系統用蓄電池をめぐる議論がかみ合いにくくなる背景として、立場ごとの時間軸や評価軸の違いを整理しました。政策、系統運用、事業者、投資家、それぞれが同じ対象を見ながら異なる物差しで評価している構図がそこにあります。それでも議論の現場では、繰り返し聞かれる言葉があります。「収益が見えにくい」というものです。 蓄電池は10年から15年の運用を前提とする長期資産であり、その収益の根拠となる市場制度や価格の前提は、数年単位で更新され続けます。長期資産と短期制度が重なるとき、収益の見え方はどのように変わるのか。連載の締めくくりとして、その背景を順に見ていきます。

一般社団法人エネルギー情報センター

2026年03月06日

新電力ネット運営事務局

系統用蓄電池は、いつから「前提」になったのか 【第2回】立場ごとの時間軸と評価軸

前回は、系統用蓄電池が議論の「前提」として扱われるようになった背景を、三つの流れの合流として整理しました。制度が整い、コストが下がり、再エネの導入量が増えた。その重なりが、蓄電池を自然に検討の出発点に置く状況を形作っています。 ただ、同じ前提を共有しているはずの場で、同じ対象を扱いながら議論の焦点が重ならない場面が見受けられます。情報量が増え、関係者が増え、検討が深まるほど、情報の整理に要する前提条件が増えるという感覚を持つ担当者も少なくありません。 今回は、その背景にある構造を取り上げます。