平成27年度の省エネ大賞決定、153件の応募から50件の選出

2016年02月12日

一般社団法人エネルギー情報センター

新電力ネット運営事務局

平成27年度の省エネ大賞決定、153件の応募から50件の選出の写真

1月27日、省エネ大賞の表彰式が開催されました。全153件の応募中、50件(製品・ビジネスモデル部門:26件、省エネ事例部門:24件)が受賞しております。このコラムでは、省エネ大賞と受賞した事例の内容を概観します。

地球環境とエネルギーの調和展で表彰式

2016年1月27日、省エネルギーセンターは「ENEX2016 第40回 地球環境とエネルギーの調和展」(東京ビッグサイト 会議棟 レセプションホールA)にて2015年度の省エネ大賞の表彰式を行いました。省エネ大賞は、省エネルギーを推進している国内企業や製品等を表彰する制度です。発表大会等を通じて、先進的な省エネ技術や手法などを効果的に情報発信するとともに、省エネルギー意識の浸透、省エネルギー型製品等の普及促進、省エネルギー型産業への発展及び省エネルギー型社会の構築に寄与することを目的としています。

表彰は2部門に分かれており、優れた省エネルギー性を有する製品又は省エネルギー波及効果の高いビジネスモデルを対象とした「製品・ビジネスモデル部門」と、工場・事業所等における省エネ活動を推進している事業者を対象とした「省エネ事例部門」があります。平成27年度における応募では153件の応募があり、各部門の評価項目(図1)に基づき「製品・ビジネスモデル部門」の26件、「省エネ事例部門」の24件、計50件が受賞しました。

省エネ大賞の評価項目

図1 各部門における評価項目 出典:省エネルギーセンター

受賞内容

製品・ビジネスモデル部門

「製品・ビジネスモデル部門」では、最優秀の経済産業大臣賞において、三菱電機の【家庭用エアコン「霧ヶ峰FZ/FZV シリーズ」】、安川電機の【安川マトリクスコンバータ「U1000」】、一条工務店の【超省エネ・超健康住宅「i-シリーズⅡ」】、ダイキン工業の【R32高性能空調機の世界展開による省エネルギー推進】の計4件が受賞しました。

三菱電機

室内機の内部構造を見直したルームエアコンが受賞しました。受賞製品では、送風効率を大幅に改善し、熱交換器の搭載量増加を実現しました。その結果、省エネ性能は、冷房能力4.0kWから9.0kWの機種で業界トップクラスのAPFを達成しました。また、個人の温冷感の違いを考慮した新しいソフト省エネ技術も開発しています。

安川電機

受賞製品は、回生機能を搭載した電力変換器です。従来と異なり、単体で電源回生とモータドライブを両立することが可能な装置となっています。さらに永久磁石同期モータ駆動を可能とし、さらなる省エネに貢献します。10tクレーンにおいては、年間消費電力量 50%削減を達成しています。

一条工務店

受賞製品は、断熱性の大幅な向上を実現した省エネ住宅モデルです。住宅の断熱性能Q値0.51W/㎡・Kを確保し、年間冷暖房費を一般的な省エネ住宅の1/5以下に低減しています。また、全館床暖房システムを開発することにより、室内の快適性をさらに向上させています。断熱材の開発において、従来の生産ラインを活用する等、高性能住宅でありながら価格を抑える工夫があります。

ダイキン

受賞ビジネスモデルは、地球温暖化抑制のために新冷媒R32を搭載した高性能空調機の世界展開を目指した取組みです。R32は、温暖化係数が従来の冷媒R410Aの約1/3である上、この冷媒をインバーター制御と組み合わせることで年間30%以上の消費電力量削減を実現できます。

製品・ビジネス部門における受賞数一覧
  1. 経済産業大臣賞:4件
  2. 資源エネルギー庁長官賞:5件
  3. 中小企業庁長官賞:1件
  4. 省エネルギーセンター会長賞:14件
  5. 審査委員会特別賞:2件

省エネ事例部門

「省エネ事例部門」における経済産業大臣賞は、デンソーの【自動車部品生産プロセス追求によるエネルギー再生工場への挑戦】、ミサワホームとCSロジスティクスの【建材調達物流の省エネ化】、静岡ガスと日建設計の【オフィスビルにおける再生可能エネルギーとコージェネレーションの熱高度利用】、パナソニックの【車載用電池工場での演算による投資ゼロの新省エネ手法の確立】の計4件が受賞しました。

デンソー

自動車部品製造工場における省エネ改善に取り組んだ事例が受賞しました。内容は、工場における老朽化した大型集中クーラントシステムの小型集中クーラントシステムへの更新、電磁ブレーキのエアーブレーキへの更新、切削加工時のリターン水流を活用した小型水力発電の開発となります。消費電力量は合計で1,034MWh/年(原油換算で266kL/年)削減を達成しました。同工場は、300件/年以上、1,810kL/年以上の省エネを達成しています。

