蓄電池×スマートデバイス 第1回
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2024年06月19日
一般社団法人エネルギー情報センター
スマートフォン市場の進化と普及を支える「蓄電池」と「スマートデバイス」について全3回に渡ってお伝えします。
執筆者:一般社団法人エネルギー情報センター
理事 江田健二
富山県砺波市出身。慶應義塾大学経済学部卒業。アンダーセン・コンサルティング(現アクセンチュア株式会社)に入社。エネルギー/化学産業本部に所属し、電力会社・大手化学メーカ等のプロジェクトに参画。その後、RAUL株式会社を起業。主に環境・エネルギー分野のビジネス推進や企業の社会貢献活動支援を実施。一般社団法人エネルギー情報センター理事、一般社団法人CSRコミュニケーション協会理事、環境省 地域再省蓄エネサービスイノベーション委員会委員等を歴任。
記事出典:書籍『2時間でわかる 蓄電池ビジネスの未来: ウィズコロナ時代に拡大する20兆円市場に注目せよ!』(2020年)
スマートフォンと通信技術の進化
スマートフォンの急速な普及には蓄電池が大きく貢献しています。スマートフォンが世界的に短期間で普及したのは、蓄電池(リチウムイオン電池)のお陰といっても過言ではありません。スマートフォンは今や多くの人の生活と切り離せない機器となっていますが、そのような位置付けとなったのは比較的最近のことです。スマートフォンの代表格iphone(アイフォン)が初めてアメリカで発売されたのは2007年、わずか10数年前のことです。
もちろん、スマートフォンを進化させ、その市場を成長させている要因は蓄電池技術の進歩だけではありません。通信技術の進歩も大きな要因です。ここで改めて、移動通信システム(携帯電話ネットワーク)の歴史を振り返ってみましょう。
1980年代に登場した1G(第1世代ネットワーク)はアナログ回線で、現在のようにインターネットに接続することはできませんでした。1990年代に入るとデジタル回線の2Gが登場しました。2000年代に登場した3Gでは、さらに通信スピードが高速化。携帯電話以外の様々なデータ通信サービスも次々と登場してきました。2010年代、スマートフォンの普及とともに登場した4Gでさらに通信速度が向上し、動画やゲームなどのリッチコンテンツもスマートフォンで楽しめるようになりました。
そして今や「5G」の時代です。アメリカや韓国に続き、2020年から国内でもサービスが開始された次世代ネットワーク「5G」は、デジタル時代の飛躍的進歩を象徴する通信システムとして注目を集めています。特に巨大市場である中国において5G市場が立ち上がることで、2020年以降、さらに世界のスマートフォン市場が拡大すると予測されています。
今後、こうした通信技術と蓄電池の進歩によって、スマートフォンをはじめとするモバイル端末(スマートデバイス)はさらに進化・普及していくでしょう。また、スマートフォンだけにとどまらず、IoTやAIの進歩・普及にともない、様々な形態のIoT端末やウェアラブルデバイス(スマートウォッチやスマートグラスなど)も増えていくと予測されます。
私たちは近い将来、さらに多くのモバイル端末(スマートデバイス)を持ち、身に付けることになると思いますが、外で使うスマートデバイスが増えれば増えるほど、それらを支える蓄電池も軽量化・高性能化していくことでしょう。
スマートフォンの最新市場動向
スマートフォン市場は、2017年の14億1200万台に対し、2022年には15億9000万台になると予測されています。このうち、5G対応機は3億1000万台となり、スマートフォン全体に占める5G対応機の比率は19.5%になるといわれています。
また、基地局の世界市場は2017年の162万局に対して、2022年は314万局に増加すると予測。基地局が増えれば、その分電力需要も増加するでしょう。
メーカー別の市場動向をみると、2019年第3四半期(7月〜9月)における世界スマートフォン出荷台数は3.8億台で、1位、2位のサムスンとファーウェイがさらにシェアを伸ばす一方、3位のアップルのシェアが縮小したとのことです。しかし大手リサーチ会社のStrategic Analyticsの分析では、今後、アップルが5Gスマートフォン市場に参入してくれば、この市場で支配的なシェアを獲得するのでは、との予測がされています。
5G時代のスマホとバッテリー
5G時代におけるスマートフォンのバッテリー事情はどうなっていくのでしょうか。
5Gスマホは4Gスマホよりも大量の電力を消費するといわれています。その理由はいくつかありますが、一つは、5Gスマホはより多くの情報処理をしなければならないというということです。また、ディスプレイの解像度が高く、CPUとGPUも高い処理能力を持つため必然的に電力消費量が増大します。さらに5Gネットワークのカバー率が低い場合、スマホは頻繁に5G用の電波を探すことになります。電波を探すことでも電力消費量が増えるといわれています。
ただし、電力消費量が増えたとしても、5Gスマホでは今までよりもバッテリーの性能が向上するはずです。結局、電力消費量はバッテリー性能の向上で相殺されて、電池のもちに関しては今とさほど変わらないのではないか、という予測もあります。
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