データで読み解く地球温暖化の科学

発売日:2024年9月30日
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執筆者:堅田元喜

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本書は、多様な分野の科学的知見や過去100年以上続いている観測データを丹念に分析し、その結果に基づいて地球温暖化が進んだ未来で何が起こるのかを考えることが主題となっています。地球温暖化の関係する学術分野を広範かつ学際的な視点で眺め、類似したテーマや一見無関係に見えるテーマを深掘りした一冊です。

地球温暖化をデータから読み解く一冊

地球温暖化については、地球全体の気象等のデータや太陽活動などの宇宙規模の活動に至るまで、膨大なパラメーターをベースとした変数によって引き起こされており、人間の経済活動による因果関係については長年にわたり検証および議論が行われてきました。

地球温暖化の科学的な検証においては、1988年に世界気象機関(WMO)と国連環境計画(UNEP)によって設立された政府間組織となるIPCCが最先端の研究を行っており、世界中の科学者の協力の下、定期的に報告書が提出されています。

また、世界各国はIPCCによる最先端の検証データを参考にしながら国内外の制度や法律等を定め、それらに従って経済やビジネスが影響を受けています。今後においてもその流れは変わらず、地球温暖化については引き続き精緻な検証が行われつつ、グローバル経済との折衷点を考慮しながら各国が動いていくものと考えられます。

本書は論文に近い構成となっており、IPCCの報告書や筆者独自の検証なども含め、様々な文献のデータを引用しつつ地球温暖化についてデータで読み解くことを試みています。構成としては、第1章「地球温暖化とヒートアイランド」から始まり、第2章「自然変動と20世紀の温暖期」、第3章「地球温暖化とエアロゾル」、第4章「異常気象と極値統計」、第5章「温暖化が進んだ世界」、第6章「化石燃料技術とCO2施肥効果」、第7章「過去の気候変動と都市農業」、第8章「海面上昇と地盤沈下」、第9章「科学技術で環境問題は解決するのか」から成ります。

第9章では、環境問題の本質とはどのようなものであり、問題解決の障壁は何かをその国内外の事例を紹介しています。 各章を読めば、地球温暖化とその影響と誤解しかねない現象が複数存在し、それらに関する現在の知識が完全とはいいきれないということ、そしてその現状を踏まえて地球温暖化という問題にどう取り組まなければならないことが垣間見えるものと考えられます。

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一般社団法人エネルギー情報センター

主任研究員 森正旭

上智大学地球環境学研究科にて再エネ・電力について専攻、卒業後はRAUL株式会社に入社。エネルギーに係るITを中心としたコンサルティング業務に従事する。その後、エネルギー情報センター/主任研究員を兼任。情報発信のほか、エネルギー会社への事業サポート、また法人向けを中心としたエネルギー調達コスト削減・脱炭素化(RE100・CDP等)の支援業務を行う。メディア関連では、低圧向け「電気プラン乗換.com」の立ち上げ・運営のほか、新電力ネットのコンテンツ管理を兼務。

企業・団体名 一般社団法人エネルギー情報センター
所在地 東京都新宿区新宿2丁目9−22 多摩川新宿ビル3F
電話番号 03-6411-0859
社団HP http://eic-jp.org/
サービス・メディア等 https://price-energy.com/