英ダイソンが電気自動車を開発、2020年までの発売を目指す

2017年09月29日

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9月26日、サイクロン式の掃除機で有名な「ダイソン」は、電気自動車を開発し、2020年までの発売を目指す方針を明らかにしました。ダイソンの技術者と自動車業界の人材を組み合わせた、400名の規模となるチームを既に組成しており、今後も20億ポンドを投資することで事業を推進するとしています。

ダイソン、電気自動車を開発し、20億ポンドを投資する予定

近年、イギリス、フランス、ノルウェー、インド、オランダなど、各国において電気自動車を推進する動きがあります。自動車メーカはその対応に迫られており、例えばスウェーデンを本拠とするボルボ・カーズは2017年7月、2019年以降に発売する全てのボルボ車にエレクトリックモーターを搭載すると発表しましています。[関連記事]

また、電気自動車はガソリン車と比べると構造が単純であり、新規参入障壁が比較的低いため、多くの新興メーカーが参入する動きがあります。日本においても、旭化成が京都に本社を置くGLMと共同で、電気自動車を開発しています[関連記事]。

このように新規参入が見込まれるEV市場ですが、バッテリ駆動の電気自動車を構築することは、容易という訳ではありません。8月2日にテスラが発表した内容によると、2017年第2四半期(4~6月)は約4億ドルの赤字となり、前年同期の約3億ドルの赤字から、赤字幅が拡大しています。一方で、2017年第2四半期(4~6月)の売上高は約28億ドルとなり、前年同期の約13億ドルから、売上も2倍以上に伸びています。

こうした中、サイクロン式の掃除機で有名な「ダイソン」は、電気自動車を開発し、2020年までの発売を目指す方針を明らかにしました。ダイソンの技術者と自動車業界の人材を組み合わせた、400名の規模となるチームを既に組成しており、今後も20億ポンドを投資することで事業を推進するとしています。

ダイソンの電気自動車、コードレス掃除機や扇風機などの技術を統合

1988年、ダイソンの創業者でCEOであるJames Dyson氏は、米国Occupational Safety and Healthの論文から、ディーゼルエンジンの排気ガスと研究用マウスの死亡には関連性が認められることを見つけました。そして1990年3月、Dysonのチームは、車両の排気システムに取り付け可能な、微粒子を捕集するサイクロンフィルタの研究を開始しました。

研究の結果、1993年までにサイクロンフィルタのプロトタイプが開発されました。しかし、Dyson氏によると、誰一人としてこのテクノロジーに関心を示さなかったとしています。当時、誰もがディーゼル排気を捕獲するシステムに興味がなく、プロジェクトは中止となりました。

しかしその後も、Dyson氏は、世界的な大気汚染問題の解決策を見出すことを一貫して目指してきたといいます。電気自動車が大気汚染を解決すると信じ、新たなバッテリー技術の開発にダイソンとして力を注ぐこととなりました。

King’s College Londonの調査によると、ロンドンでは大気汚染への長期的な曝露により、毎年約9500人が早期に死亡しています。また、世界保健機関は、「大気汚染曝露の結果、2012年には約700万人が死亡しており、全世界の死者のうちの8人に1人の規模になる」と報告しています。電気自動車は、こうした状況を一変するポテンシャルがあります。

ダイソンにおいて、最新のデジタルモーターとエネルギー貯蔵システムは、ヘアドライヤーとコードレス掃除機の動力源となっています。。加えて、流体力学や暖房・換気・空調分野での絶え間ない技術革新により、扇風機、ファンヒーターなどの製品が生まれました。

ダイソンは、こうした全ての技術を、電気自動車といった単一の製品に統合することが可能です。ダイソンは電気自動車の開発を進めることとなり、2020年までの販売を目指します。

事業を進めるにあたり、既にダイソンの技術者と自動車業界の人材を組み合わせたチームが構築されています。その規模は、既に400名を超えており積極的な採用姿勢を示しています。また、Dyson氏によると、20億ポンドを投資することを約束するとしています。

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