価格と需要から見るガスと電力、都市ガスとLPガス料金の推移と自由化の影響(9)
一般社団法人エネルギー情報センター

前回から引き続き、「電力とガスの違いについて~それぞれの特徴から考察する~」といったテーマにて連載コラムを掲載いたします。第9回目となる今回は、都市ガスやLPガスのこれまでの料金推移と、自由化が与えた影響を見ていきたいと思います。
都市ガス価格の推移、自由化の影響
まず始めに、都市ガス価格の推移について見ていきたいと思います。こちらも電力と同様、燃料価格がガス小売単価に強く影響します。日本の場合、LNG輸入価格が原油価格に連動する価格フォーミュラを採用しているため、タイムラグはありますが、LNG輸入価格は原油価格の影響を強く受けます。このことからもガス料金単価は、電気料金単価とある程度の相関をもって変動していきます。
都市ガスの大口は既に自由化されておりますが、電力と同様、自由化によって原料費(燃料)以外の費用が削減できています「関連記事」。その結果、ガス料金単価は1990年の約100円/立方メートルから、2005年には90円/立方メートルまで下がっていきました。
しかし、2007年度以降、原料費以外の部分における削減は落ち着き、2014年度まで横ばい状態が続いています。その間、原料費は値上がり傾向にありますので、その影響を受けてガス小売り単価も徐々に上がってきています(図1)。

図1 ガス料金の推移 出典:資源エネルギー庁
都市ガス価格の推移、自由化前の小口部門
次に、都市ガスにおいて自由化される前の小口部門における料金推移について見てみます。こちらは大口と異なり長期的に徐々に値上がりしておりますが、2008年度から2010年度にかけてはリーマンショックの影響で、単価が一度低下しました。リーマンショックでは世界経済の落ち込みにより株も大きく下落、世界的にエネルギー需要も落ち込みます。原油の先物市場から投資マネーが引き上げられ、原油価格が短期間で大幅下落すると同時に、それと連動してガス価格も大幅下落しました。
このように、リーマンショックの影響で短期的にガス単価が下落しましたが、前述のように長期の傾向ではガス料金単価は上昇を続けています(図2)。これは、自由化されている大口の市場とは異なる傾向にあるといえます。しかし今後においては、既に自由化されている大口と同様、自由化による競争がガス料金単価の押し下げに繋がっていくことが想定されます。

図2 ガス料金の推移(小口) 出典:資源エネルギー庁
価格差の大きい都市ガス料金、関東では最大3.25倍
都市ガスは事業者や地域によって価格差が大きい製品の一つです。全国ベースにおける一般ガス事業者ごとの料金格差は、最大3.70倍となっており大きく異なります。仮に同じ地域であっても価格差はあり、例えば関東であれば、最大3.25倍の価格差があるというデータもあります(図3)。
このように価格の幅がある大きな理由の一つは、ガスにおける導管が全国ネットワークとして備わっていないことです。そのため各地域で融通が困難なため、料金の平準化が難しく、人口密度や経営規模の格差、原料の差異といった要素が価格差を広げています。

図3 一般ガス料金の内々価格差 出典:資源エネルギー庁
LPガス料金の推移、長期では増加傾向
最後に、LPガスの料金推移について見ていきたいと思います。LPガスについては既に自由化されておりますが、電力などと異なり、料金単価は年々と上がってきております。具体的には、1987年には4,596円/10m3であったのが、2016年12月には7,548円/10m3と、1.6倍以上になっております(図4)。

図4 LPガス価格の推移(家庭用) 出典:石油情報センター資料より作成
値上がり傾向のあるLPガスですが、様々な要因により今後は料金単価が下がっていくと考えられます。まず、2016年7月に日本LPガス協会が発表した資料によると、消費者に選択されるための取組みとして、「料金透明化の促進」を挙げています。透明化が進み各社が料金情報を公開すると、価格競争が起きやすくなりますので、必然的に単価が下がっていく可能性が高まります。
また、実際にLPガスの比較サイトというものも登場してきており、そうしたサービスでは価格の安さが重要になると思われます。ガス自由化により料金比較が一般的になると、ガス事業者にとっては単価を下げるインセンティブになり得ると考えられます。
そのほか、ガス自由化によってガス切替の意識が高まっていく可能性があります。そうなってきますと、ガス各社による市場競争が生まれ易くなりますので、LPガス事業者としては価格引き下げのトリガーになることも想定されます。
電気や都市ガスのように年々需要を伸ばしている市場と比べ、先細り感が否めないLPガス市場は、こうした状況を打破しようと各社とも改善策を模索しています。そうした観点からも、LPガス料金は透明化が進み、事業効率化などによって単価が徐々に引き下げられていくと考えられます。
都市ガスとLPガス価格の比較、全国ベースで1.86倍の差
都市ガスとLPガスの価格を比較した場合、全国ベースで1.86倍の差が生じています(図5)。ただ、全体としては都市ガスの方が安いのですが、LPガスが必ずしも高いわけではありません。つまり、全てのLPガスが都市ガスの1.86倍ではなく、安い業者もいるということです。現在は、LPガス価格の情報が分かりづらい状況ですので比較が難しいケースもありますが、自由化により状況が変わってくると想定されます。

図5 一般ガスとLPガスの価格差 出典:資源エネルギー庁
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