法人向け 家庭向け

蓄電池×スマートデバイス 第1回

一般社団法人エネルギー情報センター

新電力ネット運営事務局

蓄電池×スマートデバイス 第1回の写真

スマートフォン市場の進化と普及を支える「蓄電池」と「スマートデバイス」について全3回に渡ってお伝えします。

執筆者:一般社団法人エネルギー情報センター
理事 江田健二

富山県砺波市出身。慶應義塾大学経済学部卒業。アンダーセン・コンサルティング(現アクセンチュア株式会社)に入社。エネルギー/化学産業本部に所属し、電力会社・大手化学メーカ等のプロジェクトに参画。その後、RAUL株式会社を起業。主に環境・エネルギー分野のビジネス推進や企業の社会貢献活動支援を実施。一般社団法人エネルギー情報センター理事、一般社団法人CSRコミュニケーション協会理事、環境省 地域再省蓄エネサービスイノベーション委員会委員等を歴任。

記事出典:書籍『2時間でわかる 蓄電池ビジネスの未来: ウィズコロナ時代に拡大する20兆円市場に注目せよ!』(2020年)

スマートフォンと通信技術の進化

スマートフォンの急速な普及には蓄電池が大きく貢献しています。スマートフォンが世界的に短期間で普及したのは、蓄電池(リチウムイオン電池)のお陰といっても過言ではありません。スマートフォンは今や多くの人の生活と切り離せない機器となっていますが、そのような位置付けとなったのは比較的最近のことです。スマートフォンの代表格iphone(アイフォン)が初めてアメリカで発売されたのは2007年、わずか10数年前のことです。

もちろん、スマートフォンを進化させ、その市場を成長させている要因は蓄電池技術の進歩だけではありません。通信技術の進歩も大きな要因です。ここで改めて、移動通信システム(携帯電話ネットワーク)の歴史を振り返ってみましょう。

1980年代に登場した1G(第1世代ネットワーク)はアナログ回線で、現在のようにインターネットに接続することはできませんでした。1990年代に入るとデジタル回線の2Gが登場しました。2000年代に登場した3Gでは、さらに通信スピードが高速化。携帯電話以外の様々なデータ通信サービスも次々と登場してきました。2010年代、スマートフォンの普及とともに登場した4Gでさらに通信速度が向上し、動画やゲームなどのリッチコンテンツもスマートフォンで楽しめるようになりました。

そして今や「5G」の時代です。アメリカや韓国に続き、2020年から国内でもサービスが開始された次世代ネットワーク「5G」は、デジタル時代の飛躍的進歩を象徴する通信システムとして注目を集めています。特に巨大市場である中国において5G市場が立ち上がることで、2020年以降、さらに世界のスマートフォン市場が拡大すると予測されています。

今後、こうした通信技術と蓄電池の進歩によって、スマートフォンをはじめとするモバイル端末(スマートデバイス)はさらに進化・普及していくでしょう。また、スマートフォンだけにとどまらず、IoTやAIの進歩・普及にともない、様々な形態のIoT端末やウェアラブルデバイス(スマートウォッチやスマートグラスなど)も増えていくと予測されます。

私たちは近い将来、さらに多くのモバイル端末(スマートデバイス)を持ち、身に付けることになると思いますが、外で使うスマートデバイスが増えれば増えるほど、それらを支える蓄電池も軽量化・高性能化していくことでしょう。

スマートフォンの最新市場動向

スマートフォン市場は、2017年の14億1200万台に対し、2022年には15億9000万台になると予測されています。このうち、5G対応機は3億1000万台となり、スマートフォン全体に占める5G対応機の比率は19.5%になるといわれています。
また、基地局の世界市場は2017年の162万局に対して、2022年は314万局に増加すると予測。基地局が増えれば、その分電力需要も増加するでしょう。

メーカー別の市場動向をみると、2019年第3四半期(7月〜9月)における世界スマートフォン出荷台数は3.8億台で、1位、2位のサムスンとファーウェイがさらにシェアを伸ばす一方、3位のアップルのシェアが縮小したとのことです。しかし大手リサーチ会社のStrategic Analyticsの分析では、今後、アップルが5Gスマートフォン市場に参入してくれば、この市場で支配的なシェアを獲得するのでは、との予測がされています。

5G時代のスマホとバッテリー

5G時代におけるスマートフォンのバッテリー事情はどうなっていくのでしょうか。
5Gスマホは4Gスマホよりも大量の電力を消費するといわれています。その理由はいくつかありますが、一つは、5Gスマホはより多くの情報処理をしなければならないというということです。また、ディスプレイの解像度が高く、CPUとGPUも高い処理能力を持つため必然的に電力消費量が増大します。さらに5Gネットワークのカバー率が低い場合、スマホは頻繁に5G用の電波を探すことになります。電波を探すことでも電力消費量が増えるといわれています。

