海面上昇~地球温暖化の被害

2017年09月08日

所属:國學院大學

インターン生:S.Oさん

海面上昇~地球温暖化の被害の写真

私たちの住む地球―豊かな水に覆われたこの星で今、海の底に沈むことが予想されている島々があります。 原因は『地球温暖化による海水面の上昇』。海の水面の高さは年々数ミリから数センチ単位で上昇し続けている傾向が見られます。  NASAの研究チームの発表によるれば、地球温暖化がこのまま進行すると、100年後には地球全体の平均気温が2.8℃上がり、海水面は50㎝から数メートルも高くなるといわれています。

海面上昇とは

地球温暖化により、海面が上昇する現象のことを海面上昇といいます。波浪やうねり、津波・高潮といった平均海水面の短周期変動をならして平均化した水面の上昇を指します。

海面上昇自体は地球の誕生以降、何度も起こっている現象ですが海面上昇が起こる度に海面の後退も発生し、地球全体で海水量の均衡がとれていました。 海水面の高さは長い年月をかけて徐々に変動しているので、すぐに数値が著しく変化するものではありません。

しかし過去数千年間では海水の後退減少が観測されてなく、さらに近年では元来の数十倍の速いペースで海水上昇が発生しており、今後もそのペースは加速していくことが考えられます。では、どうして海面上昇が発生するのでしょうか。

原因

海面上昇が起こる主な原因に三つの事柄が挙げられます。

①陸上の氷床が融けだしていること

よくある誤解として、北極海や流氷などの海の上を漂う氷が融けていることが原因と捉えられがちですが、海に漂う氷は元々海水が凍って作られたものであり、これらが液体に戻っても海水量の増加にはつながりません。実際には陸の上に存在する氷が、温度の上昇により融けだしていることが原因の一つです。

具体的には、南極大陸やグリーンランドの氷床です。現在の南極では夏場の平均気温が0度を超え、その時に一時的に氷が融けるという現象が見られますが、冬場になると平均気温が0度以下になり氷が作られます。しかし、今後何十年という単位で少しずつ地球全体の平均気温が上がると、冬場に氷に戻る量も比例して少なくなります。

図1はNASAがグリーンランドで観測したフィヨルドの変動を表した図です。赤い部分が海の浅い場所を表し、青い部分が深い部分を表しています。2014年次(左図)には2007年次(右図)よりも青い部分が増えていることから、フィヨルドが侵食され融けていることが分かります。

図1 出典:NASA 

②太陽光の反射量が減ること

光には太陽光を反射して、地球が吸収する熱量を減らす効果があります。太陽光には熱が含まれています。太陽光を反射するものの例に雪があります。スキー場など雪が多い場所でも日焼けをしてしまいますが、これは雪が太陽光を反射しているので起こる現象です。

地球上にある雪の量が減ってしまうと、太陽光の反射量が減ってしまいます。その結果、地球に吸収される熱の量が増え、気温の上昇につながるのです。

③海水が膨張すること

最後に海水が膨張してしまうことです。 すべての物質は温められると膨張し体積が増えるという性質を持っています。海水も例外ではありません。気温の上昇は海水の膨張へつながります。

図2のグラフは気象庁が発表した日本近海の海面水位の変動を表したものです。日本沿岸の海面水位は、1980年代以降、上昇傾向が見られます。1906~2016年の期間では明瞭な上昇傾向は見られません。また、全期間を通して10年から20年周期の変動(十年規模の変動)があります

図2 出典:気象庁

なお、図3のように、浸水が予想されるエリアは国土地理院が提供する海抜マップにおいて、海抜が低いとのデータがあります。

図3 出典:国土地理院

南太平洋の島々

浸水被害が予測されるのは、日本だけではありません。南太平洋に浮かぶ、ツバルやキリバス、モルディブなどの島々も地盤沈下という大きな要因に加えて、近年の海面上昇により国土の水没が危惧されています。

その中の一つ、モルディブはサンゴが砕けたものが体積してできた島で、大小1190の島々からなる島国です。海抜が2,4mほどの平坦な地形であるため海面が1m上昇すると国土の約80%が水に浸かる事が予想されており、近年の海面上昇とサンゴ礁の死滅により国土が消滅する危機にさらされています。

さらに、モルディブは大気汚染や水質汚染の被害にも遭っています。温暖化の影響で近年海水の温度上昇の結果、南太平洋地域では頻繁に台風が発生するようになると潮を含んだ汚染水が淡水を汚してしまいます。その上、インドから流れ出た汚染された大気が雨を降らせ、貴重な水資源をことごとく奪っていきます。

これを受け、モルディブ政府は国民が移住できるように人工島の造営、CO2削減のために再生可能エネルギーの導入を実施しています。加えて2013年には、日本との間に二国間クレジットを結び、日本がモルディブに温室効果ガスの削減技術・製品・インフラ等を提供し、それにより削減できた温室効果ガスの量を、日本の削減目標に加えるという協定を組んでいます。

私たちにできること

今、私たちにできることは何でしょうか。答えは無駄を省くことだと思います。私たちが日々を普通に過ごしていく中で使われる地球の資源は莫大な量です。そして資源には限りがありす。例えば人間が生活水に使える河川の水や湖の水に至っては、地球上にある水のうち約0,01%しかないのです。

これら限りある資源を使っていくためには個人レベルでの節約が欠かせません。資源を節約することは、資源を得るために使われるエネルギー・資源を処理するために使われるエネルギーを抑えることにつながります。

使っていない部屋のエアコンや電機は消す、水道水の無駄流しをしない、短距離の移動なら自家用車を使わずに公共の乗り物や自転車を使う、すぐに廃棄せず使えるものは長く使う…など、私たちの身近なちょっとした節約が地球の資源を守ることにつながるのです。