石炭火力による健康被害の想定値、東京・千葉において260人/年の早期死亡リスク
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一般社団法人エネルギー情報センター

グリーンピース・インターナショナルのラウリ・ミルヴィエルタ氏は、5月に「新規石炭火力発電所による 大気環境および健康への影響 」の調査結果を発表しました。調査によると、今後の新規石炭火力の建設における健康リスクは、260 人/年(95%信頼区間 140〜370)の早期死亡者数と、30人の低出生体重児として現れます。
新規石炭火力発電所にフォーカスし、大気環境および健康への影響を推定
昨今、大気汚染は日本に限らず世界中で環境および健康上の問題として議論されています。本調査は、日本において新規建設される石炭火力発電所にフォーカスし、大気環境および健康への影響を推定したものです。特に健康被害の影響を受けやすい日本の二大人口集中地域周辺(東京・千葉エリアと大阪・兵庫エリア)における、新規建設が計画されている石炭火力が調査対象となっています。
G7の中で日本は、最も多くの新規石炭火力発電所の建設を計画している国です。石炭火力の建設が計画されている場所の多くは人口過密地域に近く、健康被害の影響も大きくなる可能性が高いです。東京の200km圏内には設備容量7,500MWに及ぶ10件の計画が、大阪・兵庫エリアには、500MWに及ぶ15件の計画が点在しています(図1)。

図1 ケーススタディ対象発電所の基本情報 出典:GREENPEACE
本調査においては、計画中の火力発電所からの汚染排出によって生じる大気環境への影響について、米国環境保護庁(EPA)が推奨するCALPUFF大気汚染モデルシステムが使われています。また、排出された大気汚染物質に暴露した際の健康影響はモデル化され、世界保健機構(WHO)の指針に従って評価されています。
石炭の燃焼には、常に大量の大気汚染物質(主に SO2、NOx、ばい塵など)の生成を伴います。しかしながら、新規に建設される石炭火力には一定の排出規制が課されるため、燃焼排ガスの汚染物質の多くを除去する排出制御装置が取り付けられます。ただ、そうした装置を利用しても、100%汚染物質を除去することは不可能であり、本調査ではCALPUFFモデルで健康被害が推定されています。
CALPUFFモデルシステムでの解析には、排出源の位置、それぞれの汚染物質の排出量、煙の出方に影響する煙突の特徴(煙突高と煙突径、燃焼排ガスの温度と速度)の情報が必要となります。今後建設が計画されている石炭火力が発する大気汚染物質について、計画の段階で入手できる限りの燃焼排ガス中の汚染物質濃度データを基に推定されています(図2)。

図2 排出量と煙突の特徴データ 出典:GREENPEACE
大気環境への影響:東京・千葉エリアのケーススタディ
本調査で対象とした石炭火力は、千葉の中部・北部、茨城南部、および東京首都圏の大気環境に重大な影響を与えると推定されています(図3)。特に夏季においては影響が著しい、といった結果となりました。

図3 対象石炭火力発電所からの排出により増加する24時間濃度の最大値(東京・千葉) 出典:GREENPEACE
大気環境への影響:大阪・兵庫エリアのケーススタディ
本調査で対象とした石炭火力は、大阪・神戸エリアと名古屋の大気環境に重大な影響を与えると推定されています(図4)。こちらも東京・千葉エリアと同様に、特に夏季においては影響が著しい、といった結果となりました。

図4 対象石炭火力発電所からの排出により増加する24時間濃度の最大値(大阪・兵庫) 出典:GREENPEACE
東京・千葉エリアでは、早期死亡者数が年間で260人の推定
東京・千葉エリアで計画されている石炭火力発電所からの健康影響は、運転1年あたりの早期死亡者数が260人となる推定です。一方で、大阪・兵庫エリアにおいては、199人という規模になっています(図5)。
計画されている発電所が一旦建設されれば、40~50年は継続稼働することになる可能性が高いです。40年間以上にわたる健康影響は、東京・千葉エリアでは約1万人、大阪・兵庫エリアでは約8千人という早期死亡者数となって現れるとしています。

図5 調査対象とした石炭火力発電所からの排出に関連する年間早期死亡者数(1年あたり) 出典:GREENPEACE
東京・千葉エリアで計画されている石炭火力発電所からの健康影響において、低出生体重児の観点から見ると、年間で30人増加との予測です。大阪・兵庫エリアでは21人となります(図6)。
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