ブロックチェーンで電気自動車の充電支払い実験、住宅オーナーが充電設備を安価に導入できる可能性

2018年03月05日

一般社団法人エネルギー情報センター

新電力ネット運営事務局

ブロックチェーンで電気自動車の充電支払い実験、住宅オーナーが充電設備を安価に導入できる可能性の写真

中部電力、Nayuta、インフォテリアの3社は、中部電力の技術開発本部において、電気自動車やプラグインハイブリッド自動車の充電履歴をブロックチェーンで管理する技術の実証実験を実施すると発表しました。

日本発のLightning Networkソフトウェアを活用

ブロックチェーン技術は仮想通貨のコアアルゴリズムとしてだけではなく、インターネットを通してセキュアに価値の交換ができるアルゴリズムとして、IoTへの応用についても大きな期待が持たれています。

ブロックチェーンは、ネットワークに参加する端末全てで同じ情報を持ち合うことで、情報が改ざんされにくいネットワークを構築する技術です。また、情報を集中管理するサーバーを設置する必要が無いため、安価にネットワークを構築できるという可能性があります。

ただ、ビットコインなどで利用されるパブリック・ブロックチェーンは、P2Pエコノミーを実現する技術として期待される一方、高い手数料や、支払い確定までに時間を要すること、時間あたり処理能力が低いことが問題となっています。そのため、電力など社会インフラには使いづらいという課題がありましたが、Lightning Networkはこれらの課題を解決するオープンプロトコルとして期待され、現在仕様策定が行われている状況です。Lightning Networkは2nd layer技術の1つであり、2nd Layerはブロックチェーン基盤の上にあるペイメント専用のレイヤーです(図1)。

ブロックチェーン層上のライトニングネットワーク技術について

図1 ブロックチェーン層上のライトニングネットワーク技術について

Lightning Networkについては、Nayuta社のメンバーが中心となり、オープンソースで日本発のソフトウェアを開発中です。この日本発のLightning Networkソフトウェアを用い、中部電力、Nayuta、インフォテリアの3社は、電気自動車やプラグインハイブリッド自動車の充電履歴をブロックチェーンで管理する技術の実証実験を実施すると発表しました。

EVの充電履歴をブロックチェーンに記録

今回の実証実験は、ブロックチェーン対応の充電用コンセントと、スマートフォンアプリをインターネット等でつなぎ、「いつ」「誰が」充電したのかというEVの充電履歴をブロックチェーンに記録するものです。セキュリティを担保しながら管理する技術検証が行われます。なお、ブロックチェーン対応の充電用コンセントはNayutaが開発、スマートフォンアプリはインフォテリアが開発しています。

今回の実証ではLightning Networkソフトウェアが用いられることで、低手数料、即時着金の電気自動車充電支払いを可能とします。この実証によるシステムでは、少ない導入費用で信頼性の高い充電管理システムを運用することが可能になります。そのため、例えば集合住宅のオーナーがEV等の充電設備を安価に導入するなど、新たなサービスに繋がる可能性があります(図2)。

こうした充電設備の住宅オーナー等に向けた取組は海外でも進められており、例えば米国PG&Eはカリフォルニア州に7500台の電気自動車充電スタンドを設置するプログラムを開始すると発表、マンションなどの管理者は充電スタンドのオーナーとなることができます。[関連記事]

この続きを読むには会員登録(無料)が必要です。

無料会員になると閲覧することができる情報はこちらです
電力の補助金

補助金情報

再エネや省エネ、蓄電池に関する補助金情報を一覧できます

電力料金プラン

料金プラン(Excel含)

全国各地の料金プラン情報をExcelにてダウンロードできます

電力入札

入札情報

官公庁などが調達・売却する電力の入札情報を一覧できます

電力コラム

電力コラム

電力に関するコラムをすべて閲覧することができます

電力プレスリリース

プレスリリース掲載

電力・エネルギーに関するプレスリリースを掲載できます

電力資格

資格取得の支援

電験3種などの資格取得に関する経済支援制度を設けています

はてなブックマーク

執筆者情報

一般社団法人エネルギー情報センターの写真

一般社団法人エネルギー情報センター

新電力ネット運営事務局

EICは、①エネルギーに関する正しい情報を客観的にわかりやすく広くつたえること②ICTとエネルギーを融合させた新たなビジネスを創造すること、に関わる活動を通じて、安定したエネルギーの供給の一助になることを目的として設立された新電力ネットの運営団体。

企業・団体名 一般社団法人エネルギー情報センター
所在地 東京都新宿区新宿2丁目9−22 多摩川新宿ビル3F
電話番号 03-6411-0859
会社HP http://eic-jp.org/
サービス・メディア等 https://www.facebook.com/eicjp
https://twitter.com/EICNET

関連する記事はこちら

電力情報サービス「QUICK E-Power Polaris」の特徴や今後の展開についての写真

一般社団法人エネルギー情報センター

2024年04月19日

新電力ネット運営事務局

電力情報サービス「QUICK E-Power Polaris」の特徴や今後の展開について

QUICK社が提供する電力情報サービス「QUICK E-Power Polaris」は電力事業者向け情報をオールインワンで収集・可視化・分析できます。今回は「QUICK E-Power Polaris」の特徴や今後の展開についてについてご紹介します。

蓄電池×エネルギーマネジメント 第3回の写真

一般社団法人エネルギー情報センター

2024年04月15日

新電力ネット運営事務局

蓄電池×エネルギーマネジメント 第3回

EVと並んで蓄電池と大きな関わりのある「エネルギーマネジメント」にテーマを絞って、蓄電池の今と未来を全6回に渡ってご紹介していきます。

エネルギーデジタル化の最前線 第22回の写真

一般社団法人エネルギー情報センター

2023年08月21日

新電力ネット運営事務局

エネルギーデジタル化の最前線 第22回

積水化学工業(大阪市北区)は年間約10,000棟の戸建てを供給する大手ハウスメーカーだ。住宅そのものの性能向上に加えて、省エネ設備、太陽光発電を搭載し、光熱費収支ゼロ、エネルギー収支ゼロを目指した高性能住宅を展開している。さらに、蓄電池やV2Hといった蓄電技術を強化し、災害のレジリエンスを高め、昼も夜も電気を自給自足できる住宅を目指す。今回は積水化学工業の取り組みを紹介する。

エネルギーデジタル化の最前線 第21回の写真

一般社団法人エネルギー情報センター

2023年07月16日

新電力ネット運営事務局

エネルギーデジタル化の最前線 第21回

前編から引き続き、大和ハウス工業(本社大阪市)のIoTに対する取り組みを紹介する。(後編)

エネルギーデジタル化の最前線 第20回の写真

一般社団法人エネルギー情報センター

2023年06月20日

新電力ネット運営事務局

エネルギーデジタル化の最前線 第20回

コネクティドホームや、蓄電池やエネファームを組み合わせることで、より災害に強い住宅を実現するなど、エネルギーデータを活用した先進企業として、大和ハウス工業を紹介する。(前編)

 5日間でわかる 系統用蓄電池ビジネス ビジネス屋と技術屋が一緒に考える脱炭素