再エネ補助金開始、固定価格買取制度(FIT)を使わない設備で利用可能
| 政策/動向 | 再エネ | IT | モビリティ | 技術/サービス | 金融 |
一般社団法人エネルギー情報センター

4月28日、再エネ設備の導入を支援する補助金「再生可能エネルギー事業者支援事業費補助金」の公募が開始しました。固定価格買取制度の設備認定を受けない発電設備などを対象に費用補助を実施する内容となっております。
再エネ補助金、要件として「固定価格買取制度の認定を受けない設備」
「再生可能エネルギー事業者支援事業費補助金」は、平成28年度予算における事業であり、地域における再生可能エネルギー利用の拡大を図ることによって、内外の経済的社会的環境に応じた安定的かつ適切なエネルギー需給構造の構築を図ることを目的としています(図1)。
再生可能エネルギーを利用した熱利用設備や発電設備で利用できる補助金であり、発電設備に関しては「固定価格買取制度の認定を受けない」ことが要件となります。

図1 再生可能エネルギー事業者支援事業費補助金の概要 出典:環境共創イニシアチブ
補助対象となる再エネ設備の概要
発電設備に関しては、「太陽光発電、風力発電、バイオマス発電、水力発電、地熱発電、それらの設備に付帯する蓄電池」が補助対象となります。
また、熱利用設備に関しては、「太陽熱利用、温度差エネルギー利用、雪氷熱利用、地中熱利用、バイオマス熱利用、バイオマス燃料製造」が対象となります。非常に幅広い類型の再エネ設備にて利用可能な補助金となっております(図2)。

