ガス事業の歴史を振り返る、ガス自由化までの流れと変遷(3)

2017年02月07日

一般社団法人エネルギー情報センター

新電力ネット運営事務局

ガス事業の歴史を振り返る、ガス自由化までの流れと変遷(3)の写真

前回から引き続き、「電力とガスの違いについて~それぞれの特徴から考察する~」といったテーマにて連載コラムを掲載いたします。第3回目となる今回は、ガス自由化によって生まれる料金プランの多様性や、どういったデメリットがあるのか、といった部分についてフォーカスしていきます。

多様性が生まれる料金プラン

これまで、ガス料金プランはオプションなどの多様性が少なく、多様なニーズを捉えられるような性質は持ち合わせていませんでした。しかし、異業種が参入することにより、ポイントサービスや定額制など、さまざまな形の料金プランが生まれると期待できます。消費者は、それぞれのガス会社が工夫した料金メニューの中から、サービスを選ぶことができます。

また、電気とガスの両方が全面自由化されたので、エネルギー事業の垣根がなくなります。これはつまり、例えば電気とガスのセット割引といったことも可能になるということです。この電気とガスのセット割引をデュアルフュエルというのですが、欧米の一部の国では一般的になっています。電気とガスを別々に契約するよりも、割引された料金となることが特徴です。イギリスにおいては一般的な形態であり、2014年時点では家庭需要家の内、7割以上がデュアルフュエルを選択しています。

ガス自由化のデメリットは何があるのか

さて、ガス自由化の主な目的を見てきましたが、実際にガス会社を切り替えるとして、業務経験の少ない企業に切り替えることは不安だと、そう考える方も多いと思います。技術的な優位性を持つ既存のガス会社の方が、新しく参入した企業より安全性や安定性で優ると考えるのは、当然といえます。そのような不安について、実際のところはどうなのか、といった点を見ていきたいと思います。

安定供給の観点でいえば、これまで敷設されたインフラが利用されるので、これまでと全く変わりません(図1)。これは電力事業と同じですね。そのため、新たに参入したガス会社は、新たな工事をすることは基本的にはありません。それでは、インフラを敷設する費用は誰が払うのかというと、全てのガス小売事業者が同じ条件の下で費用負担することとなります。インフラ利用料金は国が認可します。そのインフラ利用料を、ガス事業者全員が公平に負担するような仕組みです。このように、ガス各社は同じ土台の上で営業活動を行い、かつ技術的に専門的な部分は既存の事業者が担当するので、ガスとは全くの異業種でもサービス内容や価格で競うことが可能となります。

ガス販売までの流れ

図1 ガス販売までの流れ 出典:経済産業省

ガス供給の安定性は、これまでと変わらないということが分かりました。いきなりガスが止まるといったリスクは、ガス会社切り替えにおいて考慮しなくて良いということですね。それでは、安全性についてはどうでしょうか。ガス事業において、安全性の確保は最優先事項です。ガスは、取り扱いを間違えると大事故につながるエネルギーを持っているため、慎重に物事を進める必要があります。そうした観点から、ガス管の点検や緊急対応などの保安・管理は、これまでどおり都市ガス会社が行うこととなります。その安全性についても、供給の安定性と同様、今までと全く変わりません。

また、もしガス会社が倒産したらどうしよう?と考える方もいるかと思います。ガスは社会生活を営む上でなくてはならない基盤であり、使えなくなると大惨事です。そのため、そうした状況に対応できるよう、セーフティネットがきちんと用意されています。具体的には、仮に契約しているガス会社が倒産などのトラブルに見舞われても、元々のインフラ自体を敷設した都市ガス会社がバックアップするようになっています。

このように、ガス自由化において、基本的にはデメリットとなるものはありません。ただ、料金プランが多種多様となるので、需要家にとっては選択することに手間暇がかかるといった点はデメリットといえます。また、可能性は大変低いのですが、都市ガス料金が高くなる可能性も0ではありません。地域によっては、これまで国により制定されていた料金規制が撤廃されるからです。

ガス各社は自由に料金を決められるようになったので、ある意味では高い価格を需要家に押し付けることも可能となったわけです。これまでは総括原価方式に基づいて供給約款料金を算定し、経済産業大臣の認可を受けることとする規制があったので、ガス会社が不当に高い価格を設定できませんでした。それがガス自由化により、文字通り自由に価格を決めやすくなったので、料金を高くすることもやり易くなったといえます。

ただ、都市ガスは電気やLPガスとの競争が生まれるので、簡単に料金が上がることはありません。しかし、少し懸念が生まれるケースもあり、それは都市ガスが独占的にエネルギー供給しているような地域です。独占的だということは、都市ガス以外の選択肢が生まれにくい地域であり、そこで都市ガス会社が好き放題に料金を上げると、大勢が苦しむこととなります。なぜなら、都市ガス以外のエネルギーに切り替えようとしても、なかなか難しい地域であるからです。ただ、そうしたガスの独占率が高い地域は、規制料金が残りますので、自由化の影響でガス料金が上がることはありません。

