グリーン電力証書 (Green Power Certificate)

グリーン電力証書 (Green Power Certificate)とは

A certificate for the environmental value of electricity generated from renewable energy sources. The certificate can be used to make the electricity being used to count as having environmental value.

グリーン電力とは、再生可能エネルギー(風力・太陽光・バイオマス・地熱・水力などによる発電)のことで、グリーン電力発電設備を自ら保有することが困難な企業や自治体等によって、「グリーン電力環境価値」を保有することを通じて、企業や自治体等の環境対策に貢献する事と、発電者が保有する「グリーン電力環境価値」が移転されることを通じて、グリーン電力の発電設備の建設、維持、拡大に貢献し、ひいては日本におけるクリーン電力の普及拡大に貢献する事をグリーン電力証書と言います。

背景

環境保持に貢献したい、グリーンエネルギーで発電した電気を使いたいが、土地制約等で自らグリーン発電設備を導入できないという企業側と、グリーンエネルギーはコストが高いため新規建設や維持が容易ではないと考えているグリーン発電設備を所持している企業、住宅側の利益が一致する事から考案されました。

概要

グリーン電力証書システムとは、再生可能エネルギーによって発電された電力の電気以外の価値、すなわち省エネルギー(化石燃料削減)・CO2排出削減などの価値(=グリーン電力環境価値)を「グリーン電力証書」という形で具体化することで、企業などが自主的な省エネルギー・環境対策のひとつとして利用できるようにするシステムです。

発電設備を自ら所有しなくても、グリーン電力環境価値(=グリーン電力証書)を保有することにより、自らが使用する電気が再生可能エネルギーによって発電されたものとみなすことが可能になります。

グリーン電力証書制度の沿革

2000年11月 日本自然エネルギー株式会社が、日本で初めて民間によるグリーン電力証書の商品企画を発表
2001年6月 第三者認証機構として運営すべく、「グリーン電力認証機構」(任意団体)が設立。事務局を(財)日本エネルギー経済研究所内に設置
2008年2月 経済産業省資源エネルギー庁新エネルギー部会の下に「グリーンエネルギー利用拡大小委員会」設置。グリーン電力証書の更なる普及拡大策を検討
2008年4月 更なるグリーン電力の拡大に対応すべく、また電力のみならず熱についても幅広く検討を行うべく、「グリーンエネルギー認証センター」((財)日本エネルギー経済研究所附置機関)が設立
2008年6月 「グリーンエネルギー利用拡大小委員会」において「グリーン電力証書ガイドライン」を策定
2008年8月 東京都「太陽熱の利用拡大に向けたグリーン熱証書討論会」で太陽熱グリーン熱証書化方針決定
2009年4月 グリーン熱証書事業開始
2010年4月 東京都の環境確保条例施行規則に基づく閑居以下地保有量に印象機関として登録
2012年1月 グリーンエネルギーCO2削減相当量認証制度における検証機関として登録
2018年4月 グリーンエネルギー認証事業を「一般財団法人 日本エネルギー経済研究所」から「一般財団法人 日本品質保証機構」へ全部譲渡

海外の事例

アメリカ

アメリカでは、再生可能エネルギー証書(Renewable Energy Certificates、RECs)と呼ばれるグリーン電力証書が発行されています。アメリカでは、非営利団体である資源ソリューションセンターによるグリーンEプログラムや環境資源トラストによる認証プログラム等があります。アメリカの代表的な認証プログラムであるグリーンEによる再生可能エネルギー証書の認証は、2003年以降急速に拡大し、再生可能エネルギー証書による再生可能エネルギーの導入量は、どんどん増えています。

ドイツ

国内の再生可能エネルギー設備への投資を促す EEG と並行して、再生可能エネルギー由 来の電力(グリーン電力)に対する需要を促進することも重要な施策です。

そのためには、 電力のトレーサビリティを高め、グリーン電力の給電量と消費量を確実に把握することが求められます。そのためにも、発電源証明は重要な施策となります。

ドイツでは RECS と呼ばれる 証書が発行されていましたが、EU レベルでの再生可能エネルギー取引の透明化と円滑化を図るため、2013 年より発電源証明(GO、ドイツ語では Herkunftsnachweise、HKN)に全面的に移行しました。それまでは民間組織が管理していた登録簿も連邦環境庁(UBA)へと移管され、 統一された証書の管理システムが導入されました。

再生可能エネルギー法(EEG)と再生可能エネルギー熱法(EEarmeG)を通じて国内法化しています。グリーン電力はEEGに定められていますが、2013年12月の省庁改編以降、急環境省より新しい環境エネルギー省(BMWi)へと移管しています。

グリーン電力証書の利用形態の多様化

近年の消費者の環境配慮製品への関心が高まり、タオルやTシャツ等の商品の製造過程やインターネットなどのサービスの提供過程でしようする電力に相当するグリーン電力証書を購入し、活用する事例が増えています。

3種類の証書を比較

日本国内のCO2クレジットには主に、グリーン電力証書・J-クレジット・非化石証書の3種類が用いられます。下記にて、証書を比較していきます。

特徴

グリーン電力証書

太陽光発電風力発電などの再生可能エネルギーによって発電された電気(グリーン電力)の環境価値を証券化。

J-クレジット

太陽光発電や省エネ機器の導入などによるCO2(二酸化炭素)の削減量を「J-クレジット」として国が認可。

非化石証書

石油や石炭を使用しない「非化石電源」からつくられた電気であることを証明する証書。

目的

グリーン電力証書

再エネ発電設備を持たない企業でも、地球温暖化防止に貢献できるようにするため

J-クレジット

企業が温室効果ガスの削減に貢献しやすくするため

非化石証書

高度化法に定められた「2030年度までに調達する電気の非化石電源比率を44%以上」という目標を、小売電気事業者が達成するため

発行元

グリーン電力証書

グリーン電力証書発行事業者により発行

J-クレジット

経済産業省、環境省、農林水産省により発行

非化石証書

経済産業省により発行

創出する手順

グリーン電力証書

再生可能エネルギー(太陽光発電や風力発電など)による発電

J-クレジット

再生可能エネルギーや省エネ機器による温室効果ガスの削減

非化石証書

石油や石炭を使用しない非化石電源(再生可能エネルギーや原子力発電)による発電

「キーワードでわかる! 脱炭素と電力・エネルギー[上級編]」より
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