太陽光パネルの廃棄とリユース・リサイクルの現状と課題
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一般社団法人 環境エネルギー循環センター(EECC)

導入が進んだ太陽光パネルの廃棄に関する問題について、政府が検討会を通じで業界団体にヒアリングをしています。その中で、実態が浮き彫りになってきた太陽光パネルのリユース・リサイクルの現状と課題についてご紹介します。
太陽光発電設備の設置と廃棄の現状
2012年以降のFIT制度導入とともに伸長してきた国内の太陽光パネルの導入数は、事業用が約68万件(10kW以上)、住宅は約293万件にのぼります(2021年12月末時点)。国土面積あたりでは世界1位の導入量になっている日本。FIT制度終了に伴って若干落ち着きを見せているものの、2023年からの東京都の住宅設置義務化などに伴って今後も設置・導入がされていくことが想定されています。
一方、そうしたパネルが今後、大量廃棄されるという予測があります。環境省によると2035~37年には太陽光パネルの排出量がピークを迎え、年間約17~29万tが排出される見込みです。最終処分場にも限りがあることや、循環型の社会を構築するために、これらへの対策が必要です。
廃パネルは日々排出されています。その中の多くは災害などが原因と言われていますが、その他にも、設計・施工の不具合や故障によるものもあり、一定割合は製品寿命よりも前倒しで排出されていると思われます。環境省の調査によると2020年の使用済太陽光パネル排出量は6,308tでした。
では、排出されたパネルはどのように処理されているのでしょうか。有害物質を含んでいることから、産業廃棄物扱いで処分しなければなりません。一般的なフローとしては以下です。

出典:環境省「太陽光発電設備のリサイクル等の推進に向けた ガイドライン(第二版)」
ただ、明確なルールや義務、情報の一元化がされていないため、実態がよくわかっていないという大きな問題があります。そこで実態を把握するため、環境省と経済産業省は『再生エネルギー発電設備の廃棄・リサイクルのあり方に関する検討会』にて業界関係者からヒアリングを行っています。徐々にリユース・リサイクルに関する課題が浮き彫りになってきました。
リユース・リサイクルの課題
2023年6月19日に開催された第3回では、リユース・リサイクル業者を含む様々なステークホルダーで構成されている一般社団法人 太陽光リユース・リサイクル協会(SP2R)が以下のような報告をしています。
①そもそもリユースが検討されていない
故障などの不具合が起きている太陽光パネルを交換する場合、リユースに出すのか、リサイクルするのかという判断をする必要がありますが、検査記録の不備やリユース基準がないことによる品質のばらつきがあるため、リユースそのものを検討せずに産廃処分するケースがあります。
市場ができにくい理由として、リユース品を扱う際の廃掃法の自治体解釈・運用の違いや、リユース品は新品と違って設備設置自に申請可能な補助金の対象外になっているといった行政面の課題もあります。
市場ができにくい理由として、リユース品を扱う際の廃掃法の自治体解釈・運用の違いや、リユース品は新品と違って設備設置自に申請可能な補助金の対象外になっているといった行政面の課題もあります。
②リサイクルは経済合理性がとりにくい
リサイクルに関しては、リサイクル技術が確立してきつつあるものの、処理コストを優先するため、リサイクルでなく埋立処分されていると指摘されています。

太陽光パネル処理方法 出典:経済産業省「第3回 再生可能エネルギー発電設備の廃棄・リサイクルのあり方に関する検討会」
ただ、明確なルールや義務、情報の一元化がされていないため、実態がよくわかっていないという大きな問題があります。そこで実態を把握するため、環境省と経済産業省は『再生エネルギー発電設備の廃棄・リサイクルのあり方に関する検討会』にて業界関係者からヒアリングを行っています。徐々にリユース・リサイクルに関する課題が浮き彫りになってきました。
発電事業者の実態
2023年7月18日に開催された第4回の検討会では、太陽光発電事業者を中心とした団体である一般社団法人 再生可能エネルギー長期安定電源推進協会(REASP)による報告がされました。
発電事業者から回収をしたアンケートによると、パネル破損時の処理方法について、「リユース・売却を活用している事業者」は12%にとどまっており、「リサイクルを要求している事業者」も27%という結果となりました。

アンケート結果 出典:経済産業省「第4回 再生可能エネルギー発電設備の廃棄・リサイクルのあり方に関する検討会」
また、自社で産業廃棄物業者に依頼するのではなく、「パネル交換を行う工事業者へ委託しているケース」が4割以上あることや、リユース・売却するのか、リサイクルするのかなどの判断は交換業者任せという回答も多いことがわかりました。
このことから、発電事業者にだけでなく、パネル交換業者(工事業者)への働きかけも需要であることも認識がされました。
まとめ
直近の動きとしては、2023年7月から廃棄費用積立制度の義務化が始まっていますが、現在、太陽光発電設備のリサイクルやリユースに関するガイドラインの設定はあるものの、明確な法整備はありません。実態からもリサイクルやリユースを促進する法律設定が必要であることは間違いないでしょう。
経済産業省では「令和4年度動静脈連携による自律型資源循環システム強靭化等に関する調査分析報告書」にて以下のような図にてまとめたうえで、太陽光パネルの循環構造を踏まえた課題整理で以下3点が特に重大な課題として抽出しました。
- 太陽光パネルの含有物質など適正なリサイクル・処理を行うための情報提供が必要
- 調達期間後の設備の適切な管理や設備更新など、長期稼働させるための検討が必要
- 適正な廃棄処理に向けた関係者への情報発信・周知が必要

太陽光パネルの課題整理 出典:経済産業省「令和4年度 地球温暖化・資源循環対策等に資する調査委託費
動静脈連携による自律型資源循環システム強靭化等に関する調査分析報告書」
ドイツやアメリカでは、リサイクル原料から再度太陽光パネルをつくる技術開発が進んでいます。韓国では、事業者への賦課金の設定もはじまります。日本も検討会などでの議論を経て、官民一体となって早急にサーキュラーエコノミーを構築していく必要がありそうです。
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