ガソリン税
ガソリン税とは
ガソリン税とは、国税の一種である揮発油税と地方揮発油税の総称です。揮発油税は昭和24年に創設され、昭和29年より特定財源として用いられています。ガソリン税による税収は道路整備に使われてきましたが、平成21年より使途を限定しない一般財源となりました。ガソリン税は自動車を持たない方の日常生活とも深く関わりがありますが、実質的な二重課税状態にあるなどの諸問題が指摘されることも少なくありません。
ガソリン税の内訳
ガソリン税は「揮発油税」と「地方揮発油税」の二種類に分けられます。
揮発油税は国の一般財源として利用されており、本則税率は24.3円/リットルです。一方の地方揮発油税は地方の一般財源として全額が譲与されており、本則税率は4.4円/リットルに設定されています。
なお、かつてのガソリン税には、揮発油税48.6円/リットル、地方揮発油税5.2円/リットルの暫定税率が適用されていましたが、令和7年に廃止されました。現在は、揮発油税と地方揮発油税を併せた28.7円/リットルのみが適用されています。また、新電力ネットではガソリン税も加味したガソリン価格一覧を整理しておりますのでご参考ください。
日本におけるガソリン税の歴史
日本におけるガソリン税は、昭和24年に創設され、昭和28年に「道路整備費の財源等に関する臨時措置法」が制定されたことで、道路整備財源としての位置づけが強化されました。昭和29年の揮発油税は13.0円/リットルでしたが、昭和32年4月に14.8円/リットルへとガソリン税額が改訂されています。その後のガソリン税額は右肩上がりを続けており、昭和54年6月には初の40円台となる45.6円/リットルへと増税。平成5年12月には48.6円/リットルに改訂されました。
そして、令和7年12月、半世紀にわたって続いた暫定税率が正式に廃止され、税制上の大きな転換点を迎えました。
ガソリン税についての諸問題
ガソリン税についてはいくつかの問題が指摘されています。
二重課税
二重課税とは、二段階で税金がかけられていることを指す問題です。ガソリン税は、ガソリンの製造・出荷時に課税されますが、ガソリンスタンドでガソリンを給油する際、ガソリン税を含んだ価格全体に対して消費税が課税されています。これが実質的な二重課税にあたると指摘されているのです。
令和4年に内閣府が行った税制調査会においても「ガソリン税の二重課税を廃止するべき」との意見が上がっています。一方、政府は「ガソリンにかかる各種の税金は、それぞれが異なる目的と納税義務者に基づいたものである」とし、二重課税にはあたらないとの見解を示しています。この問題は、税金の公平性を問う議論の焦点の一つです。
暫定税率廃止による税収減
令和7年12月31日にガソリン税の暫定税率が廃止され、現在は本則税率のみとなりました。家計・物流コストの負担軽減というメリットがある一方、税収減による影響が懸念されています。
ガソリン税の税収は、年間約1.5兆円に達するとされており、地方自治体分だけで約5,000億円の減収が見込まれます。ガソリン税の税収は一般財源化されており、減収のあおりを受け、地方財政や公共サービスに影響が及ぶ可能性があるでしょう。
当面は代替財源による対策が検討されていますが、長期的に安定した財源が供給されるかどうかは不透明です。
トリガー条項
トリガー条項とは、ガソリン価格が急騰した際にガソリン税の暫定税率分を減税し、ガソリン価格の上昇を抑える制度です。ガソリンの平均小売価格が3ヶ月連続で160円/リットルを超過した場合に発動し、ガソリンの平均小売価格が3ヶ月連続で130円/リットルを下回った場合に暫定税率の適用が再開されます。
トリガー条項は平成22年の税制改正により創設されました。しかし、平成23年に発生した東日本大震災による復興財源確保などの観点により凍結され、その後も長らく発動されていませんでした。国際情勢の影響を受け、原油価格の上昇が続く局面でもトリガー条項が発動されないことも、ガソリン税に関する問題として指摘されています。
結果的には、令和7年12月の暫定税率廃止によって、トリガー条項の対象税率そのものが消滅しました。事実上の役割を終え、現在は補助金などの別途対策で価格高騰に対応しています。
ガソリン税と日常生活の関連
ガソリン税は車に乗る人に課される税金ですが、車に乗らない人にも間接的な影響を及ぼしています。
- 物流コスト増による物価上昇
- サービス業への影響
- 税収としての使途
- 電気自動車の普及
運送業界では、トラックや船舶などの燃料としてガソリンを消費しています。ガソリン税が高ければ高いほど燃料コストが上昇するため、物流会社は運賃を値上げさざるを得ません。卸売業や小売業は物流コスト増を商品の販売価格に上乗せするため、物価上昇に繋がります。なお、令和8年以降は、暫定税率廃止によって燃料コストが低下し、物流コストへの圧力は一定程度緩和されると考えられます。
ガソリン税の影響により、訪問介護や移動販売など、移動を伴うサービスが縮小する可能性があります。特に地方や高齢者人口が多い地域では需要過多に陥りやすく、サービスの停止や価格の上昇といった問題に直面しやすいでしょう。
ガソリン税は一般財源化されており、公共サービスを通じて間接的に恩恵を受けています。例えば社会保障や教育、公共交通の維持、防衛などにかかる費用の一部にも、ガソリン税による税収が使われています。なお、暫定税率廃止による税収減については、地方財源への影響を考慮した代替措置が検討されています。
ガソリン税やガソリン価格高騰の影響を受け、電気自動車(EV)の普及に繋がる可能性も高いです。それに伴い、電力の需要が増し、電気代が上昇する可能性があります。

