エネルギーハーベスティングの設計と応用展開《普及版》

2022年6月6日
シーエムシー出版

桑野博喜、竹内敬治

エネルギーハーベスティングの設計と応用展開《普及版》の写真

2015年刊「エネルギーハーベスティングの設計と応用展開」の普及版。光、振動、熱、電磁波などを利用した発電材料の特性を解説し、エネルギーハーベスティングを組み込んだデバイス設計と応用展開も詳述している。

著者情報

東北大学大学院工学研究科ナノメカニクス専攻教授
桑野博喜氏

株式会社NTTデータ経営研究所 社会・環境戦略コンサルティングユニットシニアマネージャー
竹内敬治氏

本書のコンセプトと構成/目次等

  1. 【第1編 市場】
  2. 第1章 エネルギーハーベスティング市場動向
    第2章 センサネットワーク概要

  3. 【第2編 環境発電技術】
  4. 第3章 振動発電
    第4章 有機系熱電材料
    第5章 ナノ加工シリコン熱電変換
    第6章 焦電効果を利用した熱エネルギーハーべスティング
    第7章 ペロブスカイト太陽電池の特徴とエネルギーハーベストへの応用
    第8章 微生物燃料電池
    第9章 酵素バイオ電池
    第10章 電磁波利用

  5. 【第3編 デバイス設計と応用技術】
  6. 第11章 電源回路の設計
    第12章 蓄電デバイス
    第13章 尿発電センサシステム
    第14章 エレクトレット振動発電デバイスの開発事例
    第15章 タイヤセンサー用振動発電器

著者インタビュー

 我々の身の回りには振動、熱、光、電磁波、生物由来物質など様々なエネルギーが存在している。これらは通常、利用されることなく捨てられる低密度エネルギーである。これらの捨てられてきたエネルギーを電気エネルギーに変換する技術をエネルギーハーベスティング技術または、エネルギースカベンジング技術という。本技術は、有線の商用電力に頼る事無く、また、電池のように交換や充電の必要もなく、デバイスや装置に直接電力を供給することが期待される。長寿命でメンテナンスの必要が無い。さらに捨てられたエネルギーは結局小さいとは言え、熱になって地球環境に悪影響を及ぼす。エネルギーハーベスティング技術は、捨てられるエネルギーを電気エネルギーに変換するとともに、小なりと言えどもエネルギーを使い尽くすことを目指す技術である。
 石油、石炭、原子力以外の未利用エネルギーを電気エネルギーに変換して利用することは広義の意味でエネルギーハーベスティングと言えるが、ここでは特にマイクロ情報機器などに適用できるようなマイクロエネルギーハーベスティングに関して主として扱っている。従って水力発電、地熱発電、メガソーラなどの集中電源と異なり、局所的、分散的でありセンサネットワークや体内治療・計測機器、各種ウェアラブル機器などに用いられるのもである。
 本書は前書ともいうべき「エネルギーハーベスティング技術の最新動向」(CMC出版、2010年10月発行)の続編として計画され各種エネルギーハーベスティング技術の設計法に重点を置き応用技術を含むものとなっている。最近では、本技術のIoT(Internet of Things)やその重要な一部であるセンサネットワークへの適用が期待されており誠に、時機を得たものと考えられる。本書では、場面、場面における最適なエネルギーハーベスティングデバイス技術の概要とその設計法についてこれから技術開発を進めようとする方々、応用を試みようとする方々を主な読者と考えている。
 構造物や移動体、生体内に埋め込む場合など半永久的な自立発電が必要とされる場合にエネルギーハーベスティングは極めて有用な技術となる。すなわちエネルギーハーベスティングが、新しいビジネス、世の中の新しい仕組みを創造する、大きなイノベーションに繋がることを期待する。
本書は2015年に『エネルギーハーベスティングの設計と応用展開』として刊行されました。普及版の刊行にあたり、内容は当時のままであり、加筆・訂正などの手は加えておりませんので、ご了承ください。