Jクレジット

Jクレジットとは

J-クレジット制度は、中小企業などの省エネ設備の導入や森林管理などによる温室効果ガスの排出削減・吸収量をクレジットとして国が認証する制度です。前身の制度として経済産業省主導による「国内クレジット制度」と環境省主導による「J-VER制度」がありましたが、これらを一本化して平成25年度より、経済産業省・環境省・農林水産省(制度管理者)により運営されています。

J-クレジット制度を通して、中小企業や自治体などの省エネ、低炭素投資などを促進し、クレジットの活用による国内での資金循環を促していくことを目指しています。この制度は、排出削減量をクレジットという形で売買できる仕組みですが、クレジットはプロジェクト実施者と購入希望者間との間の自由な相対取引となっており、国は介在していないため、決められた価格はありません。

プロジェクト登録と認証の要件

プロジェクトを登録するのには、要件が7つ定められています。

①日本国内で実施されること。②2013年4月1日以降に開始されたものであること。③追加性を有すること。(原則として、設備の投資回収年数が3年以上かどうかで追加性の有無を判断。)④方法論に基づいて実施されること。⑤妥当性確認機関による妥当性確認を受けていること。⑥(吸収プロジェクトのみ)永続性担保措置を取ること。⑦その他本制度の定める事項に合致していること。

また、プロジェクトを認証されるのには、要件が6つ定められています。

①プロジェクトを実施した結果生じていること。②排出削減・吸収量が、プロジェクト計画書に従って算定されていること。③検証機関による検証を受けていること。④ ②の排出削減・吸収量を算定した期間が、平成33年3月31日を超えないこと。⑤類似制度において認証を受けていないこと。⑥その他制度の定める事項に合致していること。

Jクレジットプロジェクト実行者のメリット

Jクレジットでプロジェクトを計画し、実行する側のメリットは、5つ挙げられます。

➀省エネ設備の導入や再生可能エネルギーの活用により、ランニングコストの低減や、クリーンエネルギーの導入を図ることができます。

➁設備投資の一部を、クレジットの売却益によって補い、投資費用の回収やさらなる省エネ投資に活用できます。

➂自主的な排出削減や吸収プロジェクトを行うことで、温暖化対策に積極的な企業、団体としてPRすることができます。

➃創出したクレジットが、例えば、地産地消的に地元に縁の深い企業や地方公共団体に利用されるなど、新しいネットワークの構築につながります。

➄J-クレジット制度に参加することで、省エネの取組みが具体的な数値として見える化でき、メンバーの取組み意欲向上や意識改革にもつながります。

Jクレジット購入者のメリット

クレジットを購入する側のメリットは、4つあげられます。

➀クレジットの購入をとおして、日本各地の森林保全活動や中小企業等の省エネ活動を後押しすることができます。

温対法省エネ法の報告への活用や、各種企業評価調査等においてクレジット購入をPRすることで企業評価につなげることができます。

➂製品・サービスに係るCO2排出量をオフセットすることで、差別化・ブランディングに利用可能です。

➃クレジット購入を通して構築された企業や地方公共団体との新たなネットワークを活用し、ビジネス機会の獲得や新たなビジネスモデルの創出につなげることができます。

Jクレジットの種類

排出削減・吸収に資する技術ごとに、適用範囲、排出削減・吸収量の算定方法及びモニタリング方法等が規定されています。方法論によって、登録プロジェクトは6つの分野に分類されます。

➀省エネルギー分野

化石燃料の使用を抑えること等によりエネルギー由来CO2を削減する分野です。省エネボイラーの導入、省電力照明設備の導入等のプロジェクトが分類されます。

②再生可能エネルギー分野

化石燃料を再生可能エネルギーに代替することによりエネルギー由来CO2を削減する分野です。バイオマス燃料、太陽光発電等のプロジェクトが分類されます。

➂工業プロセス分野

工業プロセスにおける化学的又は物理的変化により排出される温室効果ガスを削減する分野です。工業プロセスにおける温室効果ガス削減等のプロジェクトが分類されます。

➃農業分野

農業分野において排出される家畜由来又は農地由来の温室効果ガスを削減する分野です。低タンパク配合飼料の給餌等のプロジェクトが分類されます。

➄廃棄物分野

廃棄物の処理に伴い排出される温室効果ガスを削減する分野です。食品廃棄物等の堆肥化等のプロジェクトが分類されます。

➅森林分野

森林施業の実施により温室効果ガスを吸収する分野です。森林経営活動等のプロジェクトが分類されます。

また、登録プロジェクトは「通常型」と「プログラム型」の2つにも分けられています。通常型は、例えば、中小企業がボイラー機器を省エネ型に入れ替えるなど、一件についてCO2削減する事例が当てはまります。