ただし、電力消費量が増えたとしても、5Gスマホでは今までよりもバッテリーの性能が向上するはずです。結局、電力消費量はバッテリー性能の向上で相殺されて、電池のもちに関しては今とさほど変わらないのではないか、という予測もあります。

はてなブックマーク

執筆者情報

一般社団法人エネルギー情報センターの写真

一般社団法人エネルギー情報センター

新電力ネット運営事務局

EICは、①エネルギーに関する正しい情報を客観的にわかりやすく広くつたえること②ICTとエネルギーを融合させた新たなビジネスを創造すること、に関わる活動を通じて、安定したエネルギーの供給の一助になることを目的として設立された新電力ネットの運営団体。

企業・団体名 一般社団法人エネルギー情報センター
所在地 〒160-0022
東京都新宿区新宿2丁目9−22 多摩川新宿ビル3F
電話番号 03-6411-0859
会社HP http://eic-jp.org/
サービス・メディア等 https://www.facebook.com/eicjp
https://twitter.com/EICNET

関連する記事はこちら

一般社団法人エネルギー情報センター

2026年02月19日

新電力ネット運営事務局

【第2回】GX戦略地域(DC集積型)の流れと課題

第2回は、第1回で揃えた前提で、GX戦略地域が目指す官民の工程表を揃える仕組みを整理しつつ、各ステークホルダーの実務の論点まで言及して行きます。

一般社団法人エネルギー情報センター

2026年01月12日

新電力ネット運営事務局

【第1回】AIデータセンター時代のシステム設計:ワット・ビット連携、GX戦略地域、PPA・電源ポートフォリオの実務論点

データセンターは、地域の電力インフラ設計を左右する存在へと変わりつつあります。背景には、需要施設の増加や、高負荷率・増設前提という運用特性に加え、脱炭素の要件も加わり、結果として、電力の「量」だけでなく「確実性」と「環境価値」が事業の成否を分ける事が挙げられます。

こうした状況の中で、日本でも制度設計が大きく動いています。具体的には、系統用蓄電池における系統容量の「空押さえ」問題に対して規律強化が議論される一方、国としてはワット(電力)とビット(通信)を一体で整備する「ワット・ビット連携」を掲げ、自治体誘致やインフラ整備を含めた「GX戦略地域」等の枠組みで、望ましい立地へ需要を誘導しようとしています。さらに、需要家側では、脱炭素要請の高まりを受けて、PPAなどを通じた環境価値の調達や、電源ポートフォリオ(再エネ+調整力+バックアップ等)をどう設計するかが、契約論を超えて運用設計のテーマになっています。

本シリーズでは「AIデータセンター時代のシステム設計」を、①ワット・ビット連携、②GX戦略地域、③PPA・電源ポートフォリオの実務論点――という3つの観点から、全3回で整理します。日本の最新の制度設計と接続して、実装するなら何が論点になるかに焦点を当てるのが狙いです。

一般社団法人エネルギー情報センター

2025年09月22日

新電力ネット運営事務局

電力市場の収益ブレを見える化する──リスク管理の標準化を支えるEneRisQ®

本記事では、電力市場におけるリスク管理の課題を解決するソリューション「EneRisQ®」をご紹介します。大阪ガスとオージス総研の知見を融合し、収益のブレを定量的に把握し、最適なヘッジ戦略を支援。属人的なExcel管理から脱却し、リスク管理業務の高度化を実現します。

一般社団法人エネルギー情報センター

2025年05月19日

新電力ネット運営事務局

【第3回】電気主任技術者の人材不足とは? 〜効率的な保安制度の構築と今後の展望〜

これまで2回にわたり、電気主任技術者の人材不足に関する背景や、業界・行政による育成・確保の取り組みを紹介してきました。最終回となる今回は、『制度』の観点からこの課題を詳しく見ていきます。特に、保安業務の効率化やスマート保安の導入、制度改革の現状と課題を具体例とともに解説し、今後の展望を詳しく見ていきます。

一般社団法人エネルギー情報センター

2025年04月30日

新電力ネット運営事務局

【第2回】電気主任技術者の人材不足とは? 〜人材育成の最前線、業界と行政が進める具体策〜

電気主任技術者をめぐる人材不足の問題は、再生可能エネルギーやEVインフラの急拡大と相まって、ますます深刻さを増しています。 こうした状況に対し、国や業界団体は「人材育成・確保」と「制度改革」の両面から対策を進めており、現場ではすでに具体的な動きが始まっています。 第2回となる今回は、人材不足に対し、業界や行政がどのような対策を講じているのか、具体的な施策を、実例を交えながら、詳しくお伝えします。