CHAdeMO

CHAdeMOとは

CHAdeMO (チャデモ)とは、電気自動車 (EV)に用いられる充電方法の商標名を指します。62.5 kWまでの交流を変換し直流にすることで充電する方法で、急速に充電することが可能です。

電気自動車の充電には、通常の充電速度の普通充電方式 (AC)と、短時間で充電を行う急速充電方式 (DC)の2種類が存在し、普通充電方式は充電完了まで8~11時間を要するのに対し、急速充電方式は30分ほどで8割近く充電できます。チャデモ方式はこの2種類の充電口が別々になっているのが特徴です。

また、CHAdeMOの名称の由来は、「CHAreg de MOve = 動く、進むためのチャージ」、「de = 電気」、「(車の充電中に)お茶でも」の3つの意味が含まれています。

このチャデモは2014年4月に開催された IEC (国際電気標準会議)において、電気自動車用急速充電規格の国際基準に承認されました。ここでいう充電規格とは、電気自動車の充電口の構造を指します。日本の電気自動車の充電規格の標準は2012年時点では、すべてチャデモ方式です。

CHAdeMO協議会

CHAdeMO協議会とは、2010年3月15日に設立された、トヨタ自動車(株)、日産自動車(株)、三菱重工(株)、富士重工(株)、東京電力(株)などが幹事会社を務める協議会で、充電方法としてのチャデモの規格や充電方法、通信方法などを統一し、規定しています。

2012年時点では、電気自動車の電池には主にリチウムイオン電池が使われています。しかし電池の充電中は発熱や過剰充電による発火の恐れがあるため、充電時間を短縮することが重要になります。そのために電気自動車には急速充電機という機器が搭載されており、この機器が充電時間の短縮を補助します。そして、安全性を考えて電気自動車の充電と急速充電機による充電の方式を統一し、各社の電気自動車がすべての急速充電機で充電できるようにする必要がありました。

このために日本、海外の自動車・充電器メーカーが協力して設立したのが、CHAdeMO協議会です。チャデモ協議会が設立された当初 (2010年3月)、電気自動車に15分ほどの充電で実用走行が可能にできる急速充電機の規格の運用は、チャデモ協議会の「CHAdeMO」規格のみであったので、日本国内の電気自動車用の急速発電機は全て、「CHAdeMO」規格が適用されています(2012年時点)。

またそのほかにチャデモ協議会は、日本や世界における電気自動車の普及に不可欠な、対応する急速充電スタンドの拡大や、充電方式の標準化、電気自動車によるCO2排出の削減への貢献を目的としています。

CHAdeMO方式および急速充電機の詳細

電気自動車には車種ごとに異なる電池システムが搭載されており、チャデモ方式もそのうちの一つです。チャデモ方式に対応する自動車は、ECU (Electronic Control Unit)という機器が搭載されており、刻々と変動する電池の状態に応じて適切な値の充電電流を算出し、ケーブルを通じて急速充電機にその値を伝送します。この通信機能のことをCAN (Controller Area Network)といいます。

この急速充電機とは、受けた指令の値に応じた直流を、交流電力から変換し、電気自動車に搭載されているバッテリーに直接充電を行うことで、急速充電を行う装置です。チャデモ方式は交流の電力を一度直流に変換してから充電するため、交流電圧の異なる世界各国で使用することが出来ます。

急速充電機は電源ユニット、充電制御装置、表示器、充電コネクタ、入出力ブレーカーなどで構成され、約20~30分の充電で電気自動車のバッテリーの8割の充電を賄えます。

また、交流から直流への電流変換を行う部分のユニットが複数あり、万が一1つが損傷しても他の健全なユニットで補えるとともに、損傷したユニットを交換することで容易に復旧できるため、安全性、メンテナンス性に優れているといえます。

CHAdeMO方式とコンボ (Combined Charging System)方式

チャデモが電気自動車の充電規格の国際基準に承認されたといっても、世界中全ての電気自動車の充電構造がチャデモ方式というわけではありません。2014年時点では、国際標準規格として承認されている充電規格は「チャデモ方式」、「コンボ方式 (北米式 (CCS1)・欧州式 (CCS2))」、「中国方式(GB/T (Guojia Biaozhun / Tuijian))」の4つが存在します。

チャデモ方式と中国方式では、電気自動車本体と充電器との通信をCANが担っています。CANは、複数のユニットが互いに通信を行うため、ネットワークの配線が少なくなり、コストと重量の削減ができます。また電池の状態を把握し、適切な大きさの電流で充電が出来るので、電池の負担の軽減が出来るのが特徴です。

また、コンボ方式では同様の通信をPLC (Power Line Communications)が担い、これは電力線通信を介して通信を行うことで、電力会社の発電量や車両の発車時間を考慮して充電し、電力の安定化が向上できるのが特徴です。

このうちチャデモ方式とコンボ方式はたびたび比較されることが多いです。チャデモ方式は充電コネクタにかかる負担とコストを下げるため、普通充電と急速充電の充電口を2つに分けているのに対し、コンボ方式は充電コネクタが1つのため充電口も1つであり、構造としてはシンプルなのが特徴です。

加えて中国方式は見た目の構造では日本のチャデモとよく似ていますが、充電口は1つです。チャデモ方式はインフラ整備が先に行われていたため、2014年時点では、チャデモ方式が最も広いシェアを誇っています。