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東大、二酸化炭素を原料とする100%再生可能資源由来のラクトンCOOILの効率的合成を達成

東大、二酸化炭素を原料とする100%再生可能資源由来のラクトンCOOILの効率的合成を達成の概要写真
(発表日:2025年8月28日)

二酸化炭素から作る新しいプラスチック : 100%再生可能資源由来を達成
――カーボンネガティブな次世代プラスチックに向けて――

【発表のポイント】
◆二酸化炭素を原料とする100%再生可能資源由来のラクトンCOOILの効率的合成を達成し、世界で初めてその重合体を得た。COOIL合成に二酸化炭素とともに用いる原料のイソプレンは、植物由来であり、大気中にも多く含まれる。
◆ポリ(COOIL)はガラス転位点44℃の比較的柔らかい材料であり、多くの反応点を含むためさらなる分子変換が可能である。現在、硬化剤としての使用を検討している。
◆COOILおよびその重合体ポリ(COOIL)の利用拡大はカーボンネガティブの実現につながる可能性がある。

※参考画像は掲載の関連資料を参照

【概要】
東京大学大学院工学系研究科化学生命工学専攻のマリウス ルッツ 客員研究員(研究当時)、フェリックス クラハト インターンシップ研修生(研究当時)、丸本康太 大学院生、野崎京子教授らの研究チームは、二酸化炭素とイソプレン(炭素数5の共役ジエン(注1))をパラジウム触媒でつなぎ合わせ、6員環δ-ラクトンを合成する効率的な手法を開発しました。二酸化炭素(COO)とイソプレン(I)からなるラクトン(L)の略称として、この物質はCOOILと命名されました。

野崎教授らは、2014年に二酸化炭素とブタジエンからできるラクトン(EVPと略称)の重合体ポリ(EVP)合成を報告しましたが(関連情報参照)、EVPは二酸化炭素を29重量%含むものの、残りの71重量%は依然として化石資源に依存していました。今回、ブタジエンに替えて使用可能になったイソプレンは、植物から大量に放出されており、大気中に含まれる含炭素物質としては二酸化炭素、メタンに次いで3番目に多いものです。また、昨今の発酵技術の進歩によってますます入手が容易になっています。

本研究では、ルイス酸を用いる重合により、COOILを高分子ポリ(COOIL)に導くことができました。比較的柔らかい材料であり、その特性を活かしたコーティングなどの用途が考えられます。また、ポリ(COOIL)はオレフィン結合やラクトン構造などの反応点を多く含むため、さらなる分子変換も可能です。今後は、未反応ガスのリサイクルと触媒寿命の延長に焦点を当てた研究を進めることで、スケールアップ合成につながることが期待されます。

なお、本研究成果は、2025年8月28日(英国夏時間)に英国科学誌「Nature Communications」のオンライン版に掲載されます。

・参考 : 先に報告したEVPを含むポリマーについては先行して架橋剤としての利用を検討しており、丸本康太大学院生が9/16〜9/18に関西大学にて開催される第74回高分子討論会での発表を予定しています。

《本プレスリリースの詳細は、以下のURLをご確認ください。》
https://www.t.u-tokyo.ac.jp/press/pr2025-08-29-001
会社名 東京大学大学院工学系研究科
所在地 東京都文京区弥生2-11-16
会社URL https://www.u-tokyo.ac.jp/ja/index.html