エネルギー不足の改善に向けて
所属:専修大学
インターン生:Y.Yさん
最近、「エネルギー不足」という単語を聞くことが増えているのではないでしょうか。私たちの生活を支えているものは主としてこのエネルギーです。でも、いまの日本国内の生活においてエネルギー不足が原因で困るようなことは滅多にありません。ではなぜそのような問題が起こっていると言えるのでしょうか。また、それらを解決する方法として何が挙げられるのでしょうか。それらについて述べていきます。
はじめに
みなさんが普段生活を送るにあたって、エネルギーがない生活を送ったことはないかと思います。エネルギーがそれだけ重要な役割を果たしているということでもあります。
しかし、最近はみなさんも聞いたことがあるかと思いますが、このエネルギーが不足しているという問題が出てきています。生活には今の所支障がないのになぜそのような問題が起こっていると言えるのでしょうか。そのように言われる現状と問題点、それらの解決方法を話したいと思います。
「エネルギー不足」とは
「エネルギー不足」という単語を聞くときの具体例として「近い将来、石油が無くなってしまう」ということを聞いたことがあると思います。これは何年も前から言われ続けていることですが、いまだに石油は枯渇しておりません。
では、本当の意味でのエネルギー不足とは何を指すのでしょうか。確かにエネルギーの元となる資源は限りあるものでいつかは無くなってしまいますが、現在言われているのは、資源を採掘するのにお金がかかるということを考えたときの経済的に採掘可能な資源量が減っていることを指しているのです。
現在の状況と課題
日本のエネルギーは、エネルギー源となる資源が少なく元から自給率も低くなっています。しかし、下図からもわかる通りエネルギー自給率が2010年には20.2%であったにも関わらず、2016年には8.3%にまで落ち込んでしまっています。
最低時には2014年に6.4%になっています。この自給率の低さからわかるように足りないエネルギーが多く存在しています。この足りない分は他国から輸入して依存するしかありません。下図からも分かる通り、輸入依存度が高くなっている国は中東諸国が多いです。特に原油のおよそ8割を天然ガスのおよそ3割を中東諸国から輸入しているという結果でした。
これの何が問題かというと供給される資源の量が安定しないということです。治安のあまり良くないと言われている中東の政治状況に供給が左右されてしまうためです。
中東諸国への依存度を軽減するために中東諸国以外にも輸入先を作ることが挙げられます。今までエネルギーの宝庫と考えられていた中東、豪州、インドネシア、ロシアだけでなく、新たにアメリカ、カナダ、モザンビーク、ベトナム、カザフスタン、カタール、マレーシアから輸入できるように友好関係を深める努力をしています。
また、最近ではエネルギー資源供給国内価格と輸入国向け価格との差によってエネルギーコストの国際的地域間格差が発生しているため、各国がエネルギー資源の地産地消が主流となっていきそうです。エネルギー不足が起こっている日本はどのように対処していくかも気になるところです。
日本国内でこのような問題を抱えていますが、課題解決に向けて行われていること、行われるべきことがいくつかあります。それらを紹介していきます。 まず、海外で行われていることについてです。
アメリカでは2006年以降進められているシェール革命が起こりました。シェール革命とは従来採掘困難とされていた地下2000メートルより深くにある「シェール」と呼ばれる岩石に閉じ込められている石油やガスを採掘可能とした技術革新のことです。
この革命により、十分な資源が確保できる可能性が見えてきたためエネルギー資源を国内で賄う「エネルギー自立化」を目指し、2020年度をめどにエネルギー資源の純輸出国になることを目指しています。
輸入で足りないぶんを補うということをなくすことが目標です。次に欧州、ヨーロッパで行われている事例についてです。欧州は、エネルギー供給企業の統廃合によってエネルギー使用の合理化を目指し、新興国(東アジア・東欧・中東など)は、原子力エネルギーへの依存を高めています。
海外ではこれらの取り組みが行われていた。アメリカの革命を起こすと言ったものは現実的ではないが、ヨーロッパの何か他のものに代用することは日本でもできそうなことなので、エネルギー消費量と生産量を考えながら臨機応変に代用するエネルギー量を考えて、変えていくことが求められます。
日本国内での取り組み
日本国内で実際に行われ、成果が見られた取り組みもいくつかあります。それらについて説明していきます。
