改正FITに伴う太陽光発電の認定失効、認定された約315万件の内45万件以上が失効見込
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4月21日、経済産業省は改正FIT法に伴う認定失効について、全国で45.6万件が失効する見込みだと発表しました。出力ベースに換算すると2766万kWとなる見込みであり、認定された出力全体の約4分の1にあたる規模となります。
改正FIT法の施行に伴い認定失効
これまでの固定価格買い取り制度では、太陽光発電の未稼働案件が大きな課題でした。特に産業用太陽光は、認定を受けた容量が7550.0万kWであるのに対し、実際に運転を開始したものは2667.8万kW(2016年10月末時点)と3分の1程度に留まっています。
未稼働案件を防止するため、改正FITにおいて認定を受けるには、電力会社との接続契約が締結できていることが要件化されます。加えて、太陽光発電の場合は認定取得から運転開始までの期限(10kW以上は3年、10kW未満は1年)が設けられます。この期限を超過した場合、10kW以上については超過した期間分が調達期間から短縮され、10kW未満については認定が失効となります(図1)。
また、新制度においてはメンテナンスの実施や関係法令の遵守等が求められるなど、これまでよりも保守の項目なども強化されます。20kW以上の太陽光発電の場合は、事業者名や設備所在地などの情報公表も必要であり、看板を設置するなどの対処が必要となります(関連記事)。

図1 太陽光発電における運転開始期限 出典:資源エネルギー庁
改正FITによる認定失効の原則については、既に認定を取得している発電所にも適用されます。そのため、一部の例外を除き、平成29年3月31日までに系統の接続契約ができないものは、改正FIT法施行日(平成29年4月1日)に認定が失効することとなりました。
例外は2パターンあり、一つ目は平成28年7月1日~平成29年3月31日に認定を取得した案件であり、認定から9ヶ月間が猶予となります。二つ目は、平成29年4月1日時点で手続き中の電源接続案件募集プロセス等に参加する案件であり、猶予はプロセス終了後6ヶ月間です(図2)。

図2 新制度への移行に必要な条件・手続 出典:資源エネルギー庁
認定を取得した約315万件の内、45万件以上が失効
今回、経済産業省が発表した内容は、改正FIT法の施行に伴う認定失効の見込みとなります。改正FIT前に認定を取得していた案件は、平成28年6月末において315.2万件(設備容量10,649万kW)でしたが、その内の45.6万件 (同2,766万kW)が失効となる見込みです(図3)。件数ベースでは約15%、設備容量ベースでは25%の案件が失効となる計算です。

図3 認定失効見込み 出典:経済産業省
2016年6月末時点のFIT認定数は315.2万件(設備容量10,649万kW)で、未稼働の案件数は60.5万件(同5,979万kW)でした。今回の発表は、この未稼働案件において新制度に移行できず、認定が失効した規模を示すものです。また、未稼働案件60.5万件(同5,979万kW)の内、60.4万件(同5,076.5万kW)が太陽光発電となっているので(図4)、今回の認定失効が見込まれる案件の多くが太陽光発電と想定されます。

図4 認定失効のフロー図 出典:経済産業省
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