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2030年以降のエネルギーとブロックチェーン

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サードステップの2030年以降は、今までに存在しなかったもの、無理だと考えられていたものが、ブロックチェーンを活用することで、ビジネスとして花開きます。現時点では不可能なことや概念的に飛び過ぎに思えることが、どんどん実現する時代ともいえます。

執筆者:一般社団法人エネルギー情報センター
    理事 江田健二

富山県砺波市出身。慶應義塾大学経済学部卒業。アンダーセン・コンサルティング(現アクセンチュア株式会社)に入社。エネルギー/化学産業本部に所属し、電力会社・大手化学メーカ等のプロジェクトに参画。その後、RAUL株式会社を起業。主に環境・エネルギー分野のビジネス推進や企業の社会貢献活動支援を実施。一般社団法人エネルギー情報センター理事、一般社団法人CSRコミュニケーション協会理事、環境省 地域再省蓄エネサービスイノベーション委員会委員等を歴任。

2030年以降のエネルギーとブロックチェーン

サードステップの2030年以降は、今までに存在しなかったもの、無理だと考えられていたものが、ブロックチェーンを活用することで、ビジネスとして花開きます。

現時点では不可能なことや概念的に飛び過ぎに思えることが、どんどん実現する時代ともいえます。サードステップの事例として、「再生可能エネルギー普及に向けた取り組み」「電力の個人間(Peer to Peer)」「消費者とエネルギー市場の直接取引」の3つを紹介します。事例の紹介の前に2つのキーワードを解説します。

2030年は、「プロシューマー」が活躍し、「ICO」が一般的になる時代

キーワードの1つ目は「プロシューマー」です。プロシューマーとは、日本語にすると「生産消費者」と訳すことができます。消費だけでなく、生産にも関わる人々を指します。

ご存知の方も多いと思いますが、この言葉は造語です。世界有数の未来学者である故アルビン・トフラー氏が、世界的ベストセラー『第三の波』の中で提唱しました。『第三の波』の中で、21世紀は消費者がプロシューマーへと変わっていく時代になると予言しています。

ついに2030年ごろは、エネルギーの世界も生産と消費を行うプロシューマーが主役の時代が到来します。なぜなら、数百万という単位で発電所が増えるからです。プロシューマーの数が増えれば増えるほど、当たり前のように家庭同士での電力のシェアリングが行われるようになります。そのシェアリングの情報管理にブロックチェーンが活用されます。

もう1つのキーワードは、「ICO」です。ICOは「イニシャル・コイン・オファリング」の略です。これは、ブロックチェーンを活用した新しい資金調達の手段です。

独自の仮想通貨を発行し、集めたお金を事業のために利用する仕組みです。これまでよりも資金調達が素早くできるという魅力があります。これまでの実績として、ICOにより100億円以上の資金を調達した事例もあります。将来的にICOは、エネルギー業界でも新たな事業を立ち上げる際の資金調達の方法の1つとして普及していくと考えます。

1.再生可能エネルギー普及に向けた取り組み

ドイツのNRGcoin(エヌアールジーコイン)は、再生可能エネルギーの普及を後押しするための新しい仮想通貨を発行しています。同一地域や近隣地域内での再生可能エネルギーの発電・消費を実現することで、再生可能エネルギーの更なる普及、消費者の電気代削減の実現を目指しています。

現在は商業化に向けて、産学共同の取り組みとなっています。エヌアールジーコインの仕組みは、次のとおりです。太陽光発電などをする家庭(プロシューマー)は、ブロックチェーンのスマートコントラクト機能(契約に基づきプログラムが自動実行される機能)に基づき、余剰電力の売電時には1キロワット時に対して1NRGcoinを受け取ることができます。

一方、発電量が足りず、電力を購入する必要があるときには、同様の価格で電気を購入できます。消費者が電力を購入する際は、スマートコントラクトに基づき、系統使用料や税金が自動的に配電会社にも支払われます。

エヌアールジーコインは、電力使用料の支払いに使えるほか、ユーロやドルなどの通貨にも換金できます。政府にとっては、グリーン電力促進におけるコストを抑え、関連予算を削減できることが挙げられます。今後は、オランダで住宅にゲートウェイ端末を設置した実証実験を開始する予定です。

2.電力の個人間(Peer to Peer)

オーストラリアのPower Ledger(パワーレッジャー)は、ブロックチェーンを活用した、再生可能エネルギーのピアツーピア取引プラットフォームです。

売り手と買い手が仲介役を介さずに、発電した電気を直接取引することを可能にします。電力網上でのピアツーピア取引、同じ建物内でのピアツーピアでの電力売買という2つの視点に基づき開発されました。

スマートメーターから消費された電力量と、発電された電力量を読み取り、それらをブロックチェーン上に記録します。パワーレッジャーは2017年10月、ICOを実施し、約30億円を調達しました。

拠点とする豪州内での展開に加えて、タイとインドでマイクログリッドの商業運用に向けたプラットフォームづくりも手がけます。国内では、シドニーの電力小売り事業者オリジン・エナジーとマイクログリッドの試験的な立ち上げに取り組んでいます。

3.消費者とエネルギー市場の直接取引

アメリカのgrid+(グリッドプラス)は、ニューヨークを拠点とするブロックチェーン関連のベンチャー企業です。イーサリアムの共同設立者であり、コンセンシスの創始者であるJoseph Lubin氏がアドバイザーです。2017年にICOで40億円調達しました。

消費者が電力卸売市場から直接電気を購入できる製品および仕組みである「GRID+」を開発しています。「GRID+」は、イーサリアムブロックチェーンのプラットフォームにアクセスし、電気の使用時間帯を事前に通知しておくと、電気が最も安い時間帯を予測して購入してくれます。

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