電力情報サービス「QUICK E-Power Polaris」の特徴や今後の展開について
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2024年04月19日
一般社団法人エネルギー情報センター

QUICK社が提供する電力情報サービス「QUICK E-Power Polaris」は電力事業者向け情報をオールインワンで収集・可視化・分析できます。今回は「QUICK E-Power Polaris」の特徴や今後の展開についてについてご紹介します。
信頼と実績の金融情報ベンダーのQUICK社が提供する電力情報サービス
2016年の電力自由化以降、小売り事業者の競争が激しくなっています。近年は発電所の稼働判断や事業計画の策定、価格高騰リスクへの対応など電力価格の変動により、収益に大きな影響を受けるため、事業者にとって電力市場を効率的に収集し、分析することの必要性が高まっています。
株式会社QUICKは、これまでの金融市場の取引で培ってきたノウハウを活かし、国内の電力事業者向け情報を収集・可視化・分析できる電力情報サービス「QUICK E-Power Polaris」を提供しています。電力のスポット・先物価格に影響を与える発電所の稼働状況、天候などのデータに加え、エネルギー市場に関連する記事をオールインワンで提供しています。
2019年11月のサービス開始以降、現在、新電力会社、事業会社、ファンド組成運営会社、電力トレーダーや発電事業者など50社以上が利用しています。
「QUICK E-Power Polaris」の3つの特長
同サービスは、3つの大きな特長を持っています。
特長1.スポット価格に影響を与える情報の一元管理

一般社団法人 日本卸電力取引所(JEPX)のスポット市場の9エリア、48コマ(30分単位で24時間分)の価格情報を任意の期間で分析できます。エリア間値差、過去の価格スパイク、天候と価格の相関等を分析することができるため、スポット市場の入札において、より精度の高い売買につなげることができます。
再生可能エネルギーが拡大したことで、電力需給は、気温、湿度、日射量、雨、雪などのさまざまな気象要素に大きく影響を受けています。同サービスでは、天気予報は3時間ごとにデータを取得し、スポット価格予測の算出ではリアルタイムで価格に反映させています。気象情報は更新ではなく蓄積させているので、気象予報の変化が電力需給やインバランス価格に影響を与えているのかを分析をすることも可能です。
導入企業は、スポット市場の取引用途だけでなく、相対電源の契約をする際や、将来の事業計画を立てる際などスポットや先物価格のデータ分析は様々な用途に利用できます。
特徴2. 必要な情報を瞬時に把握できるUI設計

一覧性を高めたサービス画面は、視認性を意識し、一目でわかりやすいビジュアルになっています。9エリア、48コマの最新の約定結果を、価格のレベルごとに色分けし、瞬時に価格傾向を把握するのに役立ちます。
表や数値のみで開示されている情報でも、商品・期間・エリア・取引情報など細分化されたデータをHighchartsを駆使し、見たい情報に合わせてグラフを作成したり、別の取得元のデータと並べたり、結果を視覚的に把握することが可能です。
Excelでは困難だった大量のデータの集計を瞬時に行い、任意の期間の平均値を計算、グラフ化できる機能もあります。対面での相対電源の契約の際や、先物でヘッジを検討する際などさまざまなシーンでの活用が期待できます。
特徴3. 信頼性のある関連情報と豊富な独自コンテンツ

「QUICK E-Power Polaris」では、日本経済新聞、NQN(日経QUICK ニュース社)、リム情報開発を提供元とする「電力」「再生可能エネルギー」「脱炭素」「燃料市場」などに関係するニュースを配信しています。エネルギー関連に特化したニュースを一元的に入手でき、情報収集に関する業務負担を大幅に軽減しています。
導入企業は、特定のキーワードで抽出した信頼の高いニュースや質の高い独自レポートを即時に得ることができます。信頼できる情報源のニュースで、市場動向把握、営業活動や、事業戦略の策定の際に活用することが可能です。今後は生成AIを活用して、電力価格の考察や分析のレポートといったコンテンツも充実させていく予定ということです。
最新の導入事例と料金プラン
最近の導入事例としては、系統用蓄電池の利用を検討している事業者から価格予測のデータを実証実験や事業計画策定に使いたいという問い合わせが増えてきているそうです。蓄電池メーカーは自社製品の納入先に、価格予測データを提供し、取り込み、適切な売電タイミングを示唆するサービスに活用したい、という理由での導入も進んでいるとのことです。
また、小売り事業者では、「QUICK E-Power Polaris」の情報を社内で活用するだけではなく、API連携機能を活用して情報を社内システムに取り込み、カスタマイズして顧客に独自の電力情報として提供する事例も出てきています。
今後、拡がりを見せている「市場連動型プラン」を採用した電力事業者でも利用が期待されており、価格予測サービスは消費電力が大きい一般企業などでも導入が広がっていくでしょう。
QUICK E-Power Polarisの料金プランは、1年契約のサブスクリプションサービス(API利用時は導入費用が必要)という導入しやすい契約形態で、評価検証用として、約1か月間の無料トライアルが可能となっています。他社サービスと比較してもリーズナブルな価格設定となっています。導入企業は、散在している電力市場や発電所などの情報を収集したり、予測価格の算出する人件費や時間といったコストを考えると価格的なメリットが大きいでしょう。
今後の展開について
2023年12月には価格予測を改善・拡充し、スポット価格は最長14日先まで、フォワードカーブは最長8年先まで算出可能になりました。1コマ(30分単位)の価格データをダウンロードすることもできるようになるなど、後発サービスゆえに、利用者のニーズを反映したエンハンスを定期的に行っていることにも、高い評価を得ている。
同社では、今後、電力取引市場の中心であるJEPXのスポット価格予測に加え、調整力を取引する「需給調整市場」の価格予測の開発を進めており、年内にもリリース予定とのことです。
日本経済新聞社グループであり、金融情報ベンダーとして、信頼性が高い評価を得ている同社ですが、こうした様々な展開を行い、2025年末には現状から倍の導入社数を目指しているということです。
【QUICK E-Power Polaris公式サイト】https://corporate.quick.co.jp/biz/polaris
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一般社団法人エネルギー情報センター
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