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鉱工業指数(IIP)

鉱工業指数(IIP)とは

鉱工業指数(IIP)とは、国内の生産、出荷、在庫に関連する諸活動を体系的にとらえるものです。IIPは、鉱工業の生産動向を把握することをはじめ、生産された製品が最終需要財として使われるのか、あるいは生産財として使われているのかなど、経済全体の動きをつかむためにも用いられています。

背景と必要性

IIPが重要視される背景には、日本の経済活動全体(GDP)に占める鉱工業の割合が大きいことが挙げられます。鉱工業の関連産業には卸売業や小売業、運輸業もあり、これらを考慮すると、GDPに占め比率は約4割にものぼるため、IIPは経済全体の動きを見るうえで重要な指標となるのです。なお新電力ネットでは、IIPの推移につきコチラのページに整理しております。

また、鉱工業生産は景気変動に敏感であり、統計公表も早い点も特徴的です。GDPの変化は鉱工業部門で生ずる場合が多く、GDPの変化方向をいち早く読み取れることから、IIPは広く活用されています。

3つの構成指標:生産・出荷・在庫

IIPにおける構成指標は「鉱工業生産指数」「鉱工業出荷指数」「鉱工業在庫指数」の3つです。経済活動は生産・出荷・在庫の順番で流れるため、これらの関係性を分析することにより、景気の現状と先行きの見通しを立てやすくなります。

鉱工業生産指数は、工業および製造業における製品の生産活動の水準を示す指数です。生産計画は企業の需要予測に基づいて建てられるため、生産指数の動きを確認することにより、将来の景気動向を見通しやすくなります。

鉱工業出荷指数は、工業および製造業における製品の出荷活動の動向を示す指数です。生産された製品が市場にどれだけ流通したかが分かるため、鉱工業製品に対する需要の強さを把握できます。出荷は実際の需要動向に連動するため、現在の景気状況を判断する材料になるのです。

鉱工業在庫指数は、工業および製造業における製品の在庫の動向を示す指数です。生産者が持つ在庫の増減は、生産と出荷のバランスを示します。在庫の増減を確認することにより、景気の転換点を捉えやすくなります。

季節調整とは

IIPにおける季節調整とは、毎月発表されるIIPのデータから、季節的な変動要因を取り除くことです。トレンドや景気循環の変動を正確に把握し、経済の実体的な動きを測る目的で季節調整が行われます。

例えば、IIPをグラフ化すると、毎年1月・5月・8月などの水準が著しく低くなることが分かります。これは、年末年始やゴールデンウィーク、お盆休みといった長期休暇により工場稼働日が減り、生産量が減少するためです。このように毎年同じように繰り返される動きを「季節変動」と呼び、季節変動は「センサス局法(X-12-ARIMA)」と呼ばれる方法で調整されています。

鉱工業指数(IIP)の活用例

IIPは市場動向の経済分析に用いられており、経済政策・金融政策や、企業経営・投資戦略において広く活用されています。ここでは、IIPの活用例について、具体例を挙げて解説します。

経済政策・金融政策における活用

IIPは、政策当局が景気情勢を判断する上で活用する重要な経済統計です。景気指標の中でも公表時期が早いIIPは、景気に対する感応度が高いため、注目度の高い指標として用いられています。 また、日本銀行はオルタナティブデータやAIを用いて指数の取得精度を向上させる研究を行っており、タイムリーな情報取得を目指していることからも、IIPの重要性の高さがうかがえるでしょう。

経済政策・金融政策におけるIIP活用の具体例としては、コロナ禍の補助金などの対策を挙げられます。コロナ禍においては、急速なIIPの減退を確認しており、2020年4月のIIPはマイナス9.1%(速報値)に達しました。政府は「鉱工業生産は、需給両面の制約に直面しており、回復は長引く可能性に注意」と判断し、大胆な経済政策の導入を決定したとされています。

企業経営や投資戦略における活用

IIPは企業の生産計画や在庫管理、設備投資、人員配置といった経営判断に役立ちます。IIP全体や、自社が属する業種の生産指数を把握することにより、自社の生産計画が市場の動きと乖離していないかを確認できるためです。これにより、余剰生産や生産不足といったリスクを軽減できます。

また、IIPは投資家にとっても重要な指標の一つです。IIPは景気循環と密接に連動するため、IIPが上昇トレンドであれば、株式市場全体への投資を強める判断材料として活用できます。また、IIPは業種別に細分化されるため、特定の業種の健全性や成長性を評価できることも特徴です。そのため、個別銘柄の選定においても、IIPは参考に用いられることの多い指標となります。