米・バイデン政権の気候変動対策とは?世界、そして日本への影響は?【後編】

2021年02月24日

一般社団法人エネルギー情報センター

新電力ネット運営事務局

米・バイデン政権の気候変動対策とは?世界、そして日本への影響は?【後編】の写真

アメリカで1月20日に発足したバイデン新政権。コロナ禍で経済復興と、収束への両軸のシナリオをつくり、アメリカ社会の分断を修復できるのか注目を浴びています。バイデン政権が選挙中から大きく掲げていた気候変動対策について前回は、連邦政府としてどのように取り組むのか、気候変動対策で謳われていることの概要について述べましたが、後編では、気候変動対策が世界や日本へどのような影響を与えることになりそうかについて考えていきます。

米の気候変動対策は世界の潮流である「グリーン・リカバリー」そのもの

世界中で今「グリーン・リカバリー」が注目されています。これは、コロナ禍からの復興にあたって、地球温暖化の防止や生物多様性の保全を実現するために投資をし、雇用回復や業績改善を促しよりよい未来を目指していくものです。前回述べた通り、インフラ、雇用、産業インセンティブに焦点が当てられているバイデン政権の気候変動対策は“グリーン・リカバリーそのもの”であると考えられています。

イギリスやEUはバイデン氏就任の祝辞の中で、気候変動に対してともに取り組みたいというメッセージが存分に含まれていました。逆にイランなど中東への政治的関心は薄まり、外交政策にも変化が起きそうです。グリーンへの流れでは後発だった中国もパリ協定での30年に50%を上回る目標をたてており、産業競争という意味において、国の威信をかけて挑んでいます。

これから、世界各国の覇権争いや新しいルール作りが起きることになると予測されるが、いずれにせよ米中が脱炭素に向けて同じ方を向くことで、世界の流れはますます強まっていくことが確実ですし、アメリカがそのリードを取っていくのかは注目されます。

日本の産業界への影響

具体的な施策として2030年までに50万台の充電スタンドの設置を目指していることや、EVの税額控除策によって、急速に広がることが予想されるアメリカのEVのシェア争いにおいて、日本の車メーカーは、米国内で生産されたEVで勝負する必要があります。施策に「可能な限りその対象を米国内で生産されたEVとする」といった記載があるためです。また、テスラの台頭やGMによる全ラインナップのEV化宣言、アップルの進出などにより、競争は激化しそうです。

こうした動きを経て、日本の産業界も様々な反応を見せています。例えば、三井化学では、「世界全体で環境対応へのドライブがかかる。昔は収益性が難しく進まなかった環境技術の開発も外部と連絡で完成させる好機にしたい」と意欲を見せています。

またカリフォルニア州でバイオガス発電施設を運営している日立造船は、「クリーンエネルギーへの投資も増える」と新政権に期待をしています。一方、日立建機は「エネルギー分野、とりわけ石炭事業者への規制が強まる」としう、鉱山機械の売上への影響を懸念しています。そのため、EVで利用される銅やニッケル鉱山向け機械の営業を強化する方針です。住友建機も省エネルギーショベルへの開発を強化するといわれています。

この続きを読むには会員登録(無料)が必要です。

無料会員になると閲覧することができる情報はこちらです
電力の補助金

補助金情報

再エネや省エネ、蓄電池に関する補助金情報を一覧できます

電力料金プラン

料金プラン(Excel含)

全国各地の料金プラン情報をExcelにてダウンロードできます

電力入札

入札情報

官公庁などが調達・売却する電力の入札情報を一覧できます

電力コラム

電力コラム

電力に関するコラムをすべて閲覧することができます

電力プレスリリース

プレスリリース掲載

電力・エネルギーに関するプレスリリースを掲載できます

電力資格

資格取得の支援

電験3種などの資格取得に関する経済支援制度を設けています

はてなブックマークGoogle+でシェア

執筆者情報

一般社団法人エネルギー情報センターの写真

一般社団法人エネルギー情報センター

新電力ネット運営事務局

EICは、①エネルギーに関する正しい情報を客観的にわかりやすく広くつたえること②ICTとエネルギーを融合させた新たなビジネスを創造すること、に関わる活動を通じて、安定したエネルギーの供給の一助になることを目的として設立された新電力ネットの運営団体。

企業・団体名 一般社団法人エネルギー情報センター
所在地 東京都新宿区新宿2丁目9−22 多摩川新宿ビル3F
電話番号 03-6411-0859
会社HP http://eic-jp.org/
サービス・メディア等 https://www.facebook.com/eicjp
https://twitter.com/EICNET

関連する記事はこちら

建設業界の脱炭素とデジタル活用事例③の写真

一般社団法人エネルギー情報センター

2023年02月28日

新電力ネット運営事務局

建設業界の脱炭素とデジタル活用事例③

2050年までのカーボンニュートラル社会の実現に向けて、建設業でも脱炭素の取り組みが注目されています。今回は、3回にわたって大手ゼネコンから中小企業まで幅広く脱炭素とデジタル活用について、最新の事例をご紹介します。3回目は中堅企業・中小企業の事例です。

建設業界の脱炭素とデジタル活用事例②の写真

一般社団法人エネルギー情報センター

2023年02月09日

新電力ネット運営事務局

建設業界の脱炭素とデジタル活用事例②

2050年までのカーボンニュートラル社会の実現に向けて、建設業でも脱炭素の取り組みが注目されています。今回は、3回にわたって大手ゼネコンから中小企業まで幅広く脱炭素とデジタル活用について、最新の事例をご紹介します。2回目は大手ゼネコン企業の取り組み事例です。

建設業界の脱炭素とデジタル活用事例①の写真

一般社団法人エネルギー情報センター

2023年01月31日

新電力ネット運営事務局

建設業界の脱炭素とデジタル活用事例①

2050年までのカーボンニュートラル社会の実現に向けて、建設業でも脱炭素の取り組みが注目されています。今回は、3回にわたって大手ゼネコンから中小企業まで幅広く脱炭素とデジタル活用について、最新の事例をご紹介します。1回目は脱炭素を求められる背景と現状についてです。

東京都の2030年カーボンハーフに向けた取組、新築住宅への太陽光パネル設置義務化への写真

一般社団法人エネルギー情報センター

2023年01月12日

新電力ネット運営事務局

東京都の2030年カーボンハーフに向けた取組、新築住宅への太陽光パネル設置義務化へ

昨年末に東京都で、全国で初めて新築戸建て住宅などに太陽光パネルの設置を義務づける条例が成立。これは、2030年までのカーボンハーフに向けた取組みの一部であり、都では2050年を見据えた大きな全体像を描いています。今回は、東京都の2030年カーボンハーフに向けた取組を紹介し、太陽パネルの循環について考えていきます。

中間選挙終えたアメリカ、気候変動対策やエネルギー政策の行方は?の写真

一般社団法人エネルギー情報センター

2022年11月29日

新電力ネット運営事務局

中間選挙終えたアメリカ、気候変動対策やエネルギー政策の行方は?

発足から約2年、バイデン政権が掲げた気候変動対策は今どうなっているのか。今回は、中間選挙を終えたアメリカのエネルギー政策の動向や、民間企業の動向をご紹介します。

エネルギー・環境関連セミナーのご紹介