関西電力、AIやIoTによる「早期異常検知システム」を開発、火力発電所の運用・保守を向上
| 政策/動向 | 再エネ | IT | モビリティ | 技術/サービス | 金融 |
一般社団法人エネルギー情報センター

9月19日、関西電力は豪州ブルーウォーターズ発電所の運用・保守の向上を目的に、「遠隔監視サービス」を開始したと発表しました。AI技術やIoTによるビックデータ分析から、設備不具合の予兆を検知できる「早期異常検知システム」を開発、遠隔監視センターは関西電力本店内に開設しています。
AI技術やIoTによるビックデータ分析から、設備不具合の予兆を検知
関西電力は、平成25年2月より、ブルーウォーターズ発電所から技術支援業務を受託しています。一部権益を、関西電力100%子会社であるケーピック・ネザーランド社を通じて取得し、発電事業経営に参画しました。特にトラブル時には、日々の運転データを基に、運用・保守に係る助言等を行うことで、同発電所の安全・安定運転に貢献してきました。
ブルーウォーターズ発電所は、西豪州パースの南約180kmに位置しており、平成21年に営業運転を開始しています。合計出力41.6万kWであり、平成25年2月時点においては同州における発電電力量の15%程度を供給している重要な基幹発電所となります。
そのブルーウォーターズ発電所において、関西電力は運用・保守の向上を目的に、「遠隔監視サービス」を開始したと発表しました。AI技術やIoTによるビックデータ分析から、設備不具合の予兆を検知できる「早期異常検知システム」を開発、そして関西電力本店内に遠隔監視センターを開設しています。
年間で数億円程度の収益向上を図れる見込み
今回、新たに開発された「早期異常検知システム」は、関西電力の火力発電所やブルーウォーターズ発電所における過去のトラブル事象に対して、AI技術やIoTを活用したビックデータ分析を行い、設備不具合の予兆を検知できるものです。「早期異常検知システム」は10パターン以上あり、不具合が顕在化する前に、事故の予兆や対応策を助言することで、計画外停止率低減等の収益向上に貢献します。
今回のサービスは、O&Mサービス(プラントの運転監視、早期異常検知、性能・稼働率管理、自己分析、設備寿命・保守管理等)を、関西電力の遠隔監視センターにおいて包括的に支援するものです(図1)。
遠隔監視センターは、新たに関西電力の本店内に設置されます。ブルーウォーターズ発電所の運転データをリアルタイムで監視するとともに、設備異常の早期発見を行うことで、トラブル事象の未然防止が図られます。
関西電力によると、構築された早期異常検知システムにより、全ての不具合を未然防止できた場合、ブルーウォーターズ発電所では、年間で数億円程度の収益向上を図れる見込みとしています。

図1 遠隔監視サービスの概要 出典:関西電力
エンジニアリングサービス「K-VaCS」とは
関西電力は、今後、遠隔監視サービスを含めたエンジニアリングサービスを「K-VaCS」と総称するとしています。「K-VaCS」は、「Kansai-Value Creation Service」の略です。火力発電所に係る新設プロジェクトの基本計画から、運転開始後の設備運用保守管理に至る全てのステップにおいて、顧客の価値を創造するソリューションサービスの総称となります。
関西電力は、中期経営計画で掲げているように、これまで培った技術力やノウハウを活用した事業領域の拡大による収益拡大に積極的に取り組んでいます。「K-VaCS」により、国内外における火力発電所の計画・設計・建設・運営に関して価値提供していくと期待されます。
「K-VaCS」は、関西電力がこれまで長年にわたって蓄積してきた発電事業者としての経験・実績に基づき、火力発電所の計画・設計・建設・運用における全ての段階において、顧客個別のニーズに合わせたサービスを提供するものです(図2)。
具体的には、発電所基本計画策定、設備仕様策定、建設段階のプロジェクト管理、運転開始前の準備、あるいは運転開始以降の設備運転・保守パフォーマンス向上アドバイザーといったサービスを、あらゆるフェーズで顧客の要望に応じて提供する内容です。
販売対象、提供エリアは、国内外における火力発電事業の計画・設計・建設・運用に関係する、全ての事業者が対象となります。なお、関西電力は、これまでに培った技術力やノウハウを活用し、事業領域の拡大を図ることで、収益拡大に取り組むとしています。
この続きを読むには会員登録(無料)が必要です。
無料会員になると閲覧することができる情報はこちらです
執筆者情報

一般社団法人エネルギー情報センター
EICは、①エネルギーに関する正しい情報を客観的にわかりやすく広くつたえること②ICTとエネルギーを融合させた新たなビジネスを創造すること、に関わる活動を通じて、安定したエネルギーの供給の一助になることを目的として設立された新電力ネットの運営団体。
| 企業・団体名 | 一般社団法人エネルギー情報センター |
|---|---|
| 所在地 | 東京都新宿区新宿2丁目9−22 多摩川新宿ビル3F |
| 電話番号 | 03-6411-0859 |
| 会社HP | http://eic-jp.org/ |
| サービス・メディア等 | https://www.facebook.com/eicjp
https://twitter.com/EICNET |
関連する記事はこちら
一般社団法人エネルギー情報センター
2025年05月19日
【第3回】電気主任技術者の人材不足とは? 〜効率的な保安制度の構築と今後の展望〜
これまで2回にわたり、電気主任技術者の人材不足に関する背景や、業界・行政による育成・確保の取り組みを紹介してきました。最終回となる今回は、『制度』の観点からこの課題を詳しく見ていきます。特に、保安業務の効率化やスマート保安の導入、制度改革の現状と課題を具体例とともに解説し、今後の展望を詳しく見ていきます。
一般社団法人エネルギー情報センター
2025年04月30日
【第2回】電気主任技術者の人材不足とは? 〜人材育成の最前線、業界と行政が進める具体策〜
電気主任技術者をめぐる人材不足の問題は、再生可能エネルギーやEVインフラの急拡大と相まって、ますます深刻さを増しています。 こうした状況に対し、国や業界団体は「人材育成・確保」と「制度改革」の両面から対策を進めており、現場ではすでに具体的な動きが始まっています。 第2回となる今回は、人材不足に対し、業界や行政がどのような対策を講じているのか、具体的な施策を、実例を交えながら、詳しくお伝えします。
一般社団法人エネルギー情報センター
2025年04月25日
蓄電池、給湯器などを活用したDRready対応の新たなビジネス創出、2029年度にはDR対応のヒートポンプ給湯器が導入見込み
日本においては再エネの急速な導入拡大に伴い、発電量過多によって電力の無駄が発生する時間帯が頻発することが課題となっています。そのための対策の一つとしてデマンドレスポンス(DR)が挙げられ、本記事では低圧分野における給湯器・蓄電池を活用した今後のDRの市場や可能性について見ていきます。
一般社団法人エネルギー情報センター
2024年11月16日
蓄電池×新テクノロジーについて第4回に渡ってお伝えしています。前回はドローンに使われている蓄電池についてお伝えしました。今回はIoTと電力・エネルギービジネスの密接な関係についてお伝えします。
一般社団法人エネルギー情報センター
2024年10月09日
蓄電池×新テクノロジーについて第4回に渡ってお伝えしています。前回はAI、IoTとエネルギー産業についてお伝えしました。今回はドローンに使われている蓄電池についてお伝えします。




























