ガス事業と電力事業の円滑な相互参入

2015年10月02日

一般社団法人エネルギー情報センター

新電力ネット運営事務局

ガス事業と電力事業の円滑な相互参入の写真

小売り自由化に伴いガス・電力の垣根が撤廃され、既存のビジネスモデルを変革する新しい事業の在り方が生まれると想定されます。海外の事例を基に、今後のガスと電力の相互参入についてみていきます。

エネルギー分野全体のシステム改革

日本のガス、電力などエネルギー分野の供給構造は、制度的に枠組みが整備されてきたことから、市場ごとの縦割型構造となっております。しかし、自由化による垣根の撤廃に伴い、閉鎖的であったエネルギー産業に技術革新や異業種連携の機運が高まっていくと思われます。それらがエネルギー業界を効率的な構造へと変革し、現状の分断されたエネルギー市場を統合していきます。その中でガス・電力の相互参入による総合エネルギー企業の創出が期待されます。

ガスと電力の相互参入・概観図

 ガス・電力の相互参入により期待される効果

小売自由化をはじめとした制度改革によって、ガス・電力の相互参入に係り期待されることは多岐に及びます。電気やガスの需要家の立場からは、多くの新規事業者が市場に参入し、事業者間競争が促されることで、安価でより良いサービスを受けられる基盤ができます。一方、事業者の立場からも、規制の撤廃により、これまでできなかった事業活動ができるようになります。

ガスと電力事業の相互参入方法

 ガスと電力のセット販売

日本においては、ガスの自由化に1年先立ち電力の小売りが実施されます。新電力事業者が、電気を販売する需要家に対して同時にガスもセットで販売する「セット販売」も拡大していくものと思われます。ガス事業者にとっても、新電力事業者との提携などビジネスチャンスが広がります。

海外の事例を見ると、英国、フランス、イタリアなどの事業者においてセット販売が提供されています。英国の規制当局が調査機関に委託して毎年実施しているアンケート調査によると、英国でガスと電力の双方を購入している需要家は約90%、その約70%がセット契約であると示されています。英国においてはセット販売が一般的となっていることが伺え、日本でも同様の動きが起こる可能性があります。

電力・ガスのシナジーによる効率化

電力とガス事業は同じエネルギー事業ということもあり、相互参入によるシナジー効果が期待できます。例えば、カスタマーセンターや書類作成などの実務をガス事業にも適用することにより、範囲の経済が働きます。事業の多角化による収益安定化に寄与する効果も期待できます。

セット販売の場合は、電気とガスにどのように利益を配分するかについても、戦略的に決定することができます。これにより、ガスと電力を各々で評価するのではなく、全体としての利益から価格を算定することができます。同一事業者から電力・ガスの購入を一括化したいという要望などにも応えることにより、需要家の選択肢も広まります。

この続きを読むには会員登録(無料)が必要です。

無料会員になると閲覧することができる情報はこちらです
電力の補助金

補助金情報

再エネや省エネ、蓄電池に関する補助金情報を一覧できます

電力料金プラン

料金プラン(Excel含)

全国各地の料金プラン情報をExcelにてダウンロードできます

電力入札

入札情報

官公庁などが調達・売却する電力の入札情報を一覧できます

電力コラム

電力コラム

電力に関するコラムをすべて閲覧することができます

電力プレスリリース

プレスリリース掲載

電力・エネルギーに関するプレスリリースを掲載できます

電力資格

資格取得の支援

電験3種などの資格取得に関する経済支援制度を設けています

前の記事:都市ガス小売りの普及ポテンシャル

はてなブックマークGoogle+でシェア

執筆者情報

一般社団法人エネルギー情報センターの写真

一般社団法人エネルギー情報センター

新電力ネット運営事務局

EICは、①エネルギーに関する正しい情報を客観的にわかりやすく広くつたえること②ICTとエネルギーを融合させた新たなビジネスを創造すること、に関わる活動を通じて、安定したエネルギーの供給の一助になることを目的として設立された新電力ネットの運営団体。

企業・団体名 一般社団法人エネルギー情報センター
所在地 東京都新宿区新宿2丁目9−22 多摩川新宿ビル3F
電話番号 03-6411-0859
会社HP http://eic-jp.org/
サービス・メディア等 https://www.facebook.com/eicjp
https://twitter.com/EICNET

関連する記事はこちら

2016年の「電気業」を営む新設法人数、前年比18.1%減の1791社、改正FITが影響の可能性の写真

一般社団法人エネルギー情報センター

2017年07月03日

新電力ネット運営事務局

2016年の「電気業」を営む新設法人数、前年比18.1%減の1791社、改正FITが影響の可能性

6月30日、東京商工リサーチは2016年に新しく設立された法人2万7829社のうち、約6%にあたる1791社が電力事業者であったと発表しました。2015年が2189社であったため、前年比では18.1%の減少となります。調査が開始された2009年以降、初めて2年連続で前年を下回りました。

電力の小売営業ルール改訂、非化石証書の環境価値で訴求可能、しかし電源構成に影響せずの写真

一般社団法人エネルギー情報センター

2017年06月21日

新電力ネット運営事務局

電力の小売営業ルール改訂、非化石証書の環境価値で訴求可能、しかし電源構成に影響せず

6月8日、経済産業省は平成28年に制定された「電力の小売営業に関する指針」を改訂したと発表しました。非化石証書による環境価値の表示などに対応したものであり、加えて2017年1月に制定された「ガスの小売営業に関する指針」を参考にした修正が行われています。

東京電力と中部電力が火力発電事業を統合、5年以内に1000億円/年の効果を目指すの写真

一般社団法人エネルギー情報センター

2017年06月13日

新電力ネット運営事務局

東京電力と中部電力が火力発電事業を統合、5年以内に1000億円/年の効果を目指す

6月8日、東京電力フュエル&パワー(東京電力ホールディングス株式会社の100%子会社)と中部電力は、JERAへの統合に係る合弁契約書を締結したと発表しました。JERAは「国内発電事業の競争力強化」などの方策を進め、統合後5年以内に1000億円以上/年の効果創出を目指します。

中部電力、北陸電力、関西電力の3社が連携、送配電部門の効率化に向けた検討開始の写真

一般社団法人エネルギー情報センター

2017年06月07日

新電力ネット運営事務局

中部電力、北陸電力、関西電力の3社が連携、送配電部門の効率化に向けた検討開始

6月2日、中部電力、北陸電力、関西電力の3社は、送配電部門において相互連携による一層の効率化に向けた検討を行うと発表しました。広域的なインバランスネッティングや広域メリットオーダーを考慮することにより、効率的な調整が推進される予定です。

改正FITに伴う太陽光発電の認定失効、認定された約315万件の内45万件以上が失効見込の写真

一般社団法人エネルギー情報センター

2017年04月26日

新電力ネット運営事務局

改正FITに伴う太陽光発電の認定失効、認定された約315万件の内45万件以上が失効見込

4月21日、経済産業省は改正FIT法に伴う認定失効について、全国で45.6万件が失効する見込みだと発表しました。出力ベースに換算すると2766万kWとなる見込みであり、認定された出力全体の約4分の1にあたる規模となります。