プレスリリース|PRESS
研究・調査報告北大・東北大・名工大、蓄電池材料の低コスト・高容量・寿命の共立に成功
蓄電池材料の低コスト・高容量・寿命の共立に成功
〜鉄と酸素を有効に利用しリチウムイオン電池の資源リスク回避に期待〜
■ポイント
・レアメタルフリーな鉄を主成分としたリチウムイオン電池正極材料を開発。
・鉄と酸素両方の反応を活用し高容量化。
・材料にシリコンやリンなどを導入し高エネルギー密度と高サイクル寿命の両立に成功。
■概要
北海道大学大学院理学研究院の小林弘明准教授、東北大学多元物質科学研究所の本間 格教授、名古屋工業大学大学院工学研究科の中山将伸教授らの研究グループは、低コスト・高容量・寿命の共立が可能なリチウムイオン電池の正極材料を開発しました。
リチウムイオン電池は生活には欠かせないものとなっていますが、その正極材料にはコバルトやニッケルなどのレアメタルが使用されており、供給量の増大に伴う資源枯渇や価格高騰が深刻な課題となっています。サプライチェーンリスクが低い正極材料として、リン酸鉄リチウム(LiFePO4)を用いたリチウムイオン電池が商品化されています。一方で、電気自動車などの大型電源用途としてさらなる高エネルギーを持つ新しいレアメタルフリー正極材料の開発が求められています。
研究グループでは、レアメタルフリーな鉄を主成分としたリチウム鉄酸化物(Li5FeO4)の材料開発を進めています。この材料は鉄と酸素の二つのレドックス反応を利用することで、LiFePO4の2倍以上の容量を示します。しかし、この材料はサイクル寿命が悪いという課題があり、充電時に起こる酸素脱離反応を抑制する必要がありました。
本研究では、Li5FeO4にシリコンやリンなどのpブロック元素を導入した正極材料で酸素脱離反応が抑制されることを発見しました。これら材料のサイクル特性を評価した結果、酸素のレドックス反応の容量維持率が50%から最大で90%に大きく向上することを見出しました。本材料設計指針は高性能なレアメタルフリー正極材料の材料設計指針として有効であると考えられ、研究進展による低炭素化社会、地球温暖化対策への貢献が期待されます。
本研究成果は、2024年4月22日(月)公開のACS Materials Letters誌に掲載されました。
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参考画像
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添付リリース
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