この続きを読むには会員登録(無料)が必要です。

無料会員になると閲覧することができる情報はこちらです
電力の補助金

補助金情報

再エネや省エネ、蓄電池に関する補助金情報を一覧できます

電力料金プラン

料金プラン(Excel含)

全国各地の料金プラン情報をExcelにてダウンロードできます

電力入札

入札情報

官公庁などが調達・売却する電力の入札情報を一覧できます

電力コラム

電力コラム

電力に関するコラムをすべて閲覧することができます

電力プレスリリース

プレスリリース掲載

電力・エネルギーに関するプレスリリースを掲載できます

電力資格

資格取得の支援

電験3種などの資格取得に関する経済支援制度を設けています

次の記事:ガスと電力を比較する、自由化されるセグメントや需要全体における市場規模(4)

前の記事:ガス事業の歴史を振り返る、ガス自由化までの流れと変遷(2)

はてなブックマークGoogle+でシェア

執筆者情報

一般社団法人エネルギー情報センターの写真

一般社団法人エネルギー情報センター

新電力ネット運営事務局

EICは、①エネルギーに関する正しい情報を客観的にわかりやすく広くつたえること②ICTとエネルギーを融合させた新たなビジネスを創造すること、に関わる活動を通じて、安定したエネルギーの供給の一助になることを目的として設立された新電力ネットの運営団体。

企業・団体名 一般社団法人エネルギー情報センター
所在地 東京都新宿区新宿2丁目9−22 多摩川新宿ビル3F
電話番号 03-6411-0859
会社HP http://eic-jp.org/
サービス・メディア等 https://www.facebook.com/eicjp
https://twitter.com/EICNET

関連する記事はこちら

ノーベル賞の有力候補に日本人、ペロブスカイト太陽電池とはの写真

一般社団法人エネルギー情報センター

2017年09月28日

新電力ネット運営事務局

ノーベル賞の有力候補に日本人、ペロブスカイト太陽電池とは

9月20日、米国の科学情報企業であるクラリベイト・アナリティクスは、2017年の「クラリベイト・アナリティクス引用栄誉賞」を発表しました。ノーベル賞クラスと目される研究者が選出されており、日本人では「ペロブスカイト」を太陽電池に応用できることを発見した宮坂力氏が選ばれました。

改正FIT法、太陽光発電の保守点検に対応する新資格、JPEAが認定の写真

一般社団法人エネルギー情報センター

2017年09月25日

新電力ネット運営事務局

改正FIT法、太陽光発電の保守点検に対応する新資格、JPEAが認定

9月14日、太陽光発電協会(JPEA)は新たに創設した「PVマスター保守点検技術者」制度に基づく第1回目の認定試験を、2018年2月25日に全国4会場で実施すると発表しました。改正FIT法の事業計画策定ガイドラインにおいて義務づけられた、太陽光発電設備の保守点検に必要な知識、技術の習得をJPEAが認定するものです。

使用済太陽光パネル、リサイクルシステムの構築などについて総務省が勧告の写真

一般社団法人エネルギー情報センター

2017年09月13日

新電力ネット運営事務局

使用済太陽光パネル、リサイクルシステムの構築などについて総務省が勧告

9月8日、総務省は使用済太陽光パネルの廃棄処分等の 実施状況を調査し、その結果を取りまとめ、必要な改善措置について勧告したと発表しました。環境省と経済産業省に対して、「災害による損壊パネルへの対処」や、「使用済パネルの適正処理・リサイクル」について勧告を行っています。

8月31日付のFIT法改正、「太陽電池の合計出力」の一定の増減で変更時の調達価格に、過積載は可能の写真

一般社団法人エネルギー情報センター

2017年09月08日

新電力ネット運営事務局

8月31日付のFIT法改正、「太陽電池の合計出力」の一定の増減で変更時の調達価格に、過積載は可能

9月5日、資源エネルギー庁は8月31日に公布・施行したFIT法改正のポイントを発表しました。ポイントは6つに分けられており、太陽光発電における調達価格の変更条件や、本人確認の書類の変更などについて説明が掲載されています。

エネルギーマネジメント関連市場、2025年度に約2700億円の予想、2016年度の2倍以上にの写真

一般社団法人エネルギー情報センター

2017年08月16日

新電力ネット運営事務局

エネルギーマネジメント関連市場、2025年度に約2700億円の予想、2016年度の2倍以上に

8月14日、富士経済は家庭分野と産業・業務分野におけるエネルギーマネジメント関連の国内市場を調査し、その結果を「2017 エネルギーマネジメントシステム関連市場実態総調査」にまとめたと発表しました。2025年度には約2700億円の市場となり、2016年度の2倍以上の規模となる予測となります。