ヤマト運輸とセブンイレブン、世界初の量産電気小型トラック「eCanter」を導入開始
政策/動向 | 再エネ | IT | モビリティ | 技術/サービス | 金融 |
2017年10月23日
一般社団法人エネルギー情報センター

10月19日、三菱ふそうトラック・バスは、ヤマト運輸とセブン‐イレブン・ジャパンが電気小型トラック「eCanter」を導入開始すると発表しました。「eCanter」は、三菱ふそうトラック・バスが開発した世界初の量産電気小型トラックとなります。
世界で初めて量産される電気小型トラック「eCanter」、ヤマト運輸とセブンイレブンが導入開始
三菱ふそうトラック・バスは長期間にわたって電気トラックの開発に取り組んでおり、2010年に小型電気トラックである「キャンターE-CELL」のプロトタイプを、世界最大のモーターショーであるIAAに初出展しています。
その後、2011年の東京モーターショーでも「キャンターE-CELL」のプロトタイプを発表、2013年には第2世代キャンターE-CELLの実証試験が日本で行われ、2014年にはポルトガル、2016年にはドイツでも追加試験を成功させています。その結果、eCanterコンセプトトラックが誕生し、2016年のIAAの商用車見本市で発表することとなりました。
そして2017年9月14日、三菱ふそうトラック・バス社は、ニューヨーク市において、電気小型トラック「eCanter」を世界市場へ向けて発表しました。このとき「eCanter」は、世界で初めて量産される電気トラックとなり、2019年からは一般の顧客向けにも量産を開始する予定となっています。[関連記事]
三菱ふそうトラック・バスの発表によると、この電気小型トラック「eCanter」を、ヤマト運輸とセブン‐イレブン・ジャパンが導入開始することとなります。「eCanter」について、今回日本で発表された車両は、車両総重量7.5トンクラス、1.5時間(直流急速充電)/11時間(単相200V)の充電で航続距離は約100kmです。
電気駆動システムには、モーター(最高出力 135kW、最大トルク390Nm)と、高電圧リチウムイオンバッテリーパックを6個搭載しています(図1)。そのため、従来のディーゼル車と比較して、走行1万キロメートルあたり、最大1,000ユーロのコスト削減が可能となっています。
図1 車両スペック 出典:三菱ふそうトラック・バス
セブン‐イレブン、12月18日より「EV配送車」の導入開始
セブン‐イレブンは、これまで環境への取り組みとして、店舗のLED照明やスマートセンサー等の最新設備の導入や、商品配送における環境配慮型車両の導入を進めてきました。そのセブン‐イレブンと三菱ふそうトラック・バスは、2017年12月18日より日本初となる「EV配送車」の導入を順次開始します(図2)。
2018年夏までに東京都、神奈川県、埼玉県、千葉県の8ヶ所に計25台の導入を推進する計画です。まず、2017年12月18日より、「チルド共配日野センター」へ1台導入されます。残り24台は、2018年夏までに、東京都、神奈川県、埼玉県、千葉県の8ヶ所の共配センターへ導入完了予定です。
図2 「EV配送車」の車両イメージ 出典:セブン‐イレブン・ジャパン
ヤマト運輸、「eCanter」の振動が少ない特性を生かす、セールスドライバーの負担軽減
ヤマトグループは、企業の社会的責任である環境保護活動を「ネコロジー」と総称しています。これまでも、都市部での台車等を利用した集配の拡大や、共同輸送の推進、低公害車の導入など、環境負荷の低減を推進しています。
ヤマト運輸は今回、①環境負荷の軽減、②セールスドライバーの作業負荷の軽減、③コストの低減というメリットから、「eCanter」を導入します(図3)。これは、宅配事業者として最初の「eCanter」導入の事例となります。
「eCanter」は従来のディーゼル車と比較し、振動が少ないため、セールスドライバーの身体的な負担を軽減することができます。また、従来のディーゼル車に搭載されていた排ガス除去装置等が不要になるため、ランニングコストを低減することができます。環境負荷についても、電力で駆動するため排出ガスを一切出しません。
ヤマト運輸は2017年11月より、宅急便などの集配に使用する車両として「eCanter」を順次導入する予定となっています。2017年度内に東京都、神奈川県、埼玉県、千葉県で、25台が順次導入される見込みです。
この続きを読むには会員登録(無料)が必要です。
無料会員になると閲覧することができる情報はこちらです
執筆者情報

一般社団法人エネルギー情報センター
EICは、①エネルギーに関する正しい情報を客観的にわかりやすく広くつたえること②ICTとエネルギーを融合させた新たなビジネスを創造すること、に関わる活動を通じて、安定したエネルギーの供給の一助になることを目的として設立された新電力ネットの運営団体。
企業・団体名 | 一般社団法人エネルギー情報センター |
---|---|
所在地 | 東京都新宿区新宿2丁目9−22 多摩川新宿ビル3F |
電話番号 | 03-6411-0859 |
会社HP | http://eic-jp.org/ |
サービス・メディア等 | https://www.facebook.com/eicjp
https://twitter.com/EICNET |
関連する記事はこちら
一般社団法人エネルギー情報センター
2024年02月07日
次世代自動車を中心とした「モビリティ」=自動車産業界をキーワードに、蓄電池の今と未来についてを全6回にわたってご紹介します。
一般社団法人エネルギー情報センター
2024年01月20日
次世代自動車を中心とした「モビリティ」=自動車産業界をキーワードに、蓄電池の今と未来についてを全6回にわたってご紹介します。
一般社団法人エネルギー情報センター
2024年01月14日
次世代自動車を中心とした「モビリティ」=自動車産業界をキーワードに、蓄電池の今と未来についてを全6回にわたってご紹介します。
一般社団法人エネルギー情報センター
2023年12月12日
次世代自動車を中心とした「モビリティ」=自動車産業界をキーワードに、蓄電池の今と未来についてを全6回にわたってご紹介します。
一般社団法人エネルギー情報センター
2023年12月05日
次世代自動車を中心とした「モビリティ」=自動車産業界をキーワードに、蓄電池の今と未来についてを全6回にわたってご紹介します。