一方、プログラム型は、家庭や工場に太陽光発電システムやコージェネレーションシステム、電気自動車などを導入して合計何万トンの削減になるというように、クレジットをまとめてとれる形にしています。

Jクレジットが対応可能なイニシアティブ等

温対法での活用

地球温暖化対策の推進をするために設定された温対法では、調整後温室効果ガス排出量や、調整後排出係数の報告に利用可能です。

省エネ法での活用

省エネルギー分野のプロジェクトによるクレジットを、省エネルギー対策を強化・促進するために設定された省エネ法では、共同省エネルギー事業の報告に利用可能です。(省エネルギー分野のプロジェクト以外で創出されたクレジットは利用できません)

CDP質問書での活用

CDPは、投資家向けに企業の環境情報の提供を行うことを目的とした国際的な非営利団体です。気候変動等に関わる事業リスクについて、企業がどのように対応しているか、質問書形式で調査し、評価したうえで公表するものです。CDPでは、再生可能エネルギー分野のプロジェクトのうち、再生可能エネルギー電力を自家消費するプロジェクトから創出されたクレジットを、CDP質問書に再生可能エネルギー電力の調達量として報告できます。

RE100での活用

RE100とは、事業活動で使用する電力を、全て再生可能エネルギー由来の電力で賄うことをコミットした企業が参加する国際的なイニシアティブです。RE100では、再生可能エネルギー分野のプロジェクトのうち、再生可能エネルギー電力を自家消費するプロジェクトから創出されたクレジットを、RE100で再生可能エネルギー電力の調達量として活用できます。

申請手続き

クレジットの認証・発行までには、プロジェクトの登録とモニタリング(削減量や吸収量を算定するための計測等)の2つの申請手続きのステップがあります。

まず、プロジェクトの登録では「どんなCO2排出削減/吸収事業(省エネ設備の導入、森林管理等)を実施するか」を記載したプロジェクト計画書を作成します。作成したプロジェクト計画は、本制度に登録された審査機関に「プロジェクトの実態を反映したものか」、「本制度の規程に沿っているか」を事前確認してもらう必要があります。その後、有識者委員会に諮り、国が正式にプロジェクトを登録します。

次にモニタリングでは、登録したプロジェクト計画に基づき、排出削減量/吸収量を算定するための計測を行います。その上で計測結果に基づき排出削減量/吸収量を算定し、モニタリング報告書を作成します。作成したモニタリング報告書は、審査機関にモニタリング方法等が「本制度の規程やプロジェクト計画に沿って行われているか」を事前確認してもらいます。その後、有識者委員会に諮り、認証を受けた後、国がクレジットを発行します。

グリーン電力証書や非化石証書との対比

グリーン電力証書、非化石証書、Jクレジットは、共に自然エネルギーで作った電力の環境価値を取引するものです。

グリーン電力証書とは、太陽光発電や風力発電、バイオマス(生物資源)発電などの再生可能エネルギーによって発電された電気(グリーン電力)の環境価値を、証書発行事業者が第三者認証機関の認証を得て証券化して、企業や自治体の間で取引を可能にした制度です。太陽光発電などの再生可能エネルギーの発電設備を持たない企業でも、グリーン電力証書を購入することで地球温暖化防止に貢献できるようにという目的で作られました。

非化石証書とは、その電気が化石燃料を使用していない「非化石電源」からつくられた電気であることを証明するもので、2018年5月に創設された非化石価値取引市場で売買されています。小売電気事業者が「エネルギー供給事業者による非化石エネルギー源の利用及び化石エネルギー原料の有効な利用の促進に関する法律」(高度化法)で定められた、「2030年度までに調達する電気の非化石電源比率を44%以上にすること」という目標を達成するために作られました。

Jクレジット・グリーン電力証書・非化石証書がそれぞれ異なる点は、グリーン電力証書とJクレジット制度は需要家が直接売買できますが、非化石証書を購入できるのは小売電気事業者のみであるため、購入したい場合は契約中の小売電気事業者に非化石証書の対応をしてもらう必要があります。

また、非化石証書を入手するには市場のオークションで入札する必要がありますが、グリーン電力証書は証書の発行事業者から、Jクレジット制度は所有者または仲介事業者から購入することが可能です。

他には、Jクレジットとグリーン電力証書は原則として自家消費した再生可能エネルギー電力が対象となりますが、非化石証書は電力系統に流れたFIT電力が対象となります。