ミサワホームとCSロジスティクス

建材調達の省エネ化を実現した事例が受賞しました。1台のトラックが最適なルートで建材メーカーを巡り、回収していく方式としています。本方式では、無駄なく多品種の建材が混載できるように、ブロック数や配達日をインターネットで入力するシステム(a-netシステム)を開発し、ジャストインタイム物流を実現しました。無駄のないトラックの配車が可能となり、2014年度のエネルギー使用量は14.5GJ/棟で、2001年度比37%の削減を達成しています。また、本システムは同業他社へも開放しています。

静岡ガスと日建設計

再生可能エネルギー等を活用して省エネビルを実現した事例が受賞しました。主な取組みは、コージェネレーションからの排熱と太陽熱を冷房・デシカント再生熱源・暖房・給湯へカスケード利用するシステム、太陽熱とコージェネレーション排熱を再生熱源に利用したデシカント外調機システム、直列・並列切替え型太陽集熱システム、4面自然採光の採用です。竣工2年目のエネルギー原単位は805MJ/㎡年となり、通常のオフィスビルの値1,748MJ/㎡年の半分以下を達成しています。

この続きを読むには会員登録(無料)が必要です。

無料会員になると閲覧することができる情報はこちらです
電力の補助金

補助金情報

再エネや省エネ、蓄電池に関する補助金情報を一覧できます

電力料金プラン

料金プラン(Excel含)

全国各地の料金プラン情報をExcelにてダウンロードできます

電力入札

入札情報

官公庁などが調達・売却する電力の入札情報を一覧できます

電力コラム

電力コラム

電力に関するコラムをすべて閲覧することができます

電力プレスリリース

プレスリリース掲載

電力・エネルギーに関するプレスリリースを掲載できます

電力資格

資格取得の支援

電験3種などの資格取得に関する経済支援制度を設けています

はてなブックマーク

執筆者情報

一般社団法人エネルギー情報センターの写真

一般社団法人エネルギー情報センター

新電力ネット運営事務局

EICは、①エネルギーに関する正しい情報を客観的にわかりやすく広くつたえること②ICTとエネルギーを融合させた新たなビジネスを創造すること、に関わる活動を通じて、安定したエネルギーの供給の一助になることを目的として設立された新電力ネットの運営団体。

企業・団体名 一般社団法人エネルギー情報センター
所在地 東京都新宿区新宿2丁目9−22 多摩川新宿ビル3F
電話番号 03-6411-0859
会社HP http://eic-jp.org/
サービス・メディア等 https://www.facebook.com/eicjp
https://twitter.com/EICNET

関連する記事はこちら

4月からの容量拠出金による影響は?容量市場の仕組みと創設背景についての写真

一般社団法人エネルギー情報センター

2024年02月22日

新電力ネット運営事務局

4月からの容量拠出金による影響は?容量市場の仕組みと創設背景について

2024年度に供給可能な状態にできる電源を確保することを目的に、2020年7月、初めての容量市場でのオークションを実施。それに伴い4月から容量拠出金制度がスタートします。今回は、容量市場の仕組みや消費者への影響についてご紹介します。

物流業界の脱炭素化と中堅・中小企業のGX事例の写真

一般社団法人エネルギー情報センター

2023年12月29日

新電力ネット運営事務局

物流業界の脱炭素化と中堅・中小企業のGX事例

持続可能な未来に向けて物流業界の脱炭素化は急務です。その中でも大手物流企業のGX事例は注目すべきアプローチを提供しています。今回は、脱炭素化の必要性と大手物流企業が果敢に進めるGX事例に焦点を当て、カーボンニュートラル実現へのヒントを紹介します。今回は中堅・中小企業のGX事例です。

スコープ3の開示義務化が決定、脱炭素企業がとるべき対応とはの写真

一般社団法人エネルギー情報センター

2023年11月02日

新電力ネット運営事務局

スコープ3の開示義務化が決定、脱炭素企業がとるべき対応とは

2023年6月にISSBはスコープ3の開示義務化を確定。これを受けて、日本や海外ではどのような対応を取っていくのか注目されています。最新の動向についてまとめました。

電力業界の最新動向について/新電力の撤退等はピークアウト、3割が値上げへの写真

一般社団法人エネルギー情報センター

2023年09月12日

新電力ネット運営事務局

電力業界の最新動向について/新電力の撤退等はピークアウト、3割が値上げへ

厳しい状況が続いた電力業界ですが、2023年に入り、託送料金引き上げと規制料金改定により、大手電力7社が値上げを実施。政府は電気・ガス価格の急激な上昇を軽減するための措置を実施しています。値上げを実施する新電力企業も3割ほどあり、契約停止、撤退・倒産等もピークアウトしています。

“脱炭素先行地域”に62地域が選定。地域のエネルギーマネジメント推進や課題解決のキーワードになるかの写真

一般社団法人エネルギー情報センター

2023年08月31日

新電力ネット運営事務局

“脱炭素先行地域”に62地域が選定。地域のエネルギーマネジメント推進や課題解決のキーワードになるか

2030年度目標のCO2排出量2013年度比46%減を実現するために、地方から脱炭素化の動きを加速させています。今回は、事例を交えて脱炭素先行地域の取り組みについて紹介をします。

 5日間でわかる 系統用蓄電池ビジネス