プレスリリース|PRESS
研究・調査報告矢野経済研究所、車載用リチウムイオン電池世界市場に関する調査結果を発表

車載用リチウムイオン電池世界市場に関する調査を実施(2025年)
2024年の車載用リチウムイオン電池世界市場は941GWh見込み、2025年は1TWh超えを予測
〜2023年〜2024年のEVは再び成長停滞期へ、成長維持のPHEV、堅調推移のHEV〜
株式会社矢野経済研究所(代表取締役社長:水越孝)は、車載用リチウムイオン電池(Lithium-ion Battery、以下LiB)世界市場を調査し、製品セグメント別の動向、参入企業動向、将来展望を明らかにした。ここでは、世界の車載用LiB市場推移・予測について公表する。
※グラフ資料・表資料は添付の関連資料を参照
1. 市場概況
2024年の車載用LiB世界市場規模は容量ベースで前年比113.9%の941.5GWh、xEV(EV:電気自動車、PHEV:プラグインハイブリッド車、HEV:ハイブリッド車)の世界生産台数増加と連動し、車載用LiB市場も拡大する見込みである。xEVタイプ別に見ると、HEVが7.4GWh(前年比120.6%)、PHEVが142.8GWh(同188.3%)、EVは791.2GWh(同106.2%)と推計する。
コロナ禍以降も成長を続けたxEV市場は、世界の自動車生産台数(全体)に占める比率が2024年で28%まで上昇見込であり、2025年では30%台が視野に入ると予測する。主要エリア別では欧州、北米の成長率が落ち着きをみせる中、中国が2024年も2023年並みの伸びを維持し、引き続き市場成長の牽引役となっている。
2. 注目トピック
■PHEV、EV市場は引き続き政策依存の側面、今後の欧米政策の変化点がポイントに
欧州は助成金政策の縮小や打ち切り等を背景に2024年はEV(電気自動車)、PHEV(プラグインハイブリッド車)共に前年割れ推移が見込まれる。2035年からの内燃機関車の新車販売禁止については合成燃料(e-fuel)を認める形となった事で事実上、撤回される形となっている。欧州自動車メーカーでPHEVシフトを進める動きが見られる中、欧州委員会はPHEVにおける実際のCO2排出量とWLTP測定値(車両の排ガス・燃費性能に関する国際統一の試験法による測定値)との差を縮小すべく、2025年以降でUtility Factor(PHEV電力走行距離が全走行距離に占める比率)の厳格化を予定しているが、カーボンニュートラル実現に向けてPHEVをどのように位置付けるのか、今後の政策動向が注視される状況にある。なお、CO2排出規制に関しても、EV市場の成長率減速を踏まえ、見直し時期の2025年への前倒しが欧州自動車工業会より提言されている。
北米のEV市場は前年を上回る台数で推移しているものの、伸び率は前年に対し停滞傾向にあり、米自動車メーカーでは電動車戦略の見直しが目立つ状況にある。米国は再びトランプ政権となった事でEV市場に対しては向かい風となる可能性が高まっている。IRA(インフレ抑制法)の補助政策動向次第でバッテリー生産自体は新たな立ち上がりや拡大が予想されるが、自動車メーカーとLiBメーカーの合弁では当初の計画撤回や、稼働時期延期の動きが見られる。足元ではHEV(ハイブリッド車)市場が好調な状況にあり、米国自動車メーカーの一部や日系自動車メーカーが北米でのHEV展開に注力する姿勢を見せている。
中国はNEV(PHEV、EV)購入免税措置の延長に加え、2024年より新たに買い替え支援策といった消費者向けの補助政策を手厚く実施しており、そこに中国大手電動車メーカーのコストリーダーシップ戦略によるPHEV展開が加わる形で、NEV市場の中身はEVからPHEV(発電用小型エンジンを搭載するレンジエクステンダー含む)に徐々にシフトする流れが見られる。
日本はHEV中心のエコカー市場が形成されており、政策面でも2035年の内燃機関車販売禁止においてHEVは次世代環境車に含まれる形となっている。
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