名門・県立浦和高校の白熱エネルギー講座

発行年月日:2017年3月1日
発行所:エネルギーフォーラム

執筆者:岡田直人

名門・県立浦和高校の白熱エネルギー講座の写真

本書では、文部科学省SGH(スーパーグローバルハイスクール)指定校である、埼玉県立浦和高校が取り組んだアクティブ・ラーニングについて学ぶことができます。「徹底研究! 日本の電力問題」講座を通じた1年間の記録が掲載されています。

著者:岡田直人(おかだ・なおと 前・埼玉県立浦和高等学校主幹教諭)

1977年埼玉県生まれ。東京大学教育学部卒業。1999年、川崎重工業入社。同社退職後、2002年より埼玉県立高等学校教諭(英語)。2016年より埼玉県立総合教育センター指導主事、現職。

著者インタビュー

県立浦和高校という一公立高校の生徒たちが、エネルギー問題に真正面から取り組んだ姿を伝えたい、それが一番の動機です。福島第一原発の事故後、電力の供給と消費のあり方は、にわかに人々の関心の的となりました。一方で教育現場は、この重要な問題の取り上げ方を未だ十分に見出せてはいません。原子力問題とどう向き合ったらよいのか、持続可能なエネルギー利用はどうすれば実現できるのか等々、容易に答えが見つからない、そして、生徒たちの未来を大きく左右するこれらの問題を10人の生徒と3人の教師が一緒になって徹底的に議論し、探究しました。本書は、その1年間の実践記録です。

「ジグソー法」などアクティブ・ラーニングの手法を取り入れたエネルギー教育の試みを本書にまとめました。エネルギー分野については全くの「素人」である一介の英語教師が、なぜ「公立の星」県立浦和高校でエネルギー問題を扱おうと思ったのか。その思いに10人の浦高生がどう応えてくれたのか。橘川武郎氏(東京理科大学大学院教授)をはじめ電力問題のエキスパートから、彼らが何を学んだのか。最新鋭の磯子石炭火力発電所(横浜市)で、彼らは何を見てきたのか。そして、1年間の総仕上げとして臨んだ東京大学での実践報告の場で、彼らは何を訴えたのか。浦高生とともに、白熱した1年間を追体験していただければ幸いです。

甚大な原発事故を経験した日本は、今後どのようなエネルギー政策をとるのか。この「正解なき問い」は、学校教育の場でも、より一層真剣に向き合うべきものと考えます。