電力マーケティング〜その本質と未来〜

発売日:2024年9月27日
出版社:日本電気協会新聞部

執筆者:高橋 徹

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電力事業といった重厚長大なビジネスを「マーケティング」の観点から詳細にひも解く、他であまり見ることの少ない珍しい書籍です。マーケティン単体で見れば、例えばコトラーなど非常に多くの書籍が世に溢れていますが、本書は電力会社向けにカスタマイズされた内容となっています。

2016年4月に電力小売りの全面自由化が始まり10年近くの年月が流れました。当初はマーケティングの観点も薄い業界でしたが、近年は電力会社の中でも「マーケティング」というワードを聞くことも格段に多くなってきていると感じています。

本書は、一般的な「マーケティング」の概念の説明から始まり、それらマーケティングのノウハウを電力会社の特徴に落とし込むことに挑戦した書籍です。著者は1995年に東京電力に入社、長年の電力会社での勤務の中で自身よりも熱心にマーケティングに拘り熱を持ち、好きでファンである人に会ったことがないというほどのマーケティングのマニアとしています。

この本は、電力会社のマーケティングというニッチな分野の中でも、特に「プロモーション(販促活動)」と「プライス(価格設定)」という2つの要素に焦点を当てています。主な対象読者は、家庭用市場向けの電気の小売事業者です。

著者は、テーマを深く絞り込んでいるためニッチな範囲となり、「マーケティングの全体像」を網羅できていないことを認めています。その上で、本書の内容が将来的に誰かの手によって補強・修正されることを願い、その土台となるよう、できるだけ本質的で体系的な記述を心がけたと述べています。

また近年発展が目覚ましいAIの分野にも触れ、またAIの重要性を理解しながらも最後の一手は「人」として論理を展開しています。新しい技術も取り入れ、それを自身の経験に基づきマーケティング論として咀嚼した上で文章化しています。

なお本書は、すぐに使えるテクニックを解説する「ノウハウ本」ではなく、マーケティングの基本と本質を体系的に学べるように作られています。主な読者対象は、本格的にマーケティングを学びたい電力・ガス業界の関係者です。今後、電力会社の中でマーケティングの考え方を深化させていたい方におススメできる内容となっています。

本ページの書評作成者

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一般社団法人エネルギー情報センター

主任研究員 森正旭

上智大学地球環境学研究科にて再エネ・電力について専攻、卒業後はRAUL株式会社に入社。エネルギーに係るITを中心としたコンサルティング業務に従事する。その後、エネルギー情報センター/主任研究員を兼任。情報発信のほか、エネルギー会社への事業サポート、また法人向けを中心としたエネルギー調達コスト削減・脱炭素化(RE100・CDP等)の支援業務を行う。新電力ネットの運営全般に係る統括責任者、また個人やご家庭の方への情報発信媒体として「電気プラン乗換.com」の立ち上げを行い、コンテンツ管理を兼務。

企業・団体名 一般社団法人エネルギー情報センター
所在地 東京都新宿区新宿2丁目9−22 多摩川新宿ビル3F
電話番号 03-6411-0859
社団HP http://eic-jp.org/
サービス・メディア等 https://price-energy.com/
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