電力会社の切替の際、さらに安い料金等を提示する「取戻し営業」、禁止ルールなど整備の可能性

2018年03月08日

一般社団法人エネルギー情報センター

新電力ネット運営事務局

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電力・ガス取引監視等委員会は、電気の需要家がスイッチングを行う際の「取戻し営業」について、今後の対応に向けた論点をまとめました。今後、取戻し営業時の安値提示の是非などについて、ルール整備が行われる可能性があります。

「電力の小売営業に関する指針」等で問題になる可能性がある「取戻し営業」

電力小売の自由化により、各電力会社は市場原理に基づき自由に営業活動を行うことができるようになりました。各小売電気事業者の需要家への営業は原則として自由であり、一般的には価格や付加価値を巡る競争の発現に資するものです。そのような競争の中で小売電気事業者の選択余地が生まれ、需要家の利益につながります。

他方で、「電力の小売営業に関する指針」等で問題になる可能性がある「取戻し営業」が行われている可能性が浮上しています。また、「取戻し営業」を行う一定の場合においては、送配電等業務指針に抵触する可能性があると考えられます。

「取戻し営業」とは、具体的には、現在契約中の電力会社が、切替情報を入手し、契約に基づく違約金請求の予告と併せて、さらに安い料金プランの提示が行うものです(図1)。結果、需要家は、スイッチングを撤回する可能性があります。

経済産業省 電力の小売営業に関する指針【抜粋】
(3) 競合相手を市場から退出させる目的での不当に安い価格での小売供給

小売電気事業者が、競合相手を市場から退出させる目的で不当に安い価格で小売供給を行うことは、小売電気事業者間の公正な競争を阻害するおそれがあり、これにより電気事業の健全な発達に支障が生じる(又は生ずるおそれがある)と認められる場合には、問題となる。なお、取次業者が上記の問題となる行為をしたときであっても、小売電気事業者による指導・監督が適切でない場合には、小売電気事業者自身の行為が問題となる。

ⅱ) 解除に速やかに対応しないこと

需要家側から小売供給契約の解除の申出があった場合、小売電気事業者により需要家の意に反した過度な「引き留め営業」や、過度な本人確認を行うことなどによって速やかに対応しない「引き延ばし営業」が行われるおそれがある。小売供給契約の解除の申出を受けた小売電気事業者や取次業者が解除に正当な理由なく速やかに応じないこと(小売電気事業者が、需要家から取次業者との間の小売供給契約の解除の申出を受けた場合において、取次業者に連絡するなどの対応を速やかに取らないことを含む。)は、これにより電気の使用者の利益の保護に支障が生じるおそれがあるため、問題となる。

また、電力会社が、需要家のスイッチングに関する情報を入手後、違約金が発生する旨を伝える機会を利用して、取戻し営業を行っているといった可能性も浮上しています。

これらの行為が行われている可能性から、電力・ガス取引監視等委員会は2月23日、電気の需要家がスイッチングを行う際の「取戻し営業」について、今後の対応に向けた論点をまとめました。「取戻し営業」が実際に多く行われているとの指摘がある高圧を主たる対象とし、議論が進められました。今後、取戻し営業時の安値提示の是非などについて、ルール整備が行われる可能性があります。

スイッチングプロセス中の「取戻し営業」の時系列イメージ例(SW申込日から申込取消日まで)

図1 スイッチングプロセス中の「取戻し営業」の時系列イメージ例(SW申込日から申込取消日まで) 出典:電力・ガス取引監視等委員会

特別料金の提供や違約金請求の連絡等でスイッチング阻止

需要家がスイッチングを、新たな電力会社に申し込んだ場合、大部分の高圧契約については、スイッチング支援システムを利用して、顧客の同一性の確認が現在の電力会社によって行われます(図2)。新事業者からの電力供給開始は、供給設備工事などによって申込から1~2月後となることが多いです 。

この間に、現事業者が需要家に対して、特別料金の提供や、違約金請求の旨の連絡といった行為によって、スイッチングが阻止される事例が増加している可能性が委員会で指摘されています。

スイッチング支援システムによるスイッチング廃止取次の業務フロー

図2 スイッチング支援システムによるスイッチング廃止取次の業務フロー 出典:電力・ガス取引監視等委員会

「取戻し営業」についてルール整備の可能性

委員会では、スイッチング情報を利用した「取戻し営業」について、何らかのルール整備を検討すべきとの意見があがりました。①現事業者の廃止取次情報の利用方法、②取戻し営業の禁止の是非、③取戻し営業時の安値提示の是非、④規制の対象事業者、⑤交渉機会付与義務条項の是非といった、今後検討するべき5つの論点が挙げられました。

①については、廃止取次手続の必要性などが議論されます。スイッチング開始後、直ちに廃止取次情報が現事業者に通知されるため、「取戻し営業」が可能となっているからです。②は、スイッチング期間における「取戻し営業」を禁止することについての是非が検討されます。

③は、「取戻し営業」のうち、以前より安価な料金を、当該需要家のみに提供する行為の禁止について考えがまとめられます。④は、禁止ルール等について、全ての小売電気事業者を対象とするか、大規模事業者に限定する必要があるか整理されます。

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