（発表:2023年03月03日）

建設機械のCO2削減に向けた「水素アシスト技術」導入の取組み開始

西松建設株式会社（社長:高瀬伸利）は、企業の事業活動で排出されるCO2（Scope1）削減への取組みとして、ディーゼルエンジン向け水素アシスト技術『D-HAT(TM)』を一般の建設機械に活用する実証実験を開始します。

『D-HAT（Diesel-Hydrogen Assist Technology）』とは、米国スタートアップ企業であるHOD Tec社によって開発された水素アシスト技術です。下図に示すように、装置のタンクに積みこんだ水の電気分解によって水素を生成し、エンジンの吸気口（エアインテーク）から燃焼室に水素を送り込み、燃料と混焼させることで、燃費の向上だけでなくエンジン寿命の大幅な延長を可能にします。米国での性能評価（※1）において、排気量11リットルのディーゼルエンジントラックに搭載した場合には、約10%の燃費向上が確認されています。多様な建設機械に同クラスのディーゼルエンジンが使われており、D-HATを活用することで同じく10%前後の燃費向上とCO2排出量の削減が見込まれます。

＊図1は添付の関連資料を参照

■実証試験

実証試験は、株式会社アクティオと、D-HAT輸入販売元であるエントランスフォーメーション株式会社と共同で実施します。本実証ではディーゼル発電機を対象とし、建設現場等で通常利用される汎用製品に後付けでD-HATを接続し、燃焼効率の向上を確認します。負荷試験による燃費の確認、さらに排出ガス測定により排出ガス基準項目（CO、非メタン炭化水素、NOX、PM、ディーゼル黒煙）とCO2の排出量を測定し、ディーゼルエンジンの燃焼効率を定量的に評価します。

さらにD-HATの有効性に関して、エンジン内部のカーボンスラッジ等の堆積物を低減させ、エンジンや排気システムの長寿命化、排気再循環バルブの交換などのメンテナンス頻度・コストの削減が期待されます。今回の実証試験では、現場利用を想定した一定期間のランニング試験を行い、経時での燃費の推移の他に、発電機のメンテナンス性の向上についても確認する予定です。

＊図2は添付の関連資料を参照

■今後の展開

実証試験の結果からD-HATの有効性が確認された後は、当社の土木・建築現場で使用される発電機への展開を予定しています。さらにディーゼルエンジンを動力とする他の建設機械への展開（実証及び現場導入）についても進めてまいります。

当社はエコ・ファースト企業として「2030年度のCO2排出量ネットゼロ」の達成を掲げており、水素アシスト技術の現場活用に向けた取組みはその一環となります。今後も、カーボンニュートラル社会の実現に寄与する技術開発と、開発技術の速やかな導入と現場活用により、持続可能な社会の実現に貢献してまいります。

※1 米国エネルギー省（DOE）科学技術最終報告書 DE-EE-000-7800

https://www.osti.gov/biblio/1566751

■関連ページ

D-HAT(TM): ディーゼル向け水素アシスト技術（エントランスフォーメーション株式会社）

https://www.entransformation.com/d-hat

リリース本文中の「関連資料」は、こちらのURLからご覧ください。

図1

https://release.nikkei.co.jp/attach/650434/01_202303031017.JPG

図2

https://release.nikkei.co.jp/attach/650434/02_202303031017.JPG