2024年度にも国内で初導入が計画される潮流発電。世界の先進的な事例や、その仕組みと可能性とは!?
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排他的経済水域世界第6位という海洋国である我が国において、海洋エネルギーは大きなポテンシャルを有しています。潮流発電は一定の規則性を持った潮汐力により、年間を通じて安定的で、予測可能な発電方式であることから今後の可能性として期待がされます。今回は、潮流発電(潮汐力発電)について紹介します。
潮流発電とは
潮流発電は、潮流そのものもしくは、潮汐に伴う潮位差を利用してタービンを回し、発電する方式です。潮力発電、潮汐発電などとも呼ばれます。潮位差を利用する場合は、大きい湾や河口の入り口などにダムと水門を建設。満潮時に貯水し、干潮時に水門を開いて水を放出することによってタービンが回り発電されます。発電システムには、干潮時の一方向の流れで発電する方式と、タービンが双方向の流れに対して回転し、満潮時および干潮時の二方向流れで発電を行う方式があります。
月の引力によって地球の海面は12~24時間周期で上下運動をしており、潮汐は周期的な現象です。そのため干潮・満潮の時刻の予測ができることから、発電計画が立てやすい点が大きな利点と言われています。
日本では海峡・瀬戸を中心として沿岸域に適地が存在しているものの、世界の国々と比較して開発は大きく遅れを取っているのが現状です。1980年代に日本大学のグループによって、世界初の潮力発電を瀬戸内海や来島海峡で成功させました。しかしながら現在は、潮力発電が実用化されるまでには至っていません。大きな要因としてはコスト面があげられます。NEDOによると、潮流発電の実証プロジェクトのコストは 23~32 円/kWhと算出されています(2014年時試算)。

出典:NEDO「再生可能エネルギー技術白書 第2版」
潮流発電のメリットとデメリット
潮流発電のメリット
燃料を必要としないため、環境に対して不可が少ないクリーンエネルギーです。太陽光や風力といった他の再エネと比べて、天候に左右されません。先述の通り、潮の満ち引きは定期的に来るため、発電量予測やコントロールがしやすく、電気の安定供給が期待できます。また、発電設備のタービンを水中に設置して発電するので、景観も損なわないという点もメリットになります。
潮流発電のデメリット
海水の塩分によるタービンなどをはじめとした機材の早期劣化の問題や、貝などの付着の除去が必要であり、設備に対しての対策やメンテナンスにコストが発生します。耐用年数が5~10年と短いためにコストパフォーマンスが悪いという指摘もあります。
また、設置エリアが限定されているという問題もあります。潮力発電が可能な潮力を得られるエリアであることや、漁業権や航路等から様々な制約がない場所でなければなりません。世界全体の潮流発電のポテンシャルは3,000GWですが、その内、発電に適しているのは3%にとどまっています。
日本では長崎県の五島列島で開発が進む
環境省は2014年より実施した「潮流発電技術実用化推進事業」において、国の海洋再生可能エネルギー実証フィールドに選定された長崎県五島市久賀島沖での取組み及び各種調査で取得したデータを広く公開し、潮流発電に対する理解を深め、その普及拡大を図ってきました。(ご参考:https://www.env.go.jp/earth/ondanka/tidalcurrent_pg/)
2019年5月には特定非営利法人長崎海洋産業クラスター形成推進協議会からなるコンソーシアムが事業者として選定されました。世界初の商用潮流発電事業MeyGenプロジェクトを英国北部にて実施しているSIMEC ATLANTIS ENERGY社の発電機を採用し、国内初となる500kW規模の潮流発電の実証を実施。2021年1月、発電機を海底に設置し、発電を開始。2021年5月、電気事業法に基づく使用前検査に合格しました。
続けて、2022 年1月に「令和4年度潮流発電による地域の脱炭素化モデル構築事業」では、長崎県五島市沖奈留瀬が国内初の商用スケール大型潮流発電による実証試験として採択されました。初期段階の実験を終え、大型発電機の設計に取り組んでおり、2024年度にも国内で初導入する計画です。事業を手がける九州電力の子会社である「九電みらいエナジー」では、天気に左右されない安定的な発電が可能な次世代海洋エネルギーの活用に向け、課題となっているコスト面の克服などに挑戦するということです。

出典:九電みらいエナジー
世界の潮流発電状況
イギリスの事例
洋上風力発電等海洋エネルギーに先進的な欧州では潮流発電の開発も積極的に行っています。特にイギリスは、グレートブリテン島スコットランド北部沿岸の海洋エネルギーポテンシャルが、非常に高く、大規模な開発が、政府の後押しによって進められています。
フランスの事例
潮流発電設備として有名なものには、フランスのランス潮汐発電所があります。1966年11月26日に完成した発電所で最大定格出力は24万kW、年間発電量は6億kWhにのぼります。
韓国の事例
韓国では2011年度より始華湖潮汐発電所が稼働しました。この発電設備は10基合計で254MWとなり、現在のところ世界で最大規模です。干満差が大きい海域を中心に大規模な潮力発電所を複数設置予定で、開発が活発化しています。
カナダの事例
中部電力と川崎汽船が、世界最大級の干満差を誇るカナダのファンディ湾にて実施されるイシュカ・タパ潮流発電事業に参画しています。日本企業が海外において初めて参画する潮流発電事業です。2023年に1基目の運転を開始し、15年間の電力販売契約を締結することになっています。

出典:中部電力 プレスリリース
まとめ
2050年のカーボンニュートラル社会の実現に向けて、再生可能エネルギー導入が促進されています。今回ご紹介した潮流発電は、現状では、バイオマス発電等のように国の導入目標としても数値化をされていないものにはなります。五島列島での実証事業から他エリアへと展開ができるかが注目されます。
また、海洋エネルギーには他にも波力発電や海洋温度差発電などがあります。国土の大きさには限りがありますが、周囲を海に囲まれた日本ならではの地形を活かして、環境負荷が少なく、高効率なエネルギーを増やしていくことが期待されます。
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