LNG・石炭調達など、JERAによる2030年度の事業計画
政策/動向 | 再エネ | IT | モビリティ | 技術/サービス | 金融 |
2016年02月21日
一般社団法人エネルギー情報センター
2月10日、JERAが2030年度におけるLNG・石炭などの取り扱い規模や、国内・海外発電所の開発計画を発表しました。商流も拡大する予定で、新電力企業にとっては、燃料調達先の拡大に繋がると考えられます。
JERA、2030年度の事業計画を公表
2月10日、JERAが2030年度の事業計画を発表しました。JERAは、東京電力と中部電力が、各社の燃料調達・資源開発事業や海外発電事業などの統合に向けて設立した合弁会社です。
2016年時点、JERAのコモディティ調達規模は、液化天然ガス(LNG)が世界最大級の約4000万トン、石炭は約2000万トンとなります。世界最大級の調達規模を軸にした最適ポートフォリオ形成などで国際競争力を向上し、燃料を低価格で安定調達することにつなげます。
2030年度の経営目標
事業計画の中で、JERAのビジネスは大きく3つに大別することができます。
- 燃料事業
- 国内発電事業
- 海外発電事業
3つの事業の合計で、2030年には2016年度比で純資産額を約5倍、売上高を2倍以上、純利益額を14倍にすることを目指します。
出典:JERA
燃料事業
2016年7月時点(LNG:約4000万トン、石炭:約2000万トン)と比較し、2030年度はLNGが-1000~±0トン、石炭が±0~+1000トンの取り扱いとなる見通しです。
また、LNGはこれまで長期契約の比率が90%近くであったのに対し、2030年度には約40%まで引き下げられます。理由としては、短期/スポットの割合を増やしポートフォリオを柔軟に組み換え可能とすることで、より環境変化に強い体制を構築する狙いがあるからです。長期契約は短期/スポット契約と比較すると、経済性や安定性に優れますが、弾力性が少なくなります。
出典:JERA
トレーディング・輸送
LNGの輸送船団に関して、2016年7月時点の16隻から、2030年度は30隻程度と14隻増加の見込みです。柔軟な輸送を実現し、最適な燃料運用、販売を実現する狙いがあります。商流も拡大する見込みで、国内発電・海外発電・第3者販売も実施していくため、新電力企業にとっても、燃料調達の幅が広がることに繋がると考えられます。
出典:JERA
国内発電・海外発電事業
国内発電
2016年7月時点の65万kW(1地点)から、2030年度は1200万kW程度(10地点程度)とする予定です。既存インフラ・最新技術を活用し、競争力向上と環境負荷低減を目指しています。
この続きを読むには会員登録(無料)が必要です。
無料会員になると閲覧することができる情報はこちらです
執筆者情報
一般社団法人エネルギー情報センター
EICは、①エネルギーに関する正しい情報を客観的にわかりやすく広くつたえること②ICTとエネルギーを融合させた新たなビジネスを創造すること、に関わる活動を通じて、安定したエネルギーの供給の一助になることを目的として設立された新電力ネットの運営団体。
企業・団体名 | 一般社団法人エネルギー情報センター |
---|---|
所在地 | 東京都新宿区新宿2丁目9−22 多摩川新宿ビル3F |
電話番号 | 03-6411-0859 |
会社HP | http://eic-jp.org/ |
サービス・メディア等 | https://www.facebook.com/eicjp
https://twitter.com/EICNET |
関連する記事はこちら
一般社団法人エネルギー情報センター
2023年12月29日
持続可能な未来に向けて物流業界の脱炭素化は急務です。その中でも大手物流企業のGX事例は注目すべきアプローチを提供しています。今回は、脱炭素化の必要性と大手物流企業が果敢に進めるGX事例に焦点を当て、カーボンニュートラル実現へのヒントを紹介します。今回は中堅・中小企業のGX事例です。
一般社団法人エネルギー情報センター
2023年11月02日
2023年6月にISSBはスコープ3の開示義務化を確定。これを受けて、日本や海外ではどのような対応を取っていくのか注目されています。最新の動向についてまとめました。
一般社団法人エネルギー情報センター
2023年09月12日
電力業界の最新動向について/新電力の撤退等はピークアウト、3割が値上げへ
厳しい状況が続いた電力業界ですが、2023年に入り、託送料金引き上げと規制料金改定により、大手電力7社が値上げを実施。政府は電気・ガス価格の急激な上昇を軽減するための措置を実施しています。値上げを実施する新電力企業も3割ほどあり、契約停止、撤退・倒産等もピークアウトしています。
一般社団法人エネルギー情報センター
2023年08月31日
“脱炭素先行地域”に62地域が選定。地域のエネルギーマネジメント推進や課題解決のキーワードになるか
2030年度目標のCO2排出量2013年度比46%減を実現するために、地方から脱炭素化の動きを加速させています。今回は、事例を交えて脱炭素先行地域の取り組みについて紹介をします。
一般社団法人エネルギー情報センター
2023年07月11日
水素エネルギーの可能性に目を向け、各国が巨額投資!?海外の最新動向について
6年ぶりの改訂が注目を集めた「水素基本戦略」。同資料の中でも、各国の水素エネルギーに関する動向がまとめられていました。世界で開発競争が激化してきた水素エネルギーについて最新の海外動向をご紹介します。