一つ目にエネルギー消費の効率の良さです。化石資源に乏しい日本は、貴重なエネルギーを大切に使うため、エネルギー消費効率の向上に努めてきました。実質GDP当たりのエネルギー消費を他国と比べると、上図より日本は世界でトップクラスの省エネ水準であり、経済成長と省エネの両立を進めてきたと言えます。
一方で、国は、上図のように2030年までの約20年間でエネルギー消費効率を35%改善することとしていますが、これは、オイルショック後の20年間と同程度の改善率です。省エネを行うに当たって改善する余地が、可能性が多くあった時代と比べて、すでに省エネがある程度進んでいる現状においては、達成は容易ではなく、今まで以上に工夫された省エネの取り組みが求められます。
二つ目に再生可能エネルギーの導入です。再生可能エネルギーは、発電時にCO2を発生させないため、温室効果ガスの削減に役立ち、またエネルギー自給率にも貢献することから日本にとっても世界の環境にとっても重要なエネルギー源と考えられています。
日本の発電電力量に占める再生可能エネルギー比率は、2016年には14.5%で、上図のように世界の主要国と比較すると低く、まだ導入の拡大が必要であると考えられています。 しかし同時に経済性の観点から考えなければいけないのが、価格の問題です。いくら再生可能エネルギーを大量に導入して自給率を向上させても、コストが高くなってしまっては困ります。
再生可能エネルギーで発電した電気を一定価格で買い取ることを電力会社に義務づけた「固定価格買い取り制度」の導入で、再生可能エネルギーの設備容量は急速に伸びてきました。
でも、その買い取り費用は「賦課金」という形で国民が負担しています。今後、再生可能エネルギーの導入を増やしていくにあたっては、世界と比べて高止まりしている再生可能エネルギーの発電コストを低減させ、国民負担の増加を抑制していく必要があります。
改正された固定価格買い取り制度では、再生可能エネルギーの導入と負担抑制を両立するための仕組みが盛り込まれています。それは再生可能エネルギー発電の電力を、ほかの電力よりも高値で買い取ることで、再生可能エネルギー発電をおこなう事業者を増やし、再生可能エネルギーの導入を広めることを狙ったものです。買い取り費用は、電力会社が買い取った再生可能エネルギーの量に応じて、電気料金を通じて国民が広く負担することとなっています。
新しい体系でエネルギー効率を高める
エネルギー効率を高めるための今のうちからできる第一歩としてある程度決まった型にあてはめて作業を単純化するということが挙げられます。この単純化によって手順が明確化されるため、より多くの人たちが作業に携わることができ、作業が進みやすくなり効率化が図れるということです。
この体系というのが「エネルギーチェーン」と呼ばれるものになります。これはエネルギーの生産->流通->貯蔵->消費、の流れのことです。エネルギーの種類ごとに国や企業の壁を越えて複雑に絡み合ったチェーンがあります。エネルギー資源を有効かつ安定的・安価に運用するにはエネルギーチェーンの整理・統合を行い作業の効率化を図ることが必要となってくるのです。
生産者がこれらのことを考えて行動することはもちろんのこと、消費者も考えて行動するべきことがあります。生産者の生産する過程、供給の安定性、経済効果、技術開発の四点を考える必要があります。
生産者がどんなに正しいことをしていたとしても、消費者が間違った選択(生産者を選ぶ)をすることで経済、環境にも問題を起こしうる可能性があるということです。消費者がやり方の間違った生産者を選び続ければそれが売れ続けて、環境、経済に悪影響をもたらすということです。
経済、環境によい選択を考えたうえで行動を起こすことでエネルギー資源枯渇の不安から脱出するための第一歩となるのです。だから、生産者だけでなく消費者もエネルギー供給体系を考え選択する必要があるのです。
まとめ
日本のエネルギー不足による問題点を挙げ、その解決策を考えてきました。時代が進むにつれての文明の進化が急速的になっています。エネルギーの使い方、作り方も同じです。日々急激な速さで進化し続けています。
この進化している過程を見つめながら作り出した人間も柔軟に対応、進化していかなければなりません。そのために、将来を見据えた計画を立てること、そして実行してみて計画と違っていた部分を見直し反省すること、反省したことを反映させた計画をまた立て直すこと、また実行…。この手順を繰り返し絶えず行うことでエネルギーを効率よく使うことができるようになるでしょう。
また、消費者である私たちも経済、環境に与える影響を考えたうえで選択を行うことで資源枯渇への不安が安心へと変えることができるのだと思います。一人一人が気を付けることでより良いエネルギー供給社会を目指していきましょう。