丸紅、電力小売事業においてAIを活用した市場分析モデルを導入

2018年05月31日

一般社団法人エネルギー情報センター

新電力ネット運営事務局

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丸紅は5月、日本国内で展開する電力小売事業において、AIを活用した高度な市場分析モデルの本格導入を開始したと発表しました。日立のIoTプラットフォーム「Lumada」を活用しています。丸紅が独自モデルとして構築し、業務改善とコスト削減に一定の効果が実証されました。

AIを活用した市場分析モデル、丸紅と日立が協力

現在、「第4次産業革命」とも言われる大きな変革が加速的に進展しています。人工知能(AI)やIoT、ビッグデータが、ビジネスや社会のあり方そのものを根底から変えていく可能性があり、電力業界でも様々な動きが見られます。

その一つに、電力設備の保守/保全の観点からIoTを活用する事例があります。例えば、関西電力はAIによる「早期異常検知システム」を開発、火力発電所の運用・保守を向上させています。[関連記事]

環境の見える化の観点からIoTを活用する事例もあります。例えば、NTT東日本の圃場センシングソリューションでは、LPWA(省電力で通信できる無線通信技術)を利用することで、モバイル回線の費用を負担することなく圃場環境を“見える化”しています。これにより、ふくしま未来農業協同組合では、「霜」対策に発生する人的負担を軽減しています。[関連記事]

そのほか、電力需給調整や仮想発電所、防犯、デジタル公告、P2P電力取引など、様々な視点からユニークなビジネスが生まれつつあります。これらは国内外において需要が想定され、例えば途上国においてもインフラ整備にスマート電力システムが必要とされるなど、今後の成長性も期待できます。

こうした中、丸紅は日本国内で展開する電力小売事業において、AIを活用した市場分析モデルの本格導入を開始したと発表しました。日立のIoTプラットフォーム「Lumada」を活用しています。丸紅が独自モデルとして構築し、業務改善とコスト削減に一定の効果が実証されました。

業務改善とコスト削減に一定の効果

電力小売の完全自由化に伴い、新電力事業の市場規模は毎年3~4%の拡大を続けています。丸紅は、日本国内を電力供給の注力市場の一つと位置づけており、子会社である丸紅新電力を通じ、需要家へ約5千GWh(2017年度)を供給しています。

丸紅によると、市場規模の拡大に伴い、市場分析手法の高度化は重要になるとしています。そのため、丸紅と日立は、2017年8月から今回の市場分析モデルについて検討を進めています。

今回のモデルは、AIやビッグデータ解析など、最新のデジタル技術で構成される日立のIoTプラットフォーム「Lumada」が利用されています。丸紅の実績に基づいたデータ解析手法と、日立が開発した機械学習エンジンを掛け合わせ、独自に構築されました。

今回のモデルは、国内電力小売事業の市場分析手法を高度化するものです。丸紅によると、電力の取引価格や需要傾向などを分析・予測する検証を行ったところ、業務改善とコスト削減に一定の効果が実証されたとしています。そのため、市場分析モデルの本格導入を開始することとなりました。

丸紅は、2017年4月1日に新設した「IoT・ビッグデータ戦略室」を2018年4月1日より「デジタル・イノベーション部」と改組し、デジタル技術の活用による新たなビジネスモデルの創造を推進しています。なお、今回のモデルは、電力事業分野での競争力強化だけではなく、他分野への応用も視野に入れているとしています。それらの取り組みにより、日本の産業構造の効率化に貢献していくとしています。

また、日立はOT(オペレーショナル・テクノロジー)と「Lumada」での実績等をもとに、丸紅が推進する取り組みを支援するとしています。

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