図2 補助対象設備の概要 出典:環境共創イニシアチブ
発電設備においては、固定価格買取制度の認定を受けないことが要件
前述のとおり、発電設備については「固定価格買取制度の認定を受けない」ことが要件となっております。近年、特に太陽光発電に関しては固定価格の買取単価が下落傾向にあり、本補助金の利用による経済的メリットが生まれやすくなっています。その他各発電設備における要件の概要については、下記の表をご参考下さい(表1)。
| 再生可能エネルギー発電設備共通(下記1~6) | 再生可能エネルギー発電設備の年間発電量が、ひとつの需要先の年間消費電力量(※)の 範囲内であること |
|---|---|
| 1.太陽光発電 | 太陽電池出力10kW以上 |
| 2.風力発電 | 発電出力10kW以上(単機出力1kW以上) |
| 3.バイオマス発電 | ①バイオマス依存率60%以上 ②発電出力 10kW 以上 |
| 4.水力発電 | 発電出力10kW以上1,000kW以下(単機出力1kW以上) |
| 5.地熱発電 | 特に無し |
| 6.上記1~5の組み合わせ | 再生可能エネルギー発電設備の出力合計 10kW以上 |
| 7.蓄電池 | 1~6の再生可能エネルギー発電設備を導入する場合に限る。導入する再生可能エネルギー発電設備の出力の同等以下 |
表1 各発電設備における要件の概要 出典:環境共創イニシアチブ資料より作成
非常に幅広い再エネによる熱設備が補助対象
熱利用設備に関しては、共通の要件として「熱を利用する区域・用途に占める再生熱の割合(再エネ率)が10%以上、 または再生熱の年間総発熱量200GJ 以上」があります。その他、各設備の類型により必要な要件は異なり、概要については下記の表をご参考下さい(表2)。
| 熱利用設備共通(下記1~7) | 熱を利用する区域・用途に占める再生熱の割合(再エネ率)が10%以上、 または再生熱の年間総発熱量200GJ 以上 |
|---|---|
| 1.太陽熱利用 | 集熱器総面積10㎡ 以上 |
| 2.温度差エネルギー利用 | 熱供給能力0.10GJ/h(24Mcal/h) 以上 |
| 3.雪氷熱利用 | 冷気・冷水の流量を調節する機能を有する雪室・氷室に限る。 |
| 4.地中熱利用 | ①暖気・冷気、温水・冷水、不凍液の流量を調節する機能を有する設備に限る。 ②ヒートポンプを設置する場合、熱供給能力10kW 以上 |
| 5.バイオマス熱利用 | ①バイオマス依存率 60% 以上 ②バイオマスから得られる熱供給能力 0.40GJ/h(0.095Gcal/h) 以上 ③バイオマスコージェネレーション(熱電併給)設備の場合 発電出力10kW 以上 |
| 6.バイオマス燃料製造(メタン発酵方式) | ■バイオマス依存率60% 以上 ■ガ ス 製 造 量 :100 N㎥/日以上 ■低位発熱量:18.84 MJ/N㎥ (4,500kcal/N㎥)以上 |
| 7.バイオマス燃料製造(メタン発酵方式以外) | ■バイオマス依存率60% 以上 ■製 造 量 :固形化(150kg/日以上) ■製 造 量 :液 化(100kg/日以上) ■製 造 量 :ガ ス 化(450N㎥/日以上) ■低位発熱量:固形化(12.56MJ/kg(3,000kcal/kg)以上) ■低位発熱量:液 化(16.75MJ/kg(4,000kcal/kg)以上) ■低位発熱量:ガ ス 化(4.19MJ/N㎥ (1,000kcal/N㎥)以上) |
表2 各熱設備における要件の概要 出典:環境共創イニシアチブ資料より作成
公募期限は4月28日~9月9日:17時必着
「再生可能エネルギー事業者支援事業費補助金」の公募期限は、「平成28年4月28日(木)~平成28年9月9日(金)17:00必着」となります。交付申請書は、公募期間において随時受付を行う予定であり、締切を4回設け、各締切毎に審査及び交付決定を実施します。
- 1次締切:5月27日(金)17:00必着
- 2次締切:6月30日(木)17:00必着
- 3次締切:8月5日(金)17:00必着
- 4次締切:9月9日(金)17:00必着
補助率は1/3、先導的な事業の要件を満たすと2/3
補助率については、補助対象経費の合計額の1/3以内となります。ただし、SIIが認める、民間事業者が地方公共団体から指定・認定を受け、かつ先導的な事業の場合、補助対象経費の合計額の2/3以内と割合が増えます。太陽光発電設備の場合に関しては、補助対象経費の合計額の1/3以内、もしくは10万円/kWのいずれか低い金額となります。
補助金の上限金額は、発電設備の場合1億円/年度
補助金の上限金額について、熱利用設備を導入する場合は、3億円/年度となります。一方で、発電設備及び蓄電池を導入する場合は1億円/年度となります。なお、予算額を超える申請があった場合等には、採択された場合でも申請された補助金額が減額される場合があります。
再エネにおける優遇制度との併用について
本補助事業においては、固定価格買取制度のほかにも、エネルギー環境負荷低減推進税制との併用ができません。ただし、再生可能エネルギー発電設備に係る課税標準の特例措置(固定資産税)の適用を受けることは可能となっております。
補助金の採択は、要件審査や採点審査などにより決定
以下にて本補助事業における採択審査の概要を見ていきます。審査においては、SII(一般社団法人環境共創イニシアチブ)が補助金交付申請書に記載された事業内容等について、申請者に対しヒアリングを行い、交付要件等の審査を行った後、外部有識者による審査委員会の結果を踏まえ採択者が決定されます。
まず最初の審査として、要件審査があります。補助事業者及び補助事業の内容が下記の審査項目表に記載する要件を満たしていることや、申請者が事業を行うための事業基盤(直近3期分の財務状況を勘案)を有していることが条件となります(図3)。条件を満たしていた場合は、次の採点審査の段階に進みます。

図3 審査項目表 出典:環境共創イニシアチブ資料より作成
採点審査
この続きを読むには会員登録(無料)が必要です。
無料会員になると閲覧することができる情報はこちらです
執筆者情報

