発送電分離

発送電分離とは

発送電分離とは電力の「発電」と「送電」を分離させるというシステムです。日本ではまだ発送電分離システムが取られていません。(2015年2月現在)しかし、政府・与党は2015年2月5日、大手電力会社から送配電網を切り離す「発送電分離」を2020年に実施する方針を固めました。

背景

我が国では、電力自由化に向けて様々な取り組みがなされています。例えば、2000年に電力の小売りが部分自由化されており、2016年には電力全面自由化で自由に電力会社が選べるようになります。

しかし、その際に問題となるのは、電力を発送電するときに使う「送電網」の利用による電力の安定供給や分社後の経営への影響です。そこで、発電と送配電部門を切り離す「発送電分離」で解決しようというのです。

4つの発送電分離

発送電分離は①会計分離 ②機能分離 ③法的分離 ④所有分離の4つの制度に分けることができます。

①会計分離

同じ垂直統合型発送電会社の発電事業・送電事業に 係る会計を分離すること。これに基づき、垂直統合型事業者の発電部門は送電部門に対 し、他の事業者と同じ送電サービス料金を支払い、そして発電サービスと送電サービスを 分けた価格で提供する。

②機能分離

会計分離に加え、(1)卸電力を売買する際に他の事業 者と同じ送電系統情報に依存すること、そして(2)卸電力販売に関連する従業員を送電部 門の従業員を分離する。

③法的分離

送電系統の運用と投資を行う主体が、発電その他部門から 法的に独立した事業主体となること。資本関係が両者にあることは許容される。

④分離又は所有権分離

発電と送電を法的に区分さ れた、異なった経営又は運用を行う事業者に分離し、かつ両者の間に共通の重大な所有 関係がないこと。

取組

発送電分離の体制への取り組みとして2013年2月に東京電力は燃料・火力、送配電、サービスの3部門にカンパニー制を導入しました。

メリット

発送電分離のメリットとしては、個々の役割を分担・分社化し、専門性を高めることで市場の電力自由化に向けた公平性を保つことができることです。

デメリット

電力分野が分散されることで「日本全体の電力の効率性」を踏まえた設備を建設・保持することが難しくなります。

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