旭化成と国内EVメーカーのGLMが共同開発、電気自動車のコンセプトカーを発表

2017年06月12日

一般社団法人エネルギー情報センター

新電力ネット運営事務局

旭化成と国内EVメーカーのGLMが共同開発、電気自動車のコンセプトカーを発表の写真

旭化成は5月、電気自動車メーカーであるGLMとの共同開発により、コンセプトカー「AKXY(アクシー)」を完成させたと発表しました。AKXYの開発は、旭化成とGLMが2015年から協議・制作を進めてきたものです。GLMのEVプラットフォームを活用することにより、実走行が可能な設計となっています。

自動車関連産業には、新興国におけるモータリゼーションの進行や、ハイブリッド車、電気自動車、燃料電池車といったエコカーの台頭、そして自動運転技術などのIT化などにより、さまざまな先端技術が集約されつつあります。例えば電気自動車に関しては、富士経済によると2025年に世界全体で567万台の市場規模となり、2015年度の34万台と比較して16倍以上になると予測されています(図1) 。

HV、PHV、EVの世界市場

図1 HV、PHV、EVの世界市場 出典:富士経済

こうした中、旭化成は5月、電気自動車メーカーであり京都府に本社を置くGLMとの共同開発により、コンセプトカー「AKXY(アクシー)」を完成させたと発表しました(図2)。「Asahi Kasei × You(お客様)= AKXY」として命名されたこのコンセプトカーの開発は、旭化成とGLMが2015年から協議・制作を進めてきたものです。GLMのEVプラットフォームを活用することにより、コンセプトカーながら「実際に走る」ことが可能な設計となっています。

「AKXY」の外観と内観

図2 「AKXY」の外観と内観 出典:旭化成

「AKXY」には、旭化成の多岐にわたる部材やシステムが27品目搭載されており、その多くは量産車への導入が可能なものです(表1)。例えば部材では、自動車の軽量化につながる高機能樹脂や、快適性に優れるシート用の人工皮革、エコタイヤ向け合成ゴムなどが挙げられます。

さらに旭化成の最先端技術も搭載しています。一つが、センサーなどを使用してさまざまな情報を計測、数値化する「センシング技術」です。人の顔をカメラで撮影しながら心拍数を計測する非接触型の脈波検出技術では、ドライバーの状態を確認できます。

そのほか、室内の二酸化炭素の濃度を感知するCO2センサーでは、呼吸で吐き出すCO2の量を分析することで、人体のアルコール濃度をより精密に数値化することも可能です。いずれも異常を察知した場合に、ドライバーにアラーム通知などをすれば、危険を回避することができます。

搭載箇所 製品名/技術名 一般名称
1 ヘッドランプカバー 有機無機ハイブリッドコート剤
2 ヘッドランプ(ランプエクステンション) 「ザイロン」 変性ポリフェニレンエーテル樹脂
3 タイヤ 「タフデン」(S-SBR) 溶液重合型スチレンブタジエンゴム
4 タイヤコード 「レオナ」 ナイロン66繊維
5 フェンダーライナー(吸音材) 「プレシゼ」 スパンボンド法長繊維不織布
6 ボディー用塗料 「旭化成アルミペースト」 アルミニウムペースト
7 ボディー用塗料 「デュラネート」(HDI) HDI系ポリイソシアネート
8 テールランプ 「デルペット」 アクリル樹脂(PMMA)
9 コックピット 「WGF」 反射型偏光フィルム
10 コックピット 曇り止めセンサー
11 システム 脈波センシング
12 システム スタンドアローン音声認識システム
13 システム ハンズフリー
14 システム 車内コミュニケーションシステム
15 システム CO2センサー
16 Aピラー 「タフテック」 水添スチレン系熱可塑性エラストマー(SEBS等)
17 スイッチ周り 「マルチコアPOF」 プラスチック光ファイバー
18 カーマット PTT繊維使用カーマット カーマット
19 コネクター・結束バンド類 「レオナ」 ポリアミド樹脂
20 スピーカーカバー 「エステロイ」 ABS系アロイ樹脂
21 シート底面等 「フュージョン」 3次元立体編物
22 ヘッドレスト 「メフ」 発泡ポリエチレン
23 カーシート 「ラムース」 マイクロファイバースエード
24 表皮裏材 「エルタス」 スパンボンド法長繊維不織布
25 インサイドドアハンドル 「テナック」(メタリック調、低VOCグレード) ポリアセタール樹脂
26 ドリンクホルダー 「サンフォース」 変性ポリフェニレンエーテル樹脂 発泡ビーズ
27 バッテリーセパレーター 「ハイポア」 リチウムイオン二次電池(LIB)用セパレータ

旭化成の部材やシステム27品目 出典:旭化成

EVメーカーのGLM、プラットフォーム事業の一環としてAKXYを開発

今回の旭化成のコンセプト車両「AKXY」は、GLMの「プラットフォーム事業」の一環として手がけられています。この「プラットフォーム事業」は、GLMがノウハウを蓄積したシャシー、パワーシステム、制御コントロールユニット(VCU)をパッケージ化し、広くサードパーティーに提供するものです(図3)。そのため、自動車メーカー以外でもオリジナルEVを短期間で開発することを可能にします。

GLMによると、この「プラットフォーム事業」は国内外で注目を集めており、連携を検討している企業もIT企業や電気メーカーのほか、EVを使ったモビリティを自らの事業に組み込もうとしているサービス事業者まで多岐にわたるとしています。GLMは今後、「プラットフォーム事業」を本格始動していき、これまでのノウハウを活かしながら、EV事業に参入したい国内外の企業にサービス提供するとしています。

車両内部のプラットフォーム

図3 車両内部のプラットフォーム 出典:GLM

旭化成、2025年度の売上高3兆円目標に向けて自動車事業を重点的に展開

旭化成は2016年4月より、子会社3社を吸収合併することで、純粋持株会社から事業持株会社に移行するとともに、事業領域を「マテリアル」「住宅」「ヘルスケア」の3つに再編しています。今回の電気自動車にも関連する自動車産業は「マテリアル」領域に分類されており、新中期経営計画においては、自動車関連事業を重点的に深耕していくことを掲げています(図4)。

旭化成による自動車関連の実行施策イメージ

図4 旭化成による自動車関連の実行施策イメージ 出典:旭化成

旭化成による自動車関連の動きとしては、例えば「旭化成ヨーロッパ」が2016年4月1日にドイツ・デュッセルドルフ市で営業を開始し、自動車関連素材の事業拡大を進めています。そのほか、2017年3月には電気自動車等の車載用途でも大きく成長することが見込まれるリチウムイオン二次電池(LIB)において、LIB用セパレータ「ハイポア」の生産能力増強を決定しています。

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