一般社団法人エネルギー情報センター
EICは、①エネルギーに関する正しい情報を客観的にわかりやすく広くつたえること②ICTとエネルギーを融合させた新たなビジネスを創造すること、に関わる活動を通じて、安定したエネルギーの供給の一助になることを目的として設立された新電力ネットの運営団体。
| 企業・団体名 | 一般社団法人エネルギー情報センター |
|---|---|
| 所在地 | 東京都新宿区新宿2丁目9−22 多摩川新宿ビル3F |
| 電話番号 | 03-6411-0859 |
| 会社HP | http://eic-jp.org/ |
| サービス・メディア等 | https://www.facebook.com/eicjp
https://twitter.com/EICNET |
関連する記事はこちら
一般社団法人エネルギー情報センター
2026年01月19日
電力小売全面自由化から10年 数字が語る制度と市場の現実【第2回】10年で広がった、「経営の期待」と「現場の実務」の距離
「自由化から10年」という節目を迎え、制度の成果や市場の成熟度をめぐる議論が活発化しています。 現場の会話をたどると、同じキーワードでも立場により意味がずれます。 たとえば、経営の「コスト削減」は現場では「業務負荷の増加」、制度側の「安定供給」は供給現場では「柔軟性の制約」として現れます。 第2回では、こうした変化のなかで生じている立場ごとの認識のずれを整理し、経営・現場・供給事業者という三つの視点から、なぜ議論が噛み合わないのかを構造的に考察します。
一般社団法人エネルギー情報センター
2025年12月31日
電力小売全面自由化から10年、数字が語る制度と市場の現実【第1回】数字の区切りに惑わされず、いまの制度と市場を見直す
「自由化から10年」という言葉が、各所で頻繁に取り上げられるようになりました。 しかし、制度の導入や市場設計の見直しが今も続いており、電力を取り巻く環境は「完成」に近づくどころか、なお変化の途上にあります。 本稿では、数字がもたらす完了感と、制度・市場の実態との間にあるずれを整理し、“節目”という言葉の意味をあらためて考えます。
一般社団法人エネルギー情報センター
2025年12月27日
政府も注目する次世代エネルギー 核融合の仕組みと可能性 【第5回】社会実装と中長期シナリオ 2030年代のロードマップと日本の戦略
これまで4回にわたり、核融合という次世代エネルギーの可能性を、研究・技術・制度の観点からたどってきました。長らく“夢のエネルギー”と呼ばれてきた核融合は、いま確実に社会の現実へと歩みを進めています。 最終回となる今回は、社会実装に向けたロードマップと、日本が描くべき中長期戦略を考えます。 核融合が“希望の象徴”で終わらず、私たちの暮らしに息づくエネルギーとなるために、次の時代に向けた道筋を描きます。
一般社団法人エネルギー情報センター
2025年12月17日
政府も注目する次世代エネルギー 核融合の仕組みと可能性 【第4回】制度設計・安全規制・地域産業化 社会実装に向けた最新動向
第1回では核融合の基本、 第2回では国内研究基盤、 第3回では民間企業による産業化の動きを整理してきました。 こうした技術・ビジネス面の進展を踏まえ、2025年後半には「社会実装」に向けた制度づくりや安全規制の検討が政府内や国際機関で動き始めています。国際基準への日本の参画や、地域での研究・産業活動の広がりなど、核融合を社会に組み込むための枠組み形成が進みつつあります。 本稿では、制度・安全・産業の三つの観点から、この転換点の現在地を整理します。
一般社団法人エネルギー情報センター
2025年11月30日
政府も注目する次世代エネルギー 核融合の仕組みと可能性 【第3回】民間企業が牽引する核融合ビジネスの現在地 国内外で加速する産業化の動き
第1回では核融合の基本原理と方式を、第2回ではJT-60SAやLHDを中心に日本の研究基盤を整理してきました。近年は研究成果が民間へ移行し、実証炉開発や供給網整備が本格化しています。高温超伝導やAIなどの技術進展により小型化と効率化が進み、投資も拡大。本稿では国内外スタートアップの動向と商用化に向けた論点を